決戦の朝−頼久5


藤姫が部屋から出て行っても頼久はそこから動けなかった。
自分は八葉だ。最終決戦で龍神の神子を守り、戦うこと。それは、自分の務めでもある。八葉の一員としてほかの八葉と一緒に戦うことはいい。だが、最後の戦いで泰明とふたりで神子とともに戦うことは…。その時、自分は平常心で神子を守り、戦うことができるのか。戦いでは一瞬の気の迷いが命取りになる。それは身をもって自分自身が一番よく知っている。神子が選んだ泰明とともに…

ふたりの姿を見た時、果たして自分はいつも通り戦うことができるのか…
選ばれた泰明と選ばれなかった自分…
共に並んで戦ってもその違いは明らかで…

 
戻る 次へ