1年生の練習内容 

2001年11月号            作成:平成13年11月10日 

目   次

相手のボールにタッチする競争

足の裏でストップするフェイント

ドリブルシュート競争(コーチがキーパー)

正面からボールに向かって突っ込んでくる敵を横にかわす

相手のボールにタッチする競争

ボールを引いてから相手のボールにタッチする

10月までは、練習の目的を明確にするために、敢えて後ろから相手のボールを蹴るのは禁止していた。しかし、実戦ではそんなことはあり得ない。あまり禁止ばかりしていると、後ろの敵に対して常に防御のアンテナを張るというサッカーでは最も重要な感覚が養えなくなる。そこで今回からは、後ろからのアタックを完全にフリーにした。子供達は制限がなくなって大喜びだ。ルール説明は以下のようにした。

  「今度は相手のボールにタッチする競争です。ドリブルして相手に近づき、向かい合ったらまず自分のボールを引いて取られないようにしてから、スキを見つけて相手のボールにタッチしてください。但し、遠くに蹴ってはいけません。突っつくだけにしてください。今日は、後ろからこっそり行って前ばかりしか見ていない子のボールにタッチするのも“有り”にします。10人分タッチしたら座ってください。誰が1番に終わるかな?誰がラストになるかな?よーい、スタート!」と言って、全員に競争をさせた。この練習は、一番盛り上がるので必ず最後にやるとよい。

足の裏でストップするフェイント

ドリブルしている時に敵がしつこく併走してくるのはいやなものだ。なんとか振り切りたいと思う。そんな時に使うのが足の裏でストップするフェイントだ。

・足の裏でボールを押さえた直後にダッシュ

ドリブルしている途中で併走する敵の様子を伺いながら、ドリブルのスピードを緩めて足の裏でストップする。敵がそれを見て止まった瞬間、同じ足のつま先でボールと地面の間を突いてボールに逆スピンをかけつつ前方に出す。と同時に急激なダッシュで敵を引き離す。敵が左側についた時は、右足でボールを押さえることが原則だ。こうすると、左足で敵をブロックすることが出来る。このフェイントを子供たちに数回見せた後、「出来るかな?」と言って真似をさせた。「こう?」「こう?」と言いながら皆真似をし始めたが、しばらくして半分位が出来るようになったので、次の様にルールを説明して競争をさせた。「スタートしたら足の裏でボールを止めてからすぐにダッシュするのを、行きに途中で2回します。向こう側のラインを越えたらターンをして、帰りにも同じことを途中で2回行います。最後にスタートラインにボールを止めたらゴールです。それでは位置について。ヨーイ、ドン」

勝負の方に夢中になって肝心の課題がおろそかになってしまう子が何人かいたが、現時点ではよしとした。

・足の裏でボールを止めるふりをしてダッシュ

これは、上記と同じ状況でのフェイントだが、ボールに触らずに行う。ドリブルしている途中でスピードを緩めるところまでは同じだが、そこで、@ボールの上に足を上げ、Aボールに触れずに下に降ろし、Bつま先でボールと地面の間を突いてボールに逆スピンをかけつつ前方に出す。こうすると、一瞬敵には足でボールを止めるように見えるので、上記と同じフェイントとなりうる。ボールに触れなくて済むので、失敗が少なくなる。このフェイントも同じ様に子供たちに数回見せた後、「出来るかな?」と言って真似をさせた。「こう?」「こう?」と言いながら皆真似をし始めたが、今度は4分の1位しか出来なかった。そこで、今度は動作をゆっくりと、「足を上に上げてー、下に降ろしてー、ボールを前に出すー」「いち、にー、さん」「いち、にー、さん」と言いながらやって見せた。しばらく個別に指導していたら、今度は半分位できるようになったので、同じルールで競争をさせた。

ドリブルシュート競争(コーチがキーパー)

 10月号で紹介した“ドリブルシュート競争”では、それまで途中に置いていたコーンを取り払って、かわりに守備エリアを作った。より実戦に近づき偶然性も加わったが、まだ実力差が結果にでてきてしまう傾向が強かった。これでは、上手な子だけが楽しい練習になってしまう。力のない子はいつまでたっても勝てないのでそのうちやる気がなくなってしまうかもしれない。勝負はやってみなければわからないという意識を植え付けるために、一工夫加えた。それは、キーパーをコーチがやることだ。コーチがやれば、上手な子でもなかなかゴールに入らなくなる。守備エリアをドリブル突破するのに時間がかかり、シュートをするのが遅れてしまう子も、コーチが上手な子のシュートをある程度阻止することで対等の勝負に持ち込ませることができる。上手な子もコーチを相手にしてシュートが入れば大きな自信がつく。

