1年生の練習内容 2001年9月号 作成:平成13年9月16日(Rev.A) |
目 次 ●ターン |
ボールリフティングについては6月号で紹介したが、大事な基礎練習なので練習開始時には必ずやるようにしている。これまでは、“もも”、インステップ、頭のリフティングをそれぞれ別メニューとして、独立させてやっていた。もう始めてから5ヶ月経過しており、そろそろマンネリ化してきたので、8月下旬からは応用編に入った。マンネリ化打破の手段としては、“連続回数挑戦”と“違う部位で連続して行う”の2項目を加えた。 ・“もも”とインステップの組み合わせ @“もも”のリフティングを最低1回ずつ、合計で20回やらせる。その後に、“もも”で連続3回以上に挑戦させる。「出来るだけ、右、左、右と交互にやってみよう。出来なければ利き足だけでもOK」という。この時、「連続3回以上できたらその回数を言ってください。」と言うとさらに盛り上がる。 A「“もも”でついた後、インステップに当てられるかな?」と見本を見せた。しばらくすると、3分の2以上の子が出来たようなので、「次は、インステップから“もも”は出来るかな?」と言って逆パターンもやらせてみた。同じようだが、後の方が少し難しいようで、まだ3分の1しかまともに出来ない。 ・頭とインステップの組み合わせ @頭のリフティングは、やる前に必ず両手で持ったボ−ルを頭に10回当てさせている。その時に「ボールの縫い目を見てやること」と必ず言う。目をできるだけつぶらないように、今から習慣づけておかないと後での修正が難しくなるからだ。その後に、自分で投げ上げたボールを1回だけリフティングさせる。この時も、「ボールが当たるときに縫い目が見えるかな?」としつこく言って、ボールから目をそらさせないように注意する。大人でもなかなか当たる瞬間まで目を開けていることは難しいが、少しずつでもやらせ続ければ出来るようになるものである。 Aこの後が応用練習になる。「さあ、今度は頭に当てたボールを足か“もも”で触れるかな?」と言って見本を見せた。これは、半数以上が出来た。さらに、「出来た子は、頭→足→頭と連続でやってみよう」とちょっと課題を難しくしたところほとんどが出来なかったが、課題をクリアした子を遊ばせないように、ちょっとずつ内容を変えて集中を維持させるようにしている。 ・他の部位(アウトサイド、肩)への挑戦 @「次は、アウトサイドに当ててみよう」と言って右足を横に上げてアウトサイドにボールを置いて当てるところを示してから見本を見せた。すぐに全員が真似をしだした。皆当てる箇所はわかったようだった。「それでは、出来た子はアウトサイドに当てた後、インステップに当ててください」と連続2回に挑戦させた。これはちょっと難しいようで、3分の1位しかできなかった。 A「次は、手で上に投げたボールを肩に当ててみよう。当てた後は、足のどこかにさわってください。」と言って見本を見せると、皆真似をしだした。これも出来た子はアウトサイドと同じ位の人数だった。 とにかく、体力は要らないが、技術的に難しそうなものは、早いうちにやらせたのに越したことはない。やらせてみて出来たらもうけもの。大きくなってからでは、覚えるのにもっと時間がかかるかもしれない。今が教えるチャンスかどうかは、やらせてみないとわからない。 |
ボールタッチも同様、応用編を加えるようにした。練習の目的をある程度示すためだ。1年生にはまだいないが、「こんな練習やって何の役に立つの?」と言う子がいる。そういう風に思い始めた子は、それ以上はうまくならない。そういう子は、コーチに言われたとおりに足を動かすだけで、「早くこの練習が終わらないかなー」という無気力さが何となく伝わってくるものだ。そんな風にならないように、練習には何かしら意味があることをそれとなく教えておかないといけないのだ。 ・両足交互のインサイドタッチ 通常は両足インサイドで交互にチョンチョンとさわるというだけの単純な練習だが、それをちょっと準備運動的にやらせた後、応用編に移る。 応用編は、これを使って前にいる敵を抜く練習をさせるというもの。他の子のまん前まで行って、インサイドタッチでその子の横に出し、逆足インサイドで横に流したボールを押さえるようにして抜き去るもの。サッカーの専門用語では“ダブルタッチ”という技術である。 「さあ、それでは両足で交互にチョンチョンとタッチしながら7人抜きをします。コーチを抜いてもかまいません。7人抜いたら座ってください。誰が1番に終わるかな?誰がラストになるかな?よーい、スタート!」と言って全員に競争をさせる。 ・片足だけでインサイド/アウトサイドタッチ 次は、利き足だけで連続的にタッチする練習をやらせる。慣れてきたら、コーチから「イン、アウト、イン、アウト」と言いながら実際に右足だけで連続的にボールをタッチしながら子供達を抜く見本を示す。 「さあ、今度は片足のインサイド、アウトサイドで交互にチョンチョンとタッチしながら7人抜きをします。コーチを抜いてもかまいません。7人抜いたら座ってください。誰が1番に終わるかな?誰がラストになるかな?よーいスタート!」と言って全員に競争をさせる。 ・敵の前でボールを引いて進行方向を変える(右足であれば、右90度) 次は、敵の前に行って足の裏でボールを引く練習に移る。引いた後、ボールを90度開いた方向(右足で引いたら右に90度)にインサイドで持って行くのがポイント。せっかく引いたのになぜかまた元の位置に戻してしまう子がいるが、それでは敵にボールを取られてしまうので引いた意味がなくなる。そういう子には見本を示してすぐに修正させることが必要だ。 「次は、他の子の前までドリブルで行ったら、ボールを引いて方向を変える競争をします。7人分やったら座ってください。誰が1番に終わるかな?誰がラストになるかな?よーいスタート!」と言って全員に競争をさせる。 次はちょっとだけ変化を加えてみた。「今度は少しルールを変えます。正面に向かい合ったら自分のボールを引いて取られないようにするまでは前と同じですが、その時に隙を見つけて相手のボールをタッチしてください。他の子のボールを7人分タッチしたら座ってください。必ず正面から勝負すること。後ろから行って蹴るのはダメです。誰が1番に終わるかな?誰がラストになるかな?よーい、スタート!」と言って、全員に競争をさせる。 |
●ターン なんでも一生懸命やらせるには、競争させるのが一番である。競争をさせて一生懸命になったところで、出来ない子だけ集中的に特訓をすると、より早く技術が身につくようだ。 ターンの練習種目は次の3つとした。 @インサイド・ターン 前に転がっているボールを回りこんでインサイドでボールをストップしながらターンする。右足でやる場合は、時計と反対周りで回り込む。 Aアウトサイド・ターン 前に転がっているボールを回りこんでアウトサイドでボールをストップしながらターンする。 右足でやる場合は、時計周りで回り込むが、足のつま先ができるだけ戻る方向を向くようにするのがポイント。つま先が斜め前を向いているとボールはうまくストップ出来ない。 B足の裏のターン これは7月号Aで紹介したが、まだ回り方が逆になってしまう子が数人いたので見本を示したが、なかなか直らