+ 夜空に広がる +
夜になれば星々の音が満ちた
(音楽は「VAGRANCY」より「序の想歌」をお借りしました。)
空に伸びた
真っ白な十字架
騒々しい
都会の汚濁を逃れて
北の聖域(サンクチュアリ)
最後の砦が
夜空へ羽ばたく
8.11
花火をあげましょう
大玉を1発
空一面に
鮮やかに咲く
天国にいる
貴方にも見えるくらい
華やかな花火を
今夜
貴方の逝った
この夜に
8.12
「空飛び猫」
眠れない熱帯夜
あまりの暑さに
窓は全開
ハタハタする音
窓の外に聞いて
目を凝らせば
闇に紛れ通り過ぎる
羽根のついた黒い猫
空に向かって一声鳴いて
軽やか夜を飛び回る
8.13
流れる星を数えて
願い事を呟いた
隣で眠る
貴方の寝息を聞きながら
1人冴え冴えと
夏の夜は更けてゆく
8.14
「Milky Way」
あの真っ白な
ミルクの雫が
君の頭上へ
降り注ぎますように
8.15
「光虫」
群青色の夜溜まりに
ツィと引かれる光る道
青白い軌跡は仄かに瞬き
描かれる幾筋もの螺旋
光虫は道を紡ぐ
絡み合うかぼそい糸は
出逢い別れる人の道
この一時の奇跡の道
8.16
初めに光り在り
同時に闇在り
人は光りを求め
朝を呼び
闇を懐かしんで
夜を愛した
8.17