第6章 プレミアムナイト ライヴ編 《前編》

 

会場が暗くなり、さあいよいよプレミアムナイトの始まりだ。

最初に映し出されたのは「名場面集」という文字。

そして、詩紋の京エンディングの画像が大きく映し出され、

「僕、あなたのことが好きだよ。」

で始まる詩紋の言の葉が流れ始めた。

 

「あれ? その場で読んでるのかな? それともエンディングのセリフを流してるの?」

宮田詩紋のエンディング通りの正確な読みを聞いて、我が神子は首をかしげながら、そんなことを言っていた。後からメッセージコレクションを見たら、セリフそのものが違うではないか!? 我が神子は詩紋エンディングは一度しか見ていないので、その場ではわからなかったそうだ。詩紋…すまぬ。

 

詩紋の語りが終わると画面右端に今の語りの言の葉が表示された。

神子たちの間から歓声が上がった。

 

続いて、画面に映し出されたのは、友雅の京エンディングの画像だ。

画像が画面に浮かび上がっただけでも神子たちの間からは声が漏れる。

「おいで、姫君…」

友雅のゲームで聞いたのとはまた一味違う感情たっぷりの言の葉が我らの耳に響いて来た。

そして、詩紋と同じように語りが終わると画面に今語った言の葉が表示された。

またもや神子たちから歓声ともため息ともつかないようなうっとりとした声が上がる。

 

「今度のは確かに生の声みたいだね。息づかいとかも聞こえたもの。じゃあ、二人ともその場で読んでるんだ、うん♪」

我が神子はようやくそう納得したようだ。

 

今回はこの詩紋と友雅の語りだけで終わりかと思いきや、続けて画面に彰紋の京エンディングの画像が映し出され、再び語りが始まった。

「僕にその柔らかい笑顔で微笑んで…」

そして、終わるとまた同じように画面に今語った言の葉が表示された。

 

ラストは翡翠の語りだ。画面に翡翠の京エンディングの画像が映し出されると、また感情たっぷりの語りが始まった。

「一緒に旅に出よう…」

そして、その言の葉が画面に映し出されると四度神子たちの間から歓声が上がる。

 

続いて画面に

「悠久のロマンス、今宵再び…」

と表示され、そして井上友雅と宮田詩紋が声を合わせて叫んだ

遙かなる時空を超えて プレミアムナイト!


オープニングコールの後、司会の上田由美子という女人が挨拶を始めた。

彼女にお会いするのはもう3度目だ。何となくホッとする。

「みなさん、こんばんは〜 声優のお二方とファンの集い、プレミアムナイト、ただいま開演です!」

その後、いつも通りのカメラ・録音機器の使用禁止という注意事項の後に

「お寿司、オードブルが並んでおりますが、それはショーの後で。ショーの最中は見ないように。」

というユニークな注意があった。その時、すでにテーブルにはオードブルの皿がラップをかけて並んでいたからな。我らは何となくそちらに目が行ってしまったのだが…はっ、いけない、いけない、そちらは後だ! 今、そう聞いたばかりではないか。

 

司会の上田という女人は今回で担当するのはもう5回目だということだ。皆勤賞ではないか! 羨ましいことだ。参加5回目の神子たちに手を挙げさせたところ、客席の中からパラパラと手が挙がる。

神子みかんも手を挙げている一人だ。す…すごいな。

「どうぞ一緒に楽しませてください。」

司会の上田氏が言った。

そして、いよいよ主役の二人の登場だ。

「橘 友雅・翡翠役の井上和彦さん! 流山詩紋・彰紋役の宮田幸季さん、どうぞご登場ください!」

そう紹介されると二人が舞台下手にしつらえた屏風の陰からさっそうと登場!

神子たちの間からはそれこそ割れんばかりの歓声と拍手が起こる。

「こんにちは〜」と井上友雅が言うと神子たちは「こんにちは〜」と元気よく応えた。

そして、「こんばんはですね。こんばんは〜」と井上友雅が言い直すと今度は「こんばんは〜」と応える神子たち。

そして、今度は宮田詩紋が「こんばんは〜」と言うとそれにまた「こんばんは〜」と神子たちは応えた。

また井上友雅が「こんばんは〜」と言うと「こんばんは〜」と返す。

続いて宮田詩紋が「おはようございま〜す」と言うと神子たちも「おはようございま〜す」と返したので、井上友雅は笑いながら

「何でもいいんじゃないの?」

と言っていた。確かにその通りだと我々も思う。

 

