神子桜5


「泰明さん。」
その声にハッとして、泰明は顔を上げた。そして泰明の目に映ったものは…見慣れた紫色に桜をあしらった水干…
その目の前にいる人物こそ自分が求めてやまない者…
「あ…あかね。どうしたのだ。その格好は神子の…」
目の前のあかねはそんな泰明を見て、満面の笑みを浮かべながら言った。
「出掛ける時はいつも泰明さんが迎えに来てくれたでしょう? だから、今日は私が迎えに…。 泰明さん、一緒に行きましょう。」
「ああ。おまえが行くところだったらどこへでも。」
「私たちずっと一緒だよ。」
「ああ。ずっと一緒だ。」
泰明はあかねから差し伸べてられた手に自分の手を重ねた…


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