まだ未定???


最近、気になる言葉がある。

予定を聞かれて「まだ未定です」と平気で口にする人が、老若男女を問わず、このところ増えたような気がする。先日は、某テレビ局のニュースキャスターまでもが「まだ未定です」と答えていた。これに類する「未」の付く言葉は枚挙にいとまがなく、例えば「あなた、まだ未成年でしょう?」と子供を叱る大人の言葉は、耳にする機会も多いことだろう。他にも「まだ未完成です」とか「まだ未経験です」とか「まだ未熟です」とか、聞いていると背中がむず痒くなってくるような言葉のオンパレードである。

国語辞典で「未」を引いてみると、そこには漢語の造語成分としての意味「まだ、そのことがおこなわれない。まだ、その状態に達しない」が記されている。中学や高校の漢文の授業でも、その言葉の冒頭に「未」が来れば「いまだ〜ず」と読むことは、誰もが学習しているのではないだろうか?

言葉というのは時代の移り変わりと共に変遷していくものだから、私のように国語学者でもない普通の日本人がおかしいと感じる言葉でも、世間一般ではもう認知されているのかもしれない。でも、この類の言葉は「期待して待っている」や「馬から落馬した」という言葉と、同列に扱われるべきものだと思う。言葉というのは、自分の意思を相手に伝えるための手段である。だから、その言葉を正確に使うという行為は、相手への意思疎通に必要不可欠なことに違いない。言葉は大切である。

この文脈で、私たち科学者には「誰もが理解できるように、難しいことを平易な言葉で表現し、説明する責務がある」と言えるのではないか。従って、やたらと難解な専門用語を操り(自分の教養をひけらかし?)「分からない奴が悪い」という態度で臨むような人は、本当の意味での科学者ではないのかもしれない。


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