決戦の朝−頼久6


その時、急に後ろから声がした。
「行かないのかい、頼久。」
その声の方へ思わず頼久は振り向いた。その声の主は橘友雅だった。
「私は…」

友雅は静かに頼久の方へと近づいて来た。
「神子殿とともに戦いたくないのかい。」

「私は…今の私には自信がないのです。この大切な戦い、全力で戦えるかどうか。」
頼久は友雅から視線をはずし、そう答えた。
すると友雅は

「私からすると最後の戦いで戦う者として、神子殿から指名されるだけでも 羨ましいと思うのだけどね。」
と髪を無造作にもてあそびながら言った。

 
戻る 次へ