「1日どうでした? 楽しかったですか?」

と井上友雅が聞いた。それに対して「楽しかった〜!」と応える神子たち。

井上友雅「雷まで連れて来ちゃって。でも、雨は僕じゃないよ。」

宮田詩紋「天候も京都っぽい。さやさやと思ってたら…」

井上友雅「一転にわかにかき曇り…ダーンと」

宮田詩紋「びっくりしましたね。」

井上友雅「随心院に行って、気づいたでしょうか、僕らのトラップに?」

 

ああ、“トラップ”とはあの“絵馬”のことだな。それなら我らも見たぞ♪

 

井上友雅「二つほどトラップを…」

 

ちょ…ちょっと待て! ふ…二つ〜?? 我らは一つしか見てないぞ! なっ、神子?

「うん。もう1個あったの〜 全然知らなかった。どこにあったんだろう??」

 

宮田詩紋「内緒にしておきましょうか?」

井上友雅「え〜ま〜か…絵馬か! 1個そこに僕たちのメッセージを♪」

井上友雅「今日はプレミアムだから、そんな甘いもんじゃありません。」

宮田詩紋「朝一ドッキリ、ありましたしv

井上友雅「もう一つは『男二人ぶらり旅』」

 

な…なんだそれは?? わからぬ…

 

井上友雅「絵馬見た人?」

さすがにこちらの方は見た神子も多いらしく、かなりの数の神子たちが手を挙げた。

井上友雅「もう一つも見た人?」

こちらはパラパラと挙手。そうだ。我々も見つからなかったのだからな。一体どこにあったのだ?

井上友雅「一つも見なかった人?」

何人かの神子たちが手を挙げると

井上友雅「罰ゲームを始めます!」
といきなり宣言した井上友雅。

 

「ああ、よかった。一つだけでも見つけられて。」

我が神子は安堵のため息をついていた。そう思わすぐらい井上友雅の声には真実味がこもっていたのだ。本当に罰ゲームをやり出すと思わせるぐらいに… さすがだな。

 

後で神子もえに教えてもらったのだが、もう一つのトラップは訪問帳だったそうだ。

やられた〜 建物の中の方だからうっかり見逃してしまった。

そして、ご好意でいただいたのが、下の画像だ。生で見たかったな…(;_;)

 

二つ目のトラップ『随心院の訪問帳』

資料提供:もえ様

 

まだまだ続きそうなところを…

「井上さん、宮田さん、つかみはOKということで始めさせていただきます!」

と急に司会の上田氏がそれを遮った。

井上友雅「話をぶった切られちゃった。」

宮田詩紋「第1回と第2回に味わったのがよみがえってきました」

そう言って、真剣な顔で相槌を打つ宮田詩紋。

井上友雅「初めて体験する…」

 

この女人は自分の役目をよく心得ているようだな。よいことだ。(←やっすー的思考)

 

上田氏はそんな二人にはまるでお構いなくサクサクとマイペースで進めて行く。

上田「第1コーナー、質問コーナーからまいりたいと思います」

 

Q1)まず、井上さんと宮田さんのお二人に質問です。

   お互い初めて会った時の第一印象はどうでしたか?

   今回出演されることになって、お互い相手を知った時、どう思いましたか?

   私は不思議だな〜と思いましたが。

 

最後の一文がとても効いている質問だな(笑)

 

A1)

井上友雅「不思議なんだ?」

宮田詩紋「どうしてですかね?」

背中合わせで立ちながら、そうお互い首をひねりながら言い合う二人。

二人にとってはどうやら不思議なことではないらしい。

井上友雅「初めて会った時…」

宮田詩紋「せいおんスタジオで、グレイブ・サーガ(かな?)というゲームで…」

宮田詩紋「その時は“宮田はるのり”だったんですが、前から僕(井上さんを)

     知ってたんで『宮田はるのりです。よろしくお願いします』って、

     そしたら(井上さんは)『ああ、よろしくね』って。それが初めて。」

宮田詩紋「同じブースじゃなかったけど、ロビーで。」

井上友雅「『あっ、宮田くんだ!』って。」

宮田詩紋「たぶん知らなかったと思う…」

バッサリとそう言い切る宮田詩紋。

宮田詩紋「仕事場…スタジオでは、じっくりとは『遙か』ですかね。」

井上友雅「初めて会った時、『この子、いくつ?? すごくかわいらしいし、

     女の子じゃないかな〜?』僕も昔はこうだったな〜って。」

宮田詩紋「『遙か』ですかね?」

井上友雅「その後、ディアルバート・ハイスクール(違ってたらごめんなさい)。

     井上(僕)が演出(?)。たいへんかわいがって。」

井上友雅「変わった取り合わせと思ったことはないな。僕よりずっと年下なんだ

     けど、全然隔たりがないよね。こんなに年が離れていて、こんなことが

     出来るのはカッコイイ〜」

井上友雅「囲いがないのにカッコイイ〜」

 

