早朝練習

応用練習A              改定:平成14年1月26日 

目   次

1対1のシュート練習

ミニゲーム

●1対1のシュート練習

 舞子台緑地公園内には、幸い少年サッカー用のゴールがあり、それが通常は同じ場所に2個並べてあるので、シュート練習が同時に2箇所でできる。ミニゲームのすぐ前に必ずやっているのが、このゴールを利用した1対1のシュート練習である。

 

ルールねらいは以下のとおりである。

(1)2人1組になり、一方がゴールを狙い、他方がキーパーをして防ぐ。キーパーは12mラインより手前のエリアで手を使える。シュートする側はシュートをする前準備として必ずゴールから20m位離れた所に置いたコーンにタッチする。キーパーの子は相手がコーンにタッチするのを見てからボールを出してやる。こうすることで、一定の離れた距離から走りながらボールをトラップする練習ができる。

   シュートの方法には制限をつけていない。そのためか、とうてい無理そうな超ロングシュートを狙ったり、キーパーをドリブルで完全にかわすまでシュートを打たなかったり、いろいろやる。昼間の練習でそんな勝手なことをしていたら、多分コーチに怒られてしまうだろう。しかしここではあえて自由にやらせている。無理なシュートをして、いくらゴールを外しても相手に喜ばれるだけで怒られることはない。しかし、勝負には負ける。失敗を繰り返しているうちに自分はどこまでだったらうまくシュートが入るか見極めがついてくるようになる。あれこれ制限を設けないことが全く飽きのこない練習となるとともに、子供たちの自主性や創造性を養い、試合で大事な即応性をも身に付けられるからである。

 

(2)キーパーから出したボールを3本ずつ交替で3ラウンド計9回のシュートを行い、得点を争う。

    @最初の3本はインサイドキックでゴロのボールを蹴る(出来れば早いのがよい)。

    A次の3本は、片手で投げて(またはスローインで)ボールをバウンドさせる。

    B最後の3本はパントキックで高く上がったボールにする。

   ボールを出す側は、知らない間にインサイドキックとパントキックのコントロールがつく。ボールを受ける側も、ゴロのボール、バウンドするボール、高くあがったボール、の3種類のトラップを自然に覚えられる。ただ、ボールをもらいに行くときに全力で行くかそうしないかでかなりの技術差ができてしまうが・・・。

 

(3)キーパーから出したボールをシュートする。シュートの仕方で得点が異なる

シュートがゴールに入ればまず1点。さらに、以下の条件で得点が加算される。

@キーパーから出したボールをダイレクトで入れたら1点追加

A利き足ではない方の足で入れたら1点追加。

Bロングシュート(ゴールから12m位の所にゴールラインと平行に線を引いておき、そこよりも遠くから蹴る)が入ったら1点追加。

Cヒールキックで入れたら1点追加。

Dヘディングで入れたら2点追加。

Eオーバーヘッドで入れたら4点追加。

   冒険的なロングシュート等で得点を一度に取るか、キーパーの近くまでドリブルして確実に得点するかは、各自の判断にまかせてある。勝負が一方的になっても、最後まで逆転の手段が残っているところがこの練習を面白くさせている

   利き足ではない方の足で入れると1点加算されるので、ほとんどの子は利き足ではない方でシュートをする。「たまには逆足を使え」などとわざわざ言わなくても、勝負にこだわって普段使わない足の方をほとんどの子が使うところが面白い。

 

(4)シュートがゴールに入ること以外に、1回毎の勝負は以下の条件で終了となる。

@ボールがゴールラインを越える。

Aキーパーがボールを手で取る。

B12mラインの中に一度入ってから外に出た場合。

C横幅は、ペナルティエリア位の範囲を目安にそれを越えた場合。

 

(5)この練習の結果で負けたほうにゼッケン(ビブス)をつけさせるようにしている。つまり、次のミニゲームのチーム分けをこの練習の結果で決めている。こうすると、次のミニゲームで、できれば強いチームの方に入ろうとして、皆最後まで勝負にこだわって真剣にやる

 

 

 

 

 

 

 

 

 


●ミニゲーム

 ミニゲームの時間は6:30〜6:55までの25分しかない。なんとか最低3ゲームをこなすために、3点差または7分経過でひと勝負を終わらせるようにしている。

 

・チーム分け

貴重な時間を無駄にしないように、「チーム分け」だけはすばやく決めるようにしている。

最初のチーム分けは、この直前に必ず行っている1対1のシュート練習の勝負結果で決めている。負けたほうがゼッケンをつけることで簡単に決まる。

2回目は、Nコーチ開発のトレード方式で行う。例えば1チームの人数が6人だったら、トレードを3名にする。各チームの中でジャンケンをし、一斉に出したグー、チョキ、パーの数を比べてみんなと違うものを出した子が順にトレード要員となる。

