後肢骨の変異

Pes APes BPes CPes D
Pes EPes FPes GPes H
Pes IPes JPes KPes L
Pes MPes NPes OPes P

トウホクサンショウウオの後肢骨のエックス線写真(Hasumi and Iwasawa, 1993)。読者の便宜のため「左側の」後肢骨を背中側からみたものを示してある。元々の右側の後肢骨はアルファベットに付けた星印で表している。スケールは5mm。

(A) 標準(後肢骨の構成; 図Aを見よ)。後肢の趾骨式は、第1趾から第5趾までの趾骨数が22332。足首の関節を構成する骨は、10個のふ骨で構成されている(肥大した第1+2基底ふ骨と第3・4・5基底ふ骨で構成される4個の基底ふ骨、3個の中央ふ骨、脛ふ骨、腓ふ骨、中間ふ骨)。

(B*) 異常。形状のおかしい第2趾は肥大した第2蹠骨に乗った枝分かれした大きな趾骨を持ち、痕跡的な第5趾は非常に細い第5蹠骨のみで構成され、肥大した第1+2基底ふ骨と第1中央ふ骨はほとんど融合しており、第5基底ふ骨と腓ふ骨はそれらの境界線が明瞭ではあるが融合しているようである。

(C*) 第4趾を持たない擬4趾性。後肢の趾骨式は22302で第4蹠骨を欠くが、第4基底ふ骨は存在する。

(D*) 余り発達の良くない第5趾(矢印)を持つ擬5趾性。後肢の趾骨式は22320で第5蹠骨を欠くが、第5基底ふ骨は正常である。

(E*) 6個のふ骨を持つ4趾性。ユニークな6個のふ骨を持つ後肢は、第1+2基底ふ骨、第3蹠骨と第4蹠骨の両方を支える融合した第3・4基底ふ骨、融合した第一中央ふ骨と脛ふ骨、融合した第2・3中央ふ骨、腓ふ骨、中間ふ骨で構成され、趾骨式は12320。

(F) 5個の中央ふ骨を持つ5趾性。これは原始的な四足類にみられるものである。後肢は、これら5個の中央ふ骨のせいで12個のふ骨を含む。

(G) ハクバサンショウウオのものと同じ構成の4趾性。後肢の趾骨式は22320。第5趾の完全な欠如を示す、第5蹠骨と2個の趾骨の欠如は、大部分が第5基底ふ骨の欠如に原因があり、一部は第4基底ふ骨と第5基底ふ骨の融合に原因がある。ハクバサンショウウオでは、痕跡的な第5蹠骨が36の試料のうち2つで認められたが、どの試料にも第5趾・第5趾骨・第5基底ふ骨がなかった。

(H*) 第3・4基底ふ骨が融合した4趾性。後肢の趾骨式は12210。

(I*) 11個のふ骨を持つ4趾性で非常に小さな2個のふ骨を含む。後肢の趾骨式は22220。

(J) 小さな第5基底ふ骨と骨化していない第1中央ふ骨・脛ふ骨を持つ4趾性。後肢の趾骨式は12320。

(K*) 蹠骨と趾骨が正常にもかかわらず痕跡的な第5趾を持つ5趾性。第3・4基底ふ骨の融合が、結果的に見かけ上、発達の良くない第5趾を出現させている。その第5趾は、第5蹠骨と2個の趾骨で正常に構成されており、第4蹠骨と3個の趾骨に近接している。

(L*) 痕跡的な第5蹠骨と趾骨を持つ5趾性。

(M*) 骨化していない脛ふ骨を持つ5趾性。

(N) 骨化していない第1中央ふ骨と脛ふ骨を持つ5趾性。

(O*) 骨化していない第5基底ふ骨・第1中央ふ骨・脛ふ骨を持つ5趾性。第5基底ふ骨の非骨化は、第5蹠骨と2個の趾骨の欠如には影響しない。

(P*) 距骨外骨(矢印)を持つ5趾性。これも原始的な四足類にみられるものである。


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