ストーカーな
泰明さん2


そう言えば、数日前にも同じようなことがあった気がする。

あれは、友雅さんに誘われて、随心院に行った時のこと。
百夜通いの悲恋の話をして…
そして…何とあの友雅さんが、私のことを愛しいって言ってくれて…
無論私の胸は早鐘を打つように高鳴った。

その時、ふいに私と友雅さんの間を一羽の鳥が飛びぬけた。もう辺りは暗いというのにである。
「えっ!?」
鳥はふたりの回りを一周すると私の肩に舞い降りた。
「神子、気が乱れている。何かあったのか?」
「その声は…やっ…泰明さん!?」
「そうだ。私だ。どうした?神子。」
「い…いえ、何でもないです。」
「そうか、問題ないのだな。それでは、私は失礼する。」
そう言うとその鳥はどこへともなく飛び去って行った。

そして残された友雅さんと私の間には…ひたすらしらけたムードが漂っていた。
「…神子殿」
「…はい。」
「…帰ろうか。」
「…そうですね。」
その日もその後、ふたりとも一言も話さず、家路についたのであった。


戻る 次へ