この練習の狙いは、あくまでもドリブルからシュートに至るまでのプレーをできるだけ早くやるように習慣づけることにある。また、単調でハードな内容にならないように以下の2点を練習の条件に入れることはこれまでと同じだ。

@勝ち負けがはっきりしていること。

A得点をしたことが、自分のチームの勝利に貢献すること。

チーム分け

まず全員を集合させて一列に並ばせる。「前から順番に番号を言ってください。番号を言った子はすぐに座ってください」。こうすると、たちまち順番が決まってしまう。そこで、たとえば12人いたら、「1,3,5,7,9、11番の子はゼッケンをつけてください。」と言って、ゼッケンをつけさせる。

準備

ミニゴールを2つ作る。ターンするライン、シュートする範囲を示すラインを引く。ドリブルコースの途中に守備エリアをつくり、コーン4つで囲う。互いのゴールの脇に一列に並ばせる。スタート地点に大きなコーンを置く。得点用の小さなコーンをゴールの脇に置く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


                                                                                                                                                             

 

 

 

 

 

 

 

 

ルール説明

次にルールを説明する。

「各チームから一人ずつ出て勝負します。コーチの合図で同時にスタートし、向こうのラインを越えてから戻って来てシュートをします。先にゴールに入れた方を勝ちとします。途中に守備エリアがありますが、この中に各チームから1人ずつ入って相手チームの攻撃を防いでください。味方チームの子がドリブル突破できない時は、中にいる同じチームの子がパス交換して助けてあげてもかまいません。その後シュートをしますが、シュートが打てるのはこのラインとこのラインの間だけです。どちらが先にゴールに入れるかの勝負なので、失敗してゴールを外しても相手が入れていないうちはやり直しができます。得点したら、小さなコーンをここ(白線で書いた得点エリア)に入れてください。ゼッケンチームは赤いコーン、ゼッケン無しチームは緑色のコーンです。先に10点取ったチームが勝ちです。スタートする時は、必ずコーンを片手で触っていること。」と言ってから始める。

 

コーチがキーパーになって勝負を面白く演出

 コーチはゴールの真ん中に立って、基本的に正面に飛んできたボールだけはじくようにしたらよい。子供たちは、自然と端を狙うようになる。また、2人の実力がかけ離れている場合は、上手な子の方のシュートをある程度本気を出して阻止し、2人の勝負が僅差になるように調整してもよい。但し、子供たちには誰に対しても本気でやっているように見せかけることが大事だ。シュートを決めた子は、大人を相手に入れたことで自信がつくはずだ。

正面からボールに向かって突っ込んでくる敵を横にかわす

 正面から転がってきたボールに対して敵が全力で突っ込んでくる場面というのは、試合中に極めてよく出てくるパターンのひとつである。多くの子供達はあわててボールが来た方向、すなわち正面に蹴ってしまい、結果として敵のチームにボールを奪われてしまう。この対処方法は早いうちに練習で覚えさせておくとよいと思う。そうでないと、いつまでたっても蹴り合うだけの原始的なサッカーから脱皮できない。

正面から突っ込んできた敵に対しては、まず出来るだけ自分の近くに来るまで我慢して待つこと。そして、敵が突っ込んでぎりぎりまで来たところで横にボールを出してかわせばよい。敵が間近に来た時に横にかわせば絶対にボールに触られることはない。

この練習は、次のようにやるのが一般的だ。

2組に分けてそれぞれ縦1列並べ、互いに7m位離して向かい合せる。一方の先頭の子が向かいの先頭の子にパスを出すと同時にその子にダッシュして駆け寄って行き、それを相手が横にかわす、というものだ。しかしそれだけでは面白みがない。1年生だったら目的がよくわからないので、しばらくするとボールを出すだけで相手のところに突っ込むのはやめてしまうだろう。

それではどうやったら真剣に、しかも飽きさせずにやらせることができるか?今回は以下のようにやってみた。

2人一組になり、互いに印のあるところに立って向かい合う。Aの方がボールを持ち、AからBにボールをパスすると同時に、ボールを取りにBに向かって行く。真ん中のラインを越えた時点で勝負開始。AはBがドリブルで自陣からラインを越えるまでにボールを触れれば1点をゲットできる。勝負が終わったら、今度はスタートの位置が入れ替わり、BからAにパスを出して勝負を行う。これを繰り返して10点を取った子が出てきたら終了する。