+ 水緑幻想詩 +
すいめん |
揺れる水面 |
みなも |
水面に咲く蓮の花 |
囁きは水の中 |
終わらない恋物語 |
金の少女は群青色の夢を綴る |
深緑の沼の底に |
鍵は架けられ |
魚の眠り |
夜の魚は沈殿し |
地上には鳥が啼く |
扉を開ける碧い鳥 |
金の少女は今も夢の中 |
終わらない夢の狭間を |
迷子の鳥が通り過ぎる |
地上は緑の闇 |
木下闇 |
沼の底には… |
泉あふれ |
清流ながる |
交わされる約束 |
第一の呪文 |
雨音が世界を満たす |
降りそそぐ緑の雨 |
水滴は水面をたたき |
池の静寂を揺らす |
薄紅の花びらが一枚 |
緑雨の滴に混じる |
緑にけぶるその中に咲く |
満開の朝霧桜 |
<間奏曲> |
水面には幽霊 |
地上にはいるはずのない生き物 |
聞こえるのは雨の音 |
木の葉に降る |
緑の糸 |
夏の光は幻を生み |
木陰の緑は今なお深く |
水の音は意識を浸食していく |
池の辺に桜の少女 |
沼の底には緑の子供 |
深い眠りに輝りあふれ |
緑の衣が風にはためく |
夢の終わりはまだ訪れない |
仄かな橙が一つ |
水面を煌々と照らす |
それは目覚めの道しるべ |
碧い鳥が1羽 |
水中から飛び立つ |
夢と現は微かに交わり |
約束は果たされる |
第二の呪文 |
夏の記憶は果てしなく |
喜びは哀しみと共に |
時間は絶え間なく流れ行く |
桜の少女は水の中 |
遺される希望 |
第三の呪文 |
<間奏曲> |
昼と夜の狭間 |
それは眠りの境界線 |
水辺に佇む桜の幽霊 |
流れ行く |
子守唄 |
<間奏曲> |
森の奥 |
輝る窓辺で |
銀鈴の鈴の鳴る刻に |
カーテンが揺れる |
時間が螺子れる |
過去は未来とリンクして |
現在は時間の渦の中 |
時を忘れた鳥が1羽 |
螺旋の宙を翔けていく |
群青の眠りの先にある |
夢の最果ての宙 |
金の少女が綴る永遠の蜜月 |
光りは緑に溶け |
緑は水に滲み |
水はやがて群青 |
閉じられた入り口に銀の青年 |
池の淵では夢守人 |
希望を抱き微睡みの中 |
流れ行く久遠の約束 |
滑り込む銀の影 |
秘めやかな蜜月に幕は下ろされ |
唱えられた最後の希望 |
光り色した目覚めの呪文 |
水と緑の午睡の果て |
夢のあとさきに |
全てを飲みこみ |
沼は静かにそこに在る |
高校生の時に創った物語の詩。 前後のつじつまをあわせるうちに登場人物が 芋づる式で死んでいくという恐ろしい結果になった。 テーマは「運命の恋人」だったはず…。 |