最後のバレンタイン・・・・

 

2/14 バレンタインデー
街のあちらこちらでチョコを売る出店や、すでにこれからの時間を過ごすカップルなどで
熱気に満ちあふれていた。
しかしそんな喧噪をよそにあかねと泰明は・・・・・。



泰明のマンションにて、あかねは自らの手料理を作っていた。
「もうすぐ帰ってくるかな。」
あかねは冷蔵庫に入れてあるチョコをそっと取り出す。
「今年のチョコは特別だものね♪」
そう呟いたあかねの左手の薬指に光る指輪・・・誕生石のヘベリドット。
泰明から誕生日に贈られた婚約指輪であった。
「さ、もう一踏ん張りしなくちゃ。」
あかねはチョコを戻すと泰明と過ごすための準備に追われていった。



マンションへ戻る泰明の上から白い物が落ちてきた。
ふわりふわりと・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「雪か・・・・ホワイトバレンタインになるな。」
そう思った瞬間・・・愛しいあかねの笑顔が浮かんだ。
「喜ぶな・・・・あかねが。」
ふっと顔が綻ぶ泰明、雪の舞う中を帰りを待つあかねの元へと急いでいった。



「おかえりなさい、泰明さん。」
満面の笑みで泰明を出迎えるあかね、そんなあかねをぎゅっと抱き締める泰明。
「ただいま、あかね」いつものクールな表情もあかねの前ではもろくも崩れる。
「お腹空いているでしょう?お食事にしましょう」にこにこと泰明の手を引くあかね。
「ああ、そうしよう」微笑む泰明・・・二人の間に温かい空気が生まれる。




夕食を終えた泰明とあかねはリビングでゆったりと過ごしていた。
「泰明さん、これ。」綺麗な藤色でラッピングされた箱を差し出すあかね。
「チョコだな・・・・いつもありがとう、あかね。」箱を受け取るとあかねの頬に軽く口づける泰明。
「もう(///)・・あと、これも・・・」もうひとつ大きな包みを手渡すあかね。
「これは?」不思議そうに受け取る泰明「開けても良いか?あかね」
泰明の言葉にコクリと頷くあかね。そっと包みを開けていく泰明の目に映ったのは・・・。
「あかね・・・とても嬉しい。」片手であかねを抱き寄せる泰明、もう片方の手にあるのは
真っ白な手編みのセーター、窓の外で降る雪のような・・・・・・・。
「あかねの優しく温かい気が感じられる・・・・大事にする。」
「泰明さん・・・喜んでもらえて嬉しいです。」
泰明の肩に頭を乗せるあかね、柔らかなあかねの髪をそっと撫でる泰明。
ふと視線が合うと暫し見つめ合い微笑みあう二人。
「「来年は・・・・・」」


泰明とあかねにとって恋人同士で過ごす最後のバレンタインデー。
桜の舞う春に二人は結ばれる・・・・遙かな時空を越えて出会った奇跡の恋が実る。


窓の外の雪はそんな二人の為に静かに降り続いていた。






END

asato様『運命の時を越えて』

http://www.fuki.sakura.ne.jp/~sei-lan/index.htm

 

[涙のひと言]

asato様のサイトで“2002年バレンタイン創作(フリー)”

としてUPしてあったものをいただいて参りました。

この作品を見ていると、結婚間近のふたりの間に流れる独特な穏やか

な空気というか、安心感がとても伝わって来て、あたたかな気持ちに

なれます。

結婚前最後のバレンタイン…恋人たちにとって一番いいころじゃない

ですかね。いや、きっと泰明さんとあかねちゃんだったらいつまでも

恋人同士のような素敵な夫婦になるでしょうけど。(^。^)

asato様、ステキな創作をありがとうございました。

 

asato様のサイトへは『リンクのお部屋』からどうぞ

 

 

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