第1章 大阪へ

 

このコーナーを訪れてくれてありがとう、神子。

来てくれて、とても嬉しい。

私の名は“チビあっきー。第1回プレミアムツアーから神子に同行している。

私の名は“チビつぐっち”。第1回は同行することができなかったが、第3回プレミアムツアーからあっきーと共に我が神子に同行している。

我らはまたまた我が神子が参加する『ネオロマンス・ライヴ 2003 Spring』なるもののお供をして来た。何と我が神子は、今回は横浜だけではあきたらず、はるばる大阪公演にまで出向いたのだ。そこで我らも一年ぶりに関西までお供をすることになったというわけだ。

これから、我らが神子のライヴでの様子を皆さまにあれこれお伝えして行きたいと思う。お時間のある神子はしばし我らの話に耳を傾けてほしい。

例のごとく我らを作る時、神子が心のかけらを入れ忘れてしまったので、一部記憶があいまいなところがあるかもしれぬが、そのへんはご了承いただきたい。

それでは、よろしくおつきあい願い奉る。

 

 

◆  ◆  ◆

 

 

大阪出発の前の日の夜…

「ああ、今日は早く支度が終わったわ♪」

我が神子がそう言って伸びをしたのは、夜の9時ぐらいだった。

「そうか、よかったな、神子。今日は早く眠れそうだな。(ニコッ)」

「うん♪ あっ、サイトの方にも留守にするって書いとかないと。」

そう言って、我が神子はパソコンを机の方に持って来て、インターネットにつないだ。サイトのBBSを見た神子は、つぐっちの方を見て、嬉しそうに言った。

「つぐっち、たくさんお礼の言葉が届いてるよ♪」

「そ…そうか?(////)」

 

スプリング・ライヴ大阪公演の前日は3月14日、すなわちまさにホワイトデー当日。

実は恥ずかしながら、私つぐっちは私の生誕の日に祝いの言の葉をくれた19人の神子達にお返しの贈り物をしたいと思い、前日の夜中に神子達のもとに招待の文を出していたのだ。

その贈り物を受け取った神子達から続々とお礼のカキコや文が届いていた。

 

「(いじいじ)」

「あっきー、何いじけてるの? あっきーの時もお礼の文が届いたじゃない。」

「そ…そうだった。(ふっかーつ!!)」

 

「ほらほら、お返事書いて!」

「わ…私が書くのか!?」

「そりゃあ、そうだよ。つぐっちへのお手紙だもん。」

「・・・・・わかった」

 

―― しばしの間 ――

 

「ねえ、つぐっち書けた〜?」

「うっ…もう少し…」

「頑張ってね。」

「ありがとう、神子」

 

私は人ならぬ身なので、文を書くのが苦手だ。人の言の葉を操るのは本当に難しい。でも、神子達のやさしい気はその言の葉から伝わって来る。誠心誠意、返事を書かなければ…

我が神子は時間が余ったからと“えむ・でぃー”の編集とやらをやり始めた。何でも急に思い立って、明日の電車の中で聴くための“えむ・でぃー”を作ることにしたとのことだ。しかも今からドラマ編2枚と歌編1枚の計3枚も作るのだという。明日出発という、こんな切羽詰まった時ではなく、もっと早い時期にやっておけばいいものを…本当に我が神子は…ハッ、いけない、いけない。文を書かねば…集中!集中!( ..)φ

そんなこんなで私がすべて返事を書き終えたのは夜の12時近くになっていた。

神子は神子で起きているといろいろ脱線してしまって次々にやらなくてもいいことをやり始めてしまうので、作業がちっとも進まないようだ。

「うっきゃ〜っ!! ゆっくりまったりやってたらこんな時間になってたよ!!」

 

我が神子は慌てて風呂に入ると、急ピッチで髪を乾かした。そして、我が神子がやっと布団に入ったのは大阪旅立ち当日の1時15分…

 

「今日は4時起きをしなければならないと言うに…神子は本当に作業が遅すぎる。」

「私がもたついていたからだろうか…(-o-)

「いや、おまえのせいではない。すぐ脱線して、集中して物事をなさない神子が愚かだっただけだ。」

「そうだろうか?」

「それより神子は眠りにつけるだろうか? また一睡もせずに臨むなどということは…」

「もう眠っているみたいだが…」

「本当か?」

二人で覗き込む。

「よかった〜(^.^)

