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停止して時間の狭間で考える

(音楽は「DIORAMA」より「マ−チ」(バッハ)をお借りしました。)

 

「祭り」

耳鳴りする囃子

ぶつかり合う神輿

ざわざわする

提灯灯と腹の底

「夏祭り」 7.20

 

「雨の降る午後」

蔓の先に

消えそうな桃の花

幾つも開いた

雨恋う昼顔

「昼顔」 7.21

 

「サヨナラ」

太陽の光りが

僕に目眩ましする

君の顔が見えない

声も届かない

置いてかないでと

伸ばした手は

虚しく空を泳いだ

「夏の光」 7.25

 

「波」

よせてくる水

砂の上の裸足

さらわれる足跡

さらさらと

海に帰る何かの声

「海」 7.27

 

「お日さま」

背高のっぽの

夏の向日葵

お日さま探して

首を旋回

君はいつでも

忙しいけど

僕を振りかえって

笑ってくれる

「向日葵」 7.28

 

「初料理」

テーブルにのった

赤いトマト

太陽熱で

湯だって真っ赤

料理に失敗した

私の顔も

貴方を見れないまま

うつむいて真っ赤

「トマト」 8.5

 

「睡眠不足」

寝苦しい

叫んでみても

夏の夜

眠れないまま

もう朝日

「熱帯夜」 8.8

 

「空の金貨」

小さな光りは

月の淵を

静かにたどり

飲み込まれ

吐き出される

たった十セントの

小さな金のコイン

「月食」 8.15

 

「存在価値」

吐き出す泡が君を傷つけるなら

僕は呼吸をやめよう

揺れる尾びれが眩しいなら

泳ぐことをやめよう

それで君が元気になるなら

僕は金魚をやめて

透明な金魚鉢の底に積もった

白い骨の一つになる

「金魚」 8.17

 

「香」

そばかす浮べた

山の貴婦人

緑濃い山の辺

何処までも

眩い香りが

魅了する

「山百合」 8.16

 

「雨」

空から落ちた

小さな粒

流れて

集まって

沈んで

それから

もう1度

空へ帰る

「雨」 8.18

 

「終恋」

透き通る水

すくいあげれば

ぽたぽたぽた

指から零れて

また海へ

追いかけた足に

チクリと痛み

波間に漂う

白い水母の群れ

「水母」 8.21

 

「海の宝石」

海の底の人魚姫たち

真珠貝のベットで眠りながら

深海の幽霊船で遊びながら

空の冷たい月を見ながら

自分だけを必要としてくれる

遠い誰かを待っている

尾びれを捨てる

ほんの小さな痛みと共に

「人魚姫」 8.26

 

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