1年生の練習内容 

2001年月号            作成:平成13年8月31日(Rev.A) 

目   次

バウンドするボールを胸でトラップする練習

タックル&ボール引き

ボールの奪い合いからシュート

1対1のシュートゲーム

バウンドするボールを胸でトラップする練習

 トラップについては基本練習を7月号で紹介した。

今回は、大きくバウンドしてくるボールを胸でトラップする練習をやってみた。理由は、試合によく出てくるパターンだからである。やり方を知らない子は、足先だけで簡単に処理をしようとして後ろにそらしてしまうことが多く、それが試合で敵に攻められている時だったら、すぐに大ピンチになってしまう。

 トラップもいろいろなやり方があるが、サッカー関連の本によく紹介されているのは、ボールがはずんでくるところに三角形を作ることだ。胸でトラップする場合は、下図に示したように上半身を前に傾けて地面と胸の間に三角形を作り、はずんだボールを胸に当ててトラップする。胸に当たったボールは、原理的に自分の体より前に跳ね返ることはない。

早速コーチから見本を見せてからやらせてみた。注意した点は、以下の様なことである。

@胸にボールを当てる時に両手を広げさせた。そうしないと、ちょっとボールがそれただけで手に当たってしまう(ハンドリングの反則になる)からである。

Aはずんできたボールを後ろにそらしてしまう子が多くいた。大半は、自分の体の真ん中にボールが来るように動いていないためだった。ボールが飛んできたら、すぐにその方向に体を移動させるように言った。

Bトラップの時に上半身をまっすぐにしたままで前に傾けない子がいたので、個別にコーチから見本をみせて何回も真似をさせた。

 練習方法は、2人一組で一方がスローインで投げたボールをトラップさせるようにした。これは同時にスローインの練習にもなるので、コーチにとっては一石二鳥だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

タックル&ボール引き

6月号で紹介したタックル&ボール引きの練習は、次の2つの問題が生じた。

@このゲームをやろうとすると、なぜかすぐに隣同士が近づきすぎてしまう。ゲームをスタート   させる前準備として、隣同士を一定の間隔に保たせて向かい合わせるのに、けっこう手間暇がかかる。

Aタックルのトライを5回勝負としていたが、各組が5回終了するまでの時間がマチマチなので、

 先に終わった組をどう待たせておくかが難しかった。

 

 8月になってからは、以下の様に修正することでこの2つの問題をクリアできるようになった。

@項の問題は、最初に平行線を引く時に、あらかじめ片方のラインだけ2〜3m間隔で印を入れておく。(下図参照)子供たちには最初に、ここにボールを置くように言っておくだけでよい。

A項の問題は、『2分間で何点取れるか』という風に変えた。こうすると、多い子は15点も取ることが出来るので、前よりも面白くなったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ボールの奪い合いからシュート

 6月号で「ボールの奪い合い」がサッカーの原点であることを説明した。これには、昔からいろいろな練習方法があるが、単調でハードな内容になりやすい。従って、行き当たりばったりの考えで練習を始めると、子供達にとってはつまらない部類の練習になりがちだ。

1年生には、最後まで集中力を維持させるという意図で以下の2点を練習の条件に入れるようにした。

1.   勝ち負けがはっきりしていること。

2.   得点をしたことが、自分のチームの勝利に貢献すること。

そのために、得点は自分達でつけ、両チームの得点経過が全員に分かるようにする。

・チーム分け

 まず、チーム分けから行うが、7月頃からは子供達に好きにチーム決めをさせると、双方のチーム力の差が極端になってしまう傾向が強くなってきた。そこで、今は次の様にしている。

まず、全員を集合させて一列に並ばせる。「前から順番に番号を言ってください。番号を言った子はすぐに座ってください」。こうすると、たちまち順番が決まってしまう。そこでたとえ12人いたら、「2,4,6,8,10、12番の子はゼッケンをつけてください」といってゼッケンをつけさせる。

・準備

ミニゴールを2つ作る。互いのゴールの脇に一列に並ばせる。スタート地点に大きなコーンを置く。

・ルール説明

次にルールを説明する。「各チームから一人ずつ出て、コーチが出したボール1対1で競り合って相手のゴールにシュートをします。得点したら、小さなコーンをここ(白線で書いた得点エリア)に入れてください。ゼッケンチームは赤いコーン、ゼッケン無しは緑色のコーンです。終わったら必ずコーチの所にボールを置いてください。先に10点取ったチームが勝ちです。先頭の子は、必ず大きなコーンを片手で触っていること。コーチからボールを出したらスタートです。」と言って、いろいろなボールを2人の間に出してやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


1対1のシュートゲーム

 7月号で紹介した1対1のシュートゲーム”では次の問題が生じた。

 これまでは、攻撃と守備を表と裏で一定時間ずつやらせていたが、たとえば表のチームが3点しか取れなかった場合、裏のチームの制限時間が来る前に4点取ってしまったら、そこで勝負がついてしまう。勝負がつくと、子供たちのやる気と集中力は、途端に途切れてしまった。

そこで、攻撃と守備を表と裏に分けずに、PK戦のように交互にやるようにしてみた。

・チーム分け

まず、チームを2つに分ける。これは、前ページのやり方と同じ様に列に並ばせて番号を言わせれば簡単に決まる。一方にゼッケンを着せて、チームが容易に分かるようにする。

・ルール説明

 「まず、両方のチームから2人ずつ、ディフェンスとキーパーを決めてその場所に行ってください。攻撃が一巡したら順番に交替します。ディフェンス→キーパー→攻撃に戻る、の順です。攻撃は交互に行います。得点したら、ゼッケンチームは赤いコーンを、ゼッケン無しチームは緑のコーンを所定の位置に置いてください。」

「攻撃側はドリブルで四角の中を突破して、シュートを打ってください。四角の中に入ったらシ

ュートを打ってもかまいません。前の子のシュートが終わったら、すぐに相手のチームがスタートしてください。守りの子は、四角のエリアから出ないように。また、キーパーはペナルティエリア内では手が使えます。それではジャンケンをして勝ったほうから始めてください。」

今度は、最後まで全員の集中力が途切れないようになった。