+ 断片 「水緑幻想詩」-輝る祈り- +
「緑雨フル」 雨に濡れる樹木 緑に霞む小道 転がり出す世界に 息継ぎもできないまま 押し流されて 激流の淵に 小さく揺れる 桜が一花 |
「眠る水の夢」 透明な水の底 きらきら輝る 金の焔 水からこぼれだす音は 僕の耳朶を噛んで 群青を囁く君 僕の名を呼ぶ声 君が目覚めるその刻まで 僕は君の傍らに |
「夏緑陰」 緑の光に浸された 僕の両手 吐く溜め息は いくつもの泡となって こぽこぽこぽ 浮かんで消える 花睡蓮 ゆくっりと光る水に沈む 君が僕を思い出す その刹那 |
「深海樹」 その樹は遥かに遠く 水の底から生えてくる 幾つも光る種と 眩い夢とを養分に 満開の祈り 誰も歌わない歌 DNAの裏側に 君の幸福を刻んで 桜降る朝生まれた君へ |
「箱庭の幽霊」 翠の幸福を囁く 音のない子守唄 深い深い泉の底から 薄桃色した花を降らせて 終わらない睦言と 懐かしい祈りを 限りなく愛しい貴方達へ 永久に流れる 光り水のように |
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