Monologue ++ 泰継 我が心は…

 

おまえがこの世界からいなくなって、初めて知った

私にもこのような心があることを…

とめどなく流れ落ちる涙もおまえが教えてくれたものだったな

そして、この“淋しい”という気持ちも…

 

独りには慣れているはずだった。

長い長い時間をたった独りで生きてきた。

だが、この胸のうちに込み上げて来るこの思いはいったい何なのだ?

ただおまえがそばにいない

たったそれだけで締め付けられるように胸が痛む…

これがあの時おまえが私に教えてくれた“淋しい”という気持ちなのか?

だが、あの時とは比べものにならないほどの強い痛みだ。

息も出来ないほどの激しい痛み…

淋しい…そんな言葉だけでは言い表わせないこの狂おしいほどの思い…

私はこの痛みに耐えて生きていけるのだろうか?

 

あの日おまえの差し伸べた手を自ら拒んだのは私だ。

あの時、最後の別れの時、瞳にいっぱい涙を溜めて耐えていたおまえの顔が

今でも鮮やかに甦る。

だが、私にはおまえからおまえが今まで過ごして来た世界を

すべて奪ってしまうことはできなかった…

 

おまえはただうつむいて

「そう…」

とひと言つぶやいた。

必死に涙をその大きな目に溜めながら、ひと粒の涙も流さずに…

おまえは小さく震えていた…

 

私は、そんなおまえを見て、この手に引き寄せて抱きしめたい

そんな衝動にどれだけかられたことか

おまえのために必死にその衝動に耐えたのだ…

 

あの時、おまえのためにすべてを捨てたはずなのに

すべてをあきらめたはずなのに

何故こんなにも苦しいのだ。

 

もし、あの時“人”にならなければ、私はおまえのいる時代(とき)まで

存在し続けられたのだろうか?

そうしたら再びおまえと同じ時を過ごすことが出来たのだろうか?

 

こんな思いを抱くぐらいなら人にならなければよかった。

人となった今、私はこの思いで、壊れそうだ!

 

誰か今すぐ私を殺してくれ!

死して魂となれば、おまえの世界に飛んで行けるかもしれぬ…

おまえに逢いたい、今すぐ!

 

 

 

すまぬ、花梨…

せっかくおまえが私を“人”にしてくれたというのに

おまえの思いを無にするような感情を一時とはいえ、

抱いてしまった私をどうか許してほしい…

 

 

人は死したら時を越えて何度でも生まれ変わると言う…

 

人ではない出自の私でも

人として天寿をまっとうできたなら

その輪の中に入ることができるのだろうか?

 

何千年、何万年かかっても構わない

巡り巡る輪廻の輪の中で

もし、おまえに再び逢えたなら

その時は二度とこの腕からおまえを離さない。

 

 

私は…

 

花梨…

 

おまえひとりを永遠に愛している…

 

未来永劫おまえひとりを…

 

花梨…

 

逢いたい…

 

おまえに…

 

 

 

Rui Kannagi『銀の月』
http://www5d.biglobe.ne.jp/~gintuki/

 

[あとがき]

プレミアムプランに落選して暗〜い気持ちになっている時

思い浮かんだモノローグです。「沈んだ気持ちの時はとこ

とん沈みきってしまえ!」というのが、いつもの私のやり

方です。(暗〜!)

そのために初めてのつぐっちのバッド・エンディングもの

を書いてしまいました。つぐっち、そのためにとばっちり

を受けてしまってごめんよ〜

次はきっと明るい話書いてあげるからね〜

許してね〜、つぐっち!!

 

戻る