4k68:私と、両親のこと
父は家に着くなり私の名前を呼ぶ。 私は、母にも父にもそれなりに愛されているようで、それはとても幸福なことなのだと誰かから聞いた。まあ私もそうだろうと思う。 夕食は両親と私の3人でとることが多い。これもとても幸福なことであるということは父が良く強調するところである。 私が多少偏食しがちなのを母は気にしているようだ。別に食べられないほどに嫌いなものなど無いのだけれど、好きな物から食べていくうちにお腹が満たされてきて、残りはもういいやという気分になってしまうのだ。これくらいは許して欲しいと思うのだが、駄目だろうか。 両親は、たまに私に見えないようにしながら(実は見えているのだが)おやつを食べている。私より両親の方が普段の苦労も多いことだろうし、それくらいは目をつぶってあげるから堂々と食べれば良いのにと時々思う。 そういえば夕食の度に父が飲んでいる黄色い液体も気になっている。 私はお気に入りのパジャマを選んでから入浴をする。 私は半開という状態を好まない。 父は電気も消さない。勿体無いから不要な照明は消しておかなければならないと思うのだが、父はその辺りについて無頓着である。 私はもうすぐ「にさい」になるらしい。 私が母乳を飲むことを両親ともに気にしているようで、母乳が欲しいと言うと母は必ず「『にさい』になったらバイバイしようねえ」と私に確認を迫り、その度に行われる『ゆびきりげんまん』も何のおまじないだか解らないが随分上達した。 「K君も、Yちゃんも、もうバイバイしたんだってー。Pだけよー。まだ飲んでるの。おかしいよー」 何がおかしいのだかやはり納得がいかない。 結局話だけ「『にさい』になったらバイバイしようねー」ということにして、母乳は飲ませてもらっているのだが。 ところで、『にさい』って何? |
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