 

 

◆  ◆  ◆

 

 

「神子、今日は睡眠をきっちり取ったのか?」

「えへへへへっ」

「はぁ〜」

旅立ちの朝はいつものように始まった…

 

今日は大阪へと旅立つ日だ。

我が神子が乗る新幹線とやらは6時53分東京駅発だから、6時ぐらいには家を出なければならない。

せっせと支度をして、予定通り6時に家を出た。

 

出発した我らにまたまたアクシデントが…

家を出て、すぐそばの道を渡ろうとしたところ、住宅街の中の細い道にもかかわらず、車がビュンビュンと通り過ぎて行く。そして、なかなか渡ることができない。

我が神子の住んでいるあたりは、指定車両以外通り抜け禁止の区域だから(と言っても結構無許可で通る車もあるのだが…)、普段ひっきりなしに車が通るなどということはない。しかもまだ土曜日の早い時間だ。何だか違和感を覚えたものの、時間もないことだし、いつまでも待ち続けているわけにも行かないので、1台が通り過ぎた直後に何とか我らはタイミングを見計らって、渡ることが出来た。

そして、細い路地を抜けて、大通りへ出る手前の道に出たところ、我が神子が前方を見て、声を上げた。

「な…なに、これ!?」

何と大通りに出る手前の左右の電信柱に立ち入り禁止の黄色いテープを張っているところであった。

「何かあったのかな?」

「わからぬ…」

我らはそのテープが張ってあるところまで行くと、左右を見渡した。左側の方には消防車などが何台か止まっていた。だが、その事故現場らしきところはそこからは見えないぐらい離れていた。先ほど住宅街の中を車がビュンビュン走っていたのも、おそらく事故現場を通らぬよう、そちらに誘導されたためであったのだろう。それなら合点が行く。

あちらの先が見えぬが、道路は少なくとも150m以上ぐらいにわたって、完全閉鎖されていた。

普通の交通事故などよりは大きなものらしい。

「爆発事故かなんかがあったのかな?」

我が神子は不安そうにそう言った。

しかし…だ。ここを通らず、また戻って回り道をすると遅れてしまう。新幹線の時間は決まっているのだから、予定の電車に乗り遅れたら、たいへんだ。

我が神子はその時心の中で葛藤していたようだ。

左側の方には消防車が止まっているが、右側の方を見ると、50m弱ぐらい先にある駅に至る信号のところは問題なさそうである。そして、幸い先ほどテープを貼っていた係員の姿はすでにそこにはない…いやな予感…

神子は決心すると言った。

「こりゃあ、行くっきゃないっしょ!」

というわけで、我が神子は左右を確かめた。

「神子、赤信号だぞ!!」

「先が交通止めになってるんだから、車が来るわけないよ。」

笑いながらそう言って、そのテープをくぐると全力疾走! 向かいのテープをくぐり、一気に信号も渡り切って、駅へ一目散に駆けて行った。そして、無事駅へ到着!

「神子、足の方は大丈夫なのか?」

「あっ、忘れてた。でも、平気みたい。」

「そうか…」

先ほど迷っていたと言ってもほんの数秒だったので、全力疾走したおかげで、我らは予定より一本早い電車に間に合った。

「あ〜、よかった♪」

「ま…まあ、そうだが…」

だが、電車の駅出発時間の1分前になってもまだ『電車が来ます』のランプが点かない。

上の事故の状況が今イチわからないので、我が神子は少々不安になって来たようだ。

地下鉄の構内は圏外なので、携帯電話で母御に電話で確認することもできない。

「あれだけものものしい警戒体制をとっていたからね。もしかしたら、その影響で電車も止まっちゃってるのかな…」

我が神子がそう言った時である。予定出発時間を回ってから、やっと『電車が来ます』のランプが点灯した。

「よかった〜」

我が神子は心底安心していた。

座席も無事確保出来て、何とか落ち着くことが出来た。

次の駅で一人の若い男性が乗って来た。そして、ちょうど我らの向かいの席に座ったその男性客の方に何気なく目をやって、我が神子は目を輝かせた。何とその男性は「動物のお医者さん」と表紙に書かれた台本を読んでいたのだ!

