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懐古してみても、過去と現在は別の糸

(音楽は「DIORAMA」より「メヌエット ト短調」(バッハ)をお借りしました。)

 

「プールサイド」

水を叩く足

波を起こす腕

真っ直ぐに進む

泳ぐ君

君を見て初めて

人の器が美しいと思った

「水泳」 7.24

 

「通りすぎる電車」

電車の振動が

ガタン カタン ガタン

汗ではりつくシャツ

首を締めるネクタイ

寝不足の頭は酸欠状態

ガタン パタン ガタン

不意に目の前に落ちた

虫取り網

慌てて拾う子供が1人

ガタン カタン ガタン

停車する電車

降りていく子供

窓の外に

遠くなっていく虫取り網を

僕は黙って見送った

「虫取り網」 7.31

 

 

「夕立ち」

突然の夕立ちに

2人して慌てて駆け込んだ

知らない店先

カサを買うお金もなくて

ずぶ濡れのまま

雨上がりを待った

幸福な時間

「夕立ち」 8.2

 

「肩車」

藍色の空に咲く

大きな花

きらきら降る

光る粉

見惚れる私の隣に

見えなくて泣く

小さな女の子

大きな肩に抱き上げられ

歓声をあげた

あの場所は

もう私には必要ない

「花火」 8.6

 

「斜陽」

傾きかけた太陽が

西の窓から

擦れた六畳一間

木製の卓袱台

色あせたカーテン

今はいない誰かの跡を

長く強く焼き付ける

「西日」 8.25

 

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