神子桜2


詩紋は少し淋しげに視線を落とした。そんな詩紋の目の前にひらひらと1枚の桜の花びらが舞い降りて来た。詩紋がふと目をあげると、その先には…
「わぁ〜、天真先輩、見て!!」
天真は詩紋の指差す方に目をやった。そこには咲き誇った1本の桜の古木がそそり立っていた。樹齢千年を軽く超えるような見事な桜の木だ。ふたりはその桜の方に駆け寄った。
「おう、見事な桜だな。あかねにも見せてやりた…あっ…」
そこまで言うと天真は言葉をつまらせた。
「…きっとあかねちゃんもこの桜を見ているよ。」
「そうだな。」
ふたりは桜の木を見上げた。


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