決戦の朝−頼久3


所詮、神子にとって自分は兄のような存在でしかなかったのか…。

それならそれでしょうがない。八葉としてほかの八葉と一緒に自分の力を尽くして戦おう…
ようやくそう思い直そうとした時、藤姫が控えの間に入って来た。


−−なぜ女房ではなく、藤姫様が…
と怪訝に思っていると、藤姫が少々押さえた声で頼久に言葉をかけた。
「頼久、神子様が今日の戦いにぜひ泰明殿と一緒に頼久に戦って欲しいと…。」
藤姫は頼久の気持ちを前々から知っていた。だから、女房に取り次ぎを頼むことなく、この控えの間まで自分で足を運んだのである。これを伝えるのは自分でなくてはならない。そう思ったから。

 
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