皆も知っているように我が神子は女優の端くれの端っこの端の端…をやっていた。だから、TV用の台本というものにも興味がある。そして、その持っている台本の原作漫画も我が神子が連載時代から超お気に入りの漫画であった。このサイトを見ている神子の中でも犬好きとか猫好きの方も多いだろうから、この漫画を知っている方も多かろう。

その台本は第2話と書いてあった。おそらく、それを熱心に見ている御仁はそれに出演する役者のどなたかだろう。残念なことに我が神子は見たことがない者だとは言っていたが…

我が神子は、やはり気になるらしく、何となく気づかれないようにそちらの方をチラッチラッと見ていた。おかげで電車の中では退屈しなかったようだ。

その御仁は我らが降りる駅の一つ手前の駅で下車して行った。

 

そして、我らは四ツ谷駅で地下鉄を降りた。ここからはJRに乗換えだ。新幹線の乗車券は“区内から”となっているので、乗車券を自動改札に入れる。

新幹線の乗車券は自動改札をそのまま通れるものと係員のいるところを通らねばならないものの二種類が存在するのだが、この乗車券は自動改札を通れるものだったらしく、我が神子は安心していた。

神子、切符を入れてから、もし、通れないものだったらどうするのだ。入れて確かめてみるのではなく、ちゃんと裏面の注意書きを見ろ!

 

電車のホームなどはいつもはサッと通り過ぎてしまうのだが、今日は電車が来るまでかなり時間があったし、人もものすごくまばらだったので、我が神子は何気なくホームを見渡したりしていた。すると乗車位置のところに電車のマークがちゃんと中央快速の電車の色であるオレンジで描かれているものが三つ並んでいるのを発見。その様子が何ともかわいらしい。

「かわいい♪ こんなところにもこだわっているんだね〜」

我が神子の顔に思わず笑みが漏れた。普段通っていても知らず知らず心の余裕がなく、見逃しているものをこうして見つけるのもなかなか楽しい。

この時間はまだ快速電車は来ないし、直通電車もまだ動いていないので、総武線の各駅停車に乗車して、御茶ノ水駅で一旦降りてから、東京方面の電車に乗り換え一路東京へ。

無事予定通り、東京駅へ着くと迷わず新幹線の乗換え口へ向かい、改札をくぐる。

昨年何度も『遙か』めぐりで訪れているだけにもうこの道は慣れたものだ。

 

我らが乗車するホームへ到着すると、もう我らが乗る予定の6時53分東京発“新幹線のぞみ3号”はホームに止まっていた。さっそく乗り込んで、座席に着く。3人がけの窓側なので、なかなかいい席だ。ちょうど合う時間のものがなかったので、少々割高ながら、今回我が神子はのぞみを選んだのだが、さすがに代金が高いだけあって、座席もゆったりしているので、くつろぐことが出来る。それに乗り込んだ当初は隣の席は空いていたので、荷物の整理も楽に出来た。

我が神子は重いカートを「うんしょ!」と棚に持ち上げて、載せた。

み…神子…なかなか力持ちだな。あの重い荷物を…

そして、やはり結構な荷物になる泰継ウィッグを横に乗せると、降ろし忘れないようにカートの取っ手に紐で結んだ。

だが、隣の隣に大の男が座っていても、かよわい(?)女人が一生懸命重い荷物を棚に上げようとしていても手伝ってやろうともしないのだな。この国も変わったものだ…

 

出発時間になって電車が動き出した。

「え〜っ、これ、博多行きなの〜? じゃあ、寝過ごしたらたいへんだ! 起きていなきゃ!」

「神子、“今回も”寝不足だが、大丈夫か?」

「うん、問題ないよ♪」

それは我らの口癖だが…」

 

我が神子は昨日の晩、せっせと編集していたMDを聞きながら(昨晩はこれを作るのにもえらく時間をかけていたのだ。まあ、夜更かしの一因だな。まったく…)、そして、持って行っていた自分の書いた本の「ギャグって泰明さん」と「ギャグって泰継さん」を読みながら、宣言した通り、一睡もしないで、新大阪へと向かった…

出発してすぐはまだ曇り空だったのだが、新大阪へと近づくにつれて、雨が降り始めた。しかも進めば進むほど、雨も激しくなって行くようだ。

「やっぱり降って来ちゃったね。会場に着くまでもってくれればよかったのにな…」

 

