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水辺を舞台にした詩

(音楽は「ノクターン」より「グリーンスリーブス」(イギリス民謡)をお借りしました。)

 

水の音を手繰り寄せ

辿り着いたのは

どこまでも果てない大きな水溜り

寄せては帰る波に歓声を挙げながら

海という名前すら

彼は知らなかった

「海3」 8月10日

 

真夜中の庭で

湧水の中

淡く香る水密

咽の渇きを覚えて

口に含んだ果実は

仄かに甘かった

「桃」 8月6日

 

あなたは私の気持ちを知らない

黙って海を見ていた

私は何も言わなかった

二人して一日中

ただ、海を見ていた

「海2」 8月4日

 

紺青の池の淵

夜の青は藍よりも濃く

眠りの闇よりもなお深い

その最中に

光り一筋

また一筋

飛び行く蛍

やがては無数の淡き光群 

「蛍」 8月3日

 

川岸の小道を歩いて行く

近づいてくる

風鈴と下駄の音

浴衣の君が通り過ぎる

僕は顔をあげることも出来ずに

遠くなっていく音を背中で聞いた

「風鈴」 8月1日

 

水飛沫

笛の音と歓声

水を叩く音

白い泡が波に揺れる

水の中からそれを見てる

「学校のプール」 7月31日

 

繰り返される波音

彼方へ続く水平線

潮騒は私の身体の奥深くと同調し

遥か太古の海へ流れる

35億年の時の軌跡

進化の道は終わらない

「海」 7月21日

 

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