+ Top + + 伝言+

+ 緑の天蓋に +

頭上に広るのは緑色した桜の葉

(音楽は「DIORAMA」より「グリーン・スリーブス変奏曲」をお借りしました。)

 

「通過者」

人の溢れる東京で

耳に届いた街角音楽

「あぁ、グリーンスリーブスね

 大好きな曲だわ」

雑踏で立ち止まった老女は

嬉しそうに

本当に嬉しそうに微笑んで

偶然、彼女を見た僕は

何となく得した気分で

人混みの中を通過していく

8.18

 

「水緑の詩」

零れ落ちる光は緑

漣揺れる水面に

さらさら鳴くのは水の音

何処か遠くで

桜が揺れた

木下闇の夏緑陰

深い濃い緑の淵

8.19

 

「日常」

陽当たりのいい

窓際の席に腰掛けて

貴方はコーヒー

私はココア

いつもの定位置

いつもの会話

流れてくるのは

いつもの音楽

8.20

 

「夏緑陰」

緑の小袖に

長の恋唄

報われぬ想いは

淡い光に

心の欠片が

空に溶けて

緑に染まる

夏の昼下がり

8.21

 

「翠夢」

緑の木魂を

冷たい水に沈めて

君が来るまで

葉陰に午睡もう

ゆるやかに過ぎる

夏の午後は

僕等の想い出を

緑の光りに包んで

懐かしい幻を

正午の夢に

織り綴ってくれるだろう

8.22

 

「水の音」

その音は水でできている

透明な清流

緑の山野から溢れ

緩やかな渓流を下り

夏の陰へと流れゆく

すくいあげれば

音は静かに

手から零れて

また、緑へ還る

8.23

 

「Green Sleeves」

1DKにぶちまけた

買いだめしたカップメン

洗い終わった洗濯物

全部放り出して

ベットに寝転がる

真新しい

ピアノスコアを広げて

耳の奥に木魂する

君がひいたピアノの音

8.24

 

 

+ next + + back +