途中新幹線は名古屋駅で止まった。名古屋は壊れ隊の神子達が多く住んでいるところだ。

「夕芽ちゃんちはどっちの方かな?」

などと言いながら、我が神子は車窓から名古屋の景色を眺めていた。

そう言えば、神子夕芽が来年の夏開催すると言う遙かオンリーイベント『雨乞祭』なるものもこの地で行われるのだな。そう思うと見知らぬ土地でも何だかより親近感をもって感じられた。

 

電車が京都駅を出ると、我が神子は棚に載せた荷物を降ろしにかかった。載せるのは楽だったが、降ろす時は重力がかかるので、載せる以上にたいへんだ。ブンとすごい勢いで荷物が落下した。危うく新横浜駅で乗り込んで来た隣の席の若い会社員風の御仁にぶつかりそうになったので、我が神子は

「すみません。」

と謝ったが、その御仁はすごく嫌そうな顔をしていた。

嫌な顔をするぐらいなら、降ろすのを手伝ってやろうとは思わないのか、この御仁は…

本当に近頃の若いものは…(おいおい、君たちもまだ1歳では?? by 涙)

 

我が神子が新大阪駅へ到着したのは、予定通り9時26分。ここから、神戸・三宮線に乗って、大阪駅に出る。

実は一昨日神子沙桐姫が電子文をくださって、我が神子が足を痛めていることを気遣って、会場まで一緒に行ってくれるというありがたい申し出をしてくれたのだ。そして、どの電車に乗ればよいかも教えてくれた。本当に神子沙桐姫はやさしい神子だ。

大阪駅に着いて、待ち合わせ場所の中央出口に行くと、出口が二つに分かれていた。一瞬どちらから出ようか少し迷ったが、大きい方の改札から出た。

だが、あたりを見回しても神子沙桐姫らしき姿はない。そこで、もう一つの出口の方へと向かった。いたいた。きっとあれに違いない!

その日は雨降りだったのだが、黒のサングラスをして、黒ずくめの服をまとった女人だ!

この天気にこの出で立ちはかなり目立つ。

我が神子はさっそくその女人に近づいて行って、声をかけた。

「沙桐さまですよね? おはようございま〜すvv

振り向いた女人は間違いなく神子沙桐姫だった。我らがお逢いするのは昨年の12月のイベント以来だ。神子に再び逢えて、とても嬉しいv 今回は我が神子のために、ありがたい申し出までしてくれて、本当に頭が下がる。ありがとう、神子(ニコッ)

神子沙桐姫は風邪をひかれているとのことであったが、思っていたよりもずっと元気そうで、我らも安堵した。

 

もう外はすでに雨が降っていたので、我が神子は歩きながら、我らに“例の”レインコートを着せてくれた。

「それがレポの中で書いてたレインコートですね?」

笑いながら、神子沙桐姫が我らの方を見た。神子に見つめられると、す…少し恥ずかしい。(////

駅を出て、左に折れて、神子沙桐姫お奨めのルート、会場であるグランキューブ大阪の隣のリーガロイヤルホテル行きの直通バスの停留所へと向かう。その停留所までは、屋根があり、傘をささずに歩いて行くことが出来た。旅行用の(コス用の…とも言うが・苦笑)大荷物を持った我が神子にとってはとてもありがたかったようだ。

停留所に着くと、すでにバスが止まっていた。しかし、そのバスはもう満員になっていたので、我らは次のバスに乗ることになった。次のバスもほとんど待たずにやって来たので、神子沙桐姫と我が神子はそのバスに乗った。バスは座っていけるので、安心。

バスでも思ったよりは距離があった。もし、当初の予定通り重い荷物を引きながら、この距離を歩いて行ったら、せっかく治りかけていた足の方がぶりかえしていたかもしれない。神子沙桐姫にこの行き方を教えてもらって、しかも同行までしてもらって、本当によかったな、神子。

 

やがてバスは目的地のリーガロイヤルホテルに着いた。バスを降りて、我らは神子沙桐姫の後について、ホテルの中を通って、会場であるグランキューブ大阪へと向かった。ここからは外を通ることなく、建物の中を通って行けるので、雨でも濡れずにすむ。

エレベーターに乗って、5階のボタンを押した。

何かホールに行くというよりはオフィスビルの上の階に行くみたいな感じだなと我が神子が言っていた。

エレベーターは我らを乗せて、5階へ向かって動き出した…

 

 

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