右利きの左使い


生まれつきの右利きである(右腕は左腕の1.2倍くらい太い)。世の中は右利きが多いせいか、右利きに便利なように出来ている。そのため左利きの人は、幼い頃に右利きに矯正されるのが普通である。彼らは元々が左利きなのだから、結果的に両方の手が使えることになって、便利なことこのうえない。これに対し右利きの人は、左手をメインに使う機会は一生涯なく、これが脳の老化現象を速める一因ともなっている。

一方、スポーツの世界では、左利きが有利である。そのため右利きを、わざわざ左利きに矯正することもある。私は高校・大学のとき、体育会系のバレーボール部に所属していた。高校1年生のとき、同じ部の3年生の先輩から「これからは左手で食事をするように」と厳命され、高校の3年間は食事のときだけずっと左手を使用していた。大学のバレーボール部でセッターをやらされたときは、これが随分と役立ったものである(特にアタッカーにジャンプトスを上げるふりをして左手で相手コートに落とす二段攻撃など)

おかげで私は、左手をかなり器用に使いこなすことができる。うどん、蕎麦、ラーメン、等々を食べるときは言うに及ばず、現在では左手で総ての食事をしている。食事以外にも、そのときの気分で左手を使うことが多く、左手に持った箸で豆を挟んで拾うことも容易である。豆拾いは余り他人に見せたことはないが、見れば誰でも、私を完全な左利きだと思うに違いない。

左右両手に筆記具を持って左右対称に文字を書く、いわゆる「鏡像文字」も、取り立てて練習したことはないが、私にはたやすいことである。過日、某TV番組を見ていたら、この鏡像文字を書くことが普通の人には困難であることを知った(1)。生まれつきの右利きが左手を使うことで、どうも脳が活性化され、老化防止にも役立っているようである。

[脚注]
(1) 「自分では当たり前に出来ていることなので、誰にでも出来るものだと思い込んでいたら、それが違った」と気付かされることが最近よくある。


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