3回目は、2回目にトレードになった子がゼッケンをつけるようにする。(人数が合わなかったら、残りで同様のジャンケンで決めればよい)。

チームメンバーを勝負が終わる毎に変えることで、チームの偏りがどうのこうのとみんなが言わなくなる。

 

・特殊なルール

いちいち口でああしろ、こうしろと言わなくても自然に技術が身につくように特殊なルールを設定している。

ルール狙いは以下のとおり。

@自陣のキーパーエリア内では全員が手を使ってよい

 →全員攻撃、全員守備をさせるため。キーパーを固定してしまうと、その子はほとんどゲームに参加できなくなる。早朝練習に来た意味がなくなる。

 →疲れた子はキーパーをすることで休める。

Aオフサイドは敵陣で前に敵が1人もいない位置にいる子に後ろからパスをした場合とする。

固定したキーパーがいない分、オフサイドに関わる人数を1人減らして実戦と同じ条件にする。

Bシュートは相手陣地内で(ハーフラインを越えて)蹴った場合しかゴールを認めない。

ボールを持った側が全員敵陣に入って攻撃をできるようにしている。ロングシュートを認めたら、常に自陣のゴール前に誰かが番をしていなければならなくなる。

Cシュートが相手のゴールに入った瞬間に自陣に2人残っていたら得点は認めない(残1人なら得点)。

味方が敵陣で単独攻撃しているのを自陣からボーッと見ているようなことをやめ、常に全力でフォローする意識をつけさせるため。相手の逆襲を考えて1人は自陣に残っておく意識もつけさせる。

Dサイドから出た場合は、すべてキックインとする。キックインした子がそのままドリブルを始めてもよい。

→リプレーを早くするため。とにかく朝は時間がない。

Eゴールキックは、自陣のキーパーエリア内からパントキック、手でスロー、いきなりドリブル等なんでもあり。

→リプレーを早くするためと、その場の状況に応じた最適な攻撃パターンを選択させるため。

F試合開始はリターン方式とする。つまり、ジャンケンをして勝ったチームが一度相手にボールを渡し、相手が蹴り返してきたボールに味方が触れた瞬間から開始とする。これは、失点して再開するときも同じである。

→リプレーを早くするため。ハーフラインから試合開始などやっている時間はない。

G3試合のうちの1試合は必ず、1タッチ、2タッチ、3タッチのいずれかの制限を付ける。違反したら相手ボールとなる。人数差や実力差がある時は、強い方のチームのタッチ数を少なくする。制限は3、4分位で解除をする。そうしないとストレスがたまって不満が出る。 この制限は、自陣のキーパーエリアだけは適用しないので、そこでは何回でも触れる。

→プレーの判断を早くさせるため。

→無駄なドリブルをやめさせるため。

人数が多い場合などに、全員がボールに触れる機会を増やす。

体の入れ方を覚えさせようとしたら1タッチのルールにするとよい。ボールを相手に取られないようにと無意識のうちにやりだす。

→体の入れ方を上手にするため。このルールがあると、ボールに何回も触れないのでボールを取られないようにと先に相手とボールの間に体を入れる癖がつく。

→ボールに触らずに視野の広い方へ体を向けるようになる。

H味方からのパスをダイレクトでシュートしてゴールに入ったら2点とする。

ドリブルしながら攻撃している時に、敵のゴールだけでなく味方も視野に入れるようになる。つまり、自分がシュートをするか、味方を使ってシュートをするかの2つの選択肢を持って攻撃ができるようになる。また、味方がゴールに向かってドリブルしていたら、それをフォローする意識も生まれる。

トラップしてシュートするよりも、ダイレクトシュートの方を優先するようになる。

このルールは、例えば人数差や実力差があるときの強い方のチームだけに適用することもある。

 

・負けたチームは腕立て伏せ

 上手になる早道は、勝負にこだわり常に真剣にプレーすることである。最後まで集中力を失わせないように、得点差の分だけ腕立て伏せをさせている。

腕立て伏せの回数についてだが、多くすればより真剣にやるかといえばそうではないことがわかってきた。誰でも試合に負けたということを具体的な形で認めるのがいやなだけだ。屈辱感を体で味わせられれば何でもよいのだ。だからたとえ腕立て伏せ1回でも十分な効果がある。

ミニゲームには、コーチ(父兄)も必ず入ってやっているが、子供たちから不公平感をださせないように、負けたら子供と一緒に腕立て伏せをやっている。