お…おやじギャグか!? やはり友雅、おまえはおや…(以下自己規制)

 

その言葉にちょっと引く神子たち。

宮田詩紋「はい! 笑って笑って〜」

それを一生懸命フォローする宮田詩紋。うんうん、なかなかいいコンビではないか。

宮田詩紋「拍手は惜しまない!」

 

井上友雅「へー」

宮田詩紋「笑って笑って〜」

それを受けて引きつった笑いをする神子たち。だが、それもいつの間にか本当の笑いになっていくから不思議だ。やはり我々はまだ人としての修行が足りぬのだろうか??

 

井上友雅「それぐらい普通に。変な取り合わせとか思わない。とてもいい親子

     関係。」

井上友雅「今回決まった時、びっくりしたとかはなくて、どうしようかと二人で

     いろいろ決めたり。」

宮田詩紋「ドラマCD、二人で出来るのは嬉しかった。二人でキャッチボールする

     機会がなくて。詩紋と友雅、すごく年離れてて。

     すごく嬉しくってv だから、ドキドキしてるんですよ!」

 

上田「はい、ありがとうございました」

 

またまたスッパリと話題を切る上田氏。
井上友雅は刀で切るまねをして、「ズバー!」と言っていた。

 

宮田詩紋「いっぱいネタがあるので、後でまた♪」

何か意味深なことを言ったが、いったい何なのだろうか? 楽しみだ。

 

Q2)井上さんに質問です。

   京都でお気に入りの場所または行ってみたい場所があったら教えて

   ください。

 

A2)

井上友雅「行くのは必ず嵐山にあるお豆腐屋さん。すごくお豆腐好きで、

     毎日食べる。」

宮田詩紋「やっこ? 湯豆腐?」

井上友雅「やっこも湯豆腐も」

井上友雅「ニガリを入れてチンするのがあって、それに塩をかけて食べる。」

宮田詩紋「通ですね。」

井上友雅「一回行ってみたいのは川床料理。」

井上友雅「いつも布団下に入って、食べて“寝床料理”。食べてすぐ寝ると牛に

     なるって言うけれど、食べながら寝るっていうのはどうよ?」

井上友雅「宮田くんは?」

宮田詩紋「今日、随心院へ行って、お気に入りの場所になった。ここでドラマCD

     とか録れるといい。さやさやと涼しくて。二人で畳の上に座って…」

井上友雅「帰りたくないよね〜って」

井上友雅「僕はここでゴロゴロ」

宮田詩紋「アクラム!」と叫んだ。

井上友雅「アクラムの声が聞こえて来た!」

宮田詩紋「置鮎さん?」

宮田詩紋「随心院が1番! あと興味があるのは…後ほどクイズで♪」

 

まただ。なんだろう!? 気になるな…

 

上田「井上さん、宮田さん、息がぴったりですね。」

 

Q3)宮田さんに質問です。

   関西の食べ物で、これが食べてみたい、これがおいしかったというものを

   教えてください。

 

A3)

宮田詩紋「2回目のツアーの時、高橋直ちゃんとタクシーで移動していて、

     “京風札幌ラーメン”っていう看板を見て…

     京風? 札幌? どっち!?」

宮田詩紋「(他にも)ちょっと面白いのがあるので、それはクイズで♪」

宮田詩紋「(京風札幌ラーメンを)食べた人いますか?」

神子たちからは反応なし。

宮田詩紋「つぶれちゃったのかな?」

井上友雅「名前変わっちゃったりして!」

宮田詩紋「和彦さん、何かありますか?」

 

おっ! さりげなく苗字でなく名を呼んだぞ!(チェック☆)

 

井上友雅「関西でね、僕、たこ焼きが大好き! よく食べに行くんだけど…

     僕のプロダクションの若い女の子の母親がたこ焼き屋やってるので。

     こんなボールみたいな8cmの1個160円のたこ焼き!

     『これ、どんな味するのかな?』と聞いたら『たこ焼きです!』と

     言われた。」

宮田詩紋「たこ1個しか入ってないんですか?」

井上友雅「たこいっぱいあるのかも。」

井上友雅「道頓堀にあるらしい。今食べたら、有名人になれるよ?

