4k94:人間は何から出来ているのか
子供は甘いものが大好きである。
中には甘いものが嫌いな子供もいるとは思うが、ここでは子供は甘いものが好きであるということで話を進めさせていただきたい。だってみんな好きだったでしょう。甘いもの。
「好きだった」と書いてしまうと今は甘いものが好きではないということになってしまうのであるが、ここでは大人は子供の頃ほど甘いものが好きではないということで話を進めさせていただきたい。だってみんな昔ほどには好きではないでしょう。甘いもの。
いやいや、私も甘いものは好きな方で、それは昔の4kを読んでいただければ私が実はモンブラン党員であることが書かれていたりすることなどから知っていただけるはずのところである。さらに書くと、モンブランでなくても甘いものは色々好きな私である。 しかし、子供の頃ほどには好きで無くなって来ていると思うところには例えば500ml入りの炭酸飲料などはいつの頃からか飲むことが困難になっている。麦酒であれば1Lくらい飲んでしまいそうなものだが、ジュースの類となると350mlでも多すぎると感じてしまっている。 子供の頃によく食べていたように思う甘いものたちは年齢を重ねていくうちに量を受け付けられなくなってきているのだった。 ハタとその事に気づき、少し寂しくなった。
さて、そんな私を置いてけぼりにして妻と娘は甘いものをよく食べる。
娘など、ショッピングモールなどへ買い物に出かけた際、ソフトクリームの形をしたオブジェ(あの電球が入っていて光る奴)を見かけると、
「とうちゃん、なんかおなかがすいてきた〜」
などと言い出すようになった。 何が「おなかがすいてきた」だ。さっき昼飯食べたばかりだろうがと言いたくなるところだが、これは「ベツバラ」と呼ばれる、女性に多く見られる特殊な消化器官があるということなのかも知れない。 妻も「ベツバラ」保有派であり、どうやら甘いものは専門の消化器官にまわされるので満腹になってからでも食べられるということらしい。
少し横道に逸れてしまった。「ベツバラ」についてはまた別の機会に触れる事にしたい。 さて妻をはじめとする成人女性、娘のような子供が甘いものを欲する理由はどこにあるだろうか。
これは単に「必要だから」ということなのではないだろうかと考えてみた。
子供は発育途上であり、多くの栄養源を必要としている。 中でも脳は多くのカロリーを消費する部分であり、子供時代は脳を成長させるために多くの糖分が必要と。 「ベツバラ」派の成人女性に何故糖分が必要なのか。 これはストレス解消のためであるということにしておきたい。なぜならば私が妻の機嫌を損ねた時などにはほぼ間違いなく「お詫び」だとかなんだとか言って甘いものを要求されるからである。 きっと損ねた機嫌をリセットするためにある程度脳に糖分を供給しなければならないのだろう(少々摂取量が多いように思うのであるが)。
前述したように最近の私は甘いものもそれなりに好き(脳もそこそこ使っていると言いたい)なのであるが、なにより好きなのは麦酒、そして海草サラダである。 麦酒はアルコール、そして喉ごしを要求しているのでまあ体に必要なのかどうかは考えないことにして、問題は海草である。 子供の頃から割と好きではあったが、最近より一層好きなのであった。これはどういうことなのか。
体が海草を求めているのであろうか。 海草が持つ何かの要素を体が要求している。不足している。
考えれば考えるほど頭皮の状態が気になるところであるが、今のところ私の頭髪量には変化が見られないのでもうしばらくの間気にしないことにする。今書いたことは忘れる。忘れろ俺。
そういえば娘を産む前の妻はつわりで苦しんでいる時、梨を良く食べていた。 妊娠中の妻にとっては梨が最も必要なものだったのであろうか。 乱暴だが、娘の主構成要素は梨かも知れない。 書きながらそんなことを考えた。
母に連絡してみた。 私を生む前、つわりの時期には一体何を食べていたか? この文章を書いている最中、気になってきたのだ。
「あのさあ、つわりの時って何食べてた? 特定の食べ物しか受け付けなくなる場合があるって言うじゃん」 「ああ、それねえ……。塩漬けの昆布をお茶漬けにした奴ばっかり食べてたわ」
どうやら昆布のようである。 私の主構成要素は昆布であったのか。興味深い(*1)。 私の海藻好きと何か関係がないだろうか。
ここ最近、妻はやたらとマンゴーを欲するようになっていた。 もうすぐ生まれる予定(*2)の、多分男の子はマンゴーを主構成要素として生まれてくるはずである(*3)。
「梨の姉」と違った個性を持って生まれてくることを期待している。
*1 母はこの後、私の妹がお腹にいたときは何も食べられず、病院で点滴を2回ほど受けた事も教えてくれた。 ちなみに妹は小食である。興味深い。
*2 この文章公開時点では既に生まれている。男の子である。
*3 んなこと言ったって他のものも食べているのだから、本気にはしないでいただきたいのであった。
|