+ 夢見る金魚 +
小さな金魚は世界を夢みた
(音楽は「VAGRANCY」より「いつまでも」をお借りしました。)
「川下り」 魚眼レンズに映る三毛猫 ちゃぶ台の上で喚くラジオ ある朝、全ての世界は消えて 私は冷たい流れを下る 落とされた水は不透明 泡立つ濁流の中を 水を追いかけヒレを動かし 千切れんばかりの痛みを抱いて 世界は果てからその先へ 7.24 |
「すっからかん」 和紙に空いた穴 向こう側を通り過ぎていく 赤い金魚の群れ 何度やっても 君は上手くすくえない 紙はすぐに破けて 僕の財布はすっからかん べそかく君に こっそりおまけしてくれた 露天のヒゲ親父 人のいい彼の儲けも たぶん今夜はすっからかん 7.26 |
「進化論 -kingyo-」 柔らかに揺れる 赤い小さな身体 何処から来て 何処へ行くのか 遺伝子の行方は 現世(いまよ)に定まらず その美しい姿さえも 未来(さき)に描くこともできず 何の為に生まれたの? 夜毎、密やかに問いかける 7.27 |
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