友 雅

 

 日差しが眩しい季節だね。
 情熱と同じく、私はこの季節はさほど好んではいなかったのだが、
 少し考えが変わったようだ。
 君に出逢って君という情熱を大切に思うようになったからだろうか、
 不思議と心地よく思えるのはなぜだろうね。
 ああ、からかっているわけではないよ、姫君。

 そうだね。夕涼みに出かけようか。
 虫の奏でる楽を聞きながら、二人で夏の夕暮れを楽しむのもいいものだ。
 但し、月が出るまでには屋敷に戻ろう。
 君が月に帰ってしまわぬように、この腕にその情熱を閉じ込めておこうか。

 月を眺めるなら、私の腕の中で・・・ね。 私の月の姫。

 

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