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花をテーマにした詩

(音楽は「ノクターン」より「アリエッタ」(グリーグ)をお借りしました。)

 

「華睡蓮」

水を滑る華は顔

水中から伸ばされた茎は手

遥かな水の底で

何かが啼く声がする

「睡蓮」 8月28日

 

華やかな色もなく

甘い香りもなく

ただ竿にもたれかかって朝露にのみ咲く

それでも、

その一時の為に

朝顔は地上にある

「朝顔」 8月26日

 

雨の匂いがする午後

庭の奥で

昼顔の花を摘み取った

もうすぐ、雨が降る

「昼顔」 8月19日

 

「恋迷子」

薄灰のコンクリートに囲まれた箱の中

冷たい床にひざまづき

極彩色の花をかき抱いて

祈るように歌いつづける

「グラジオラス」 8月18日

 

朝靄の中に

水上の花が開く

ひょろりと伸びた茎に

ぽってりとした薄紅の塊

アンバランスな花は

霞吹く風に踊らされ

花影が水に泳ぐ

「古代蓮」 8月17日

 

黒々と浮かび上がる

夏の木陰に涼む

視界に広がる舞華

降る花弁は

桜よりも鮮やかな紅梅色

その華、百日紅

「百日紅」 7月30日

 

『ひまわり迷図』

どこまでも果てのない

黄色い海に溺れ

少年の僕は

大人の僕と

遠い将来の夢について

小さな誓いを立てた

「ひまわり」 7月25日

 

深い夜の底

芳香を漂わせ

仄白く光る

華一輪

「月下美人」 7月24日 

 

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