     しかも2個いっぺんに!」

宮田詩紋「リスじゃないんだから。」

井上友雅「(2個いっぺんに食べたら)やけどしちゃうな。」

 

Q4)井上さんに質問です。

   今回のツアーの参加動機は何ですか?

 

A4)

井上友雅「みんなでなくて、僕へ!?」

井上友雅「そりゃ、決まってるじゃないですか…」

と一拍おいて、友雅風の声で

井上友雅「みんなに会いたいから…」

神子たちから「キャ〜〜〜ッ!!!」という悲鳴に近い黄色い歓声が上がる。

井上友雅の声を受けて、宮田詩紋はしな〜っと床に倒れ込むように横座りして、

宮田詩紋「腰くだけです。」

と言ったものだから、また神子たちの間から歓声が上がる。

井上友雅「普段応援してくれてる人たちと遊びたい。みんなと会って、楽しい

     笑いをいっぱいもらって楽しい。幸せです。」

井上友雅「素敵な質問でしたね。」

そして、井上友雅は舟をこぐまねをしながら、舞台端へと移動して行く。

井上友雅「舟が出るぞ〜〜〜」

宮田詩紋「戻ってきてくださ〜い」

その声に応えて中央へと戻って来た井上友雅。

 

いったいなぜ“舟”? やはり人の考えることは我々にはわからぬ…

 

Q5)宮田さんに質問です。

   とんこつ、しょうゆ、みそ、その他もろもろ、どのラーメンが好きですか?

 

A5)

宮田詩紋「僕は普通のラーメン食べるなら、一番みそ、とんこつ、しょうゆ…

     とんこつしょうゆだと順位が違う。」

井上友雅「昔、うちラーメン屋だったから、離乳食がラーメンだった。」

井上友雅「塩にはまってて。最近トムヤンクン味ラーメン発見して、これがまた

     食べたらすごい! 『これは!?』」

宮田「山岡さん? 山岡士郎さんがここにいます!」

宮田詩紋がそう叫んだ。アニメを見ていないので、よくはわからぬが、おそらく

「美味しんぼ」とやらの山岡氏の声らしい…

 

宮田詩紋「辛いの?」

井上友雅「辛いの。それでずっと食べて『あっ、そうでもないや』…

     1、2、3、4、5…それからドワーッと来て…痩せるよ〜」

宮田詩紋「じゃ、五ツ星中…3?」

井上友雅「4! 結構気に入ってる♪」

宮田詩紋「この前、とんこつラーメン屋で…ペット臭い、犬臭いラーメン…

     お腹壊した。」

井上友雅「時々、無性にまずいもの食べたくなる。ここつぶれそうだなと

     入って…」

宮田詩紋「後で後悔する。」

 

上田「井上さん、宮田さん、山岡さん、ありがとうございました!」

 

なかなかナイスな挨拶だな(笑)

 

宮田詩紋「今のは“京ぶらり旅”。滝田さ〜ん!」

井上友雅「俺じゃねえよ(笑)」

 

上田「お二人の準備が整ったようですので…」

会場が暗くなって、ライヴドラマへと。

上田「今回、プレミアムナイトのためだけに用意したオリジナルドラマ…

   この夜のためだけに制作されたものです。」

宮田詩紋「今夜のためだけに…」

井上友雅「ちょっとエッチっぽいね。」

井上友雅「今夜のためだけに…今夜は離さないよ…」

もちろん神子様方の間からまた「キャ〜〜〜ッ!!!」という悲鳴に近い歓声が上がったことは言うまでもない。

宮田詩紋「腰砕けです。」

またもやなよっと床に倒れ込む宮田詩紋。それを受けて

井上友雅「僕もです。」

井上友雅も真似して宮田詩紋と同じポーズを取る。

神子たちはそれを見て大うけしていた。

 

上田「『遙か』オリジナルライヴドラマ『月の面影』」

 

神子たちはシーンと静まり返って、ライヴドラマのスタートを待つ。すぐに始まる…と思いきや、今回もなかなかプロジェクターの画面が出て来ない。

あれ? また前回に引き続き、パソコンの調子が悪いのか? と思っていると、そこですかさずつなぐ井上友雅。さすがプロだ。

井上友雅「ちょ〜〜〜っと待っててね。生ですから。」

ほどなくして、プロジェクターに画像が映し出された。

いよいよライヴドラマの始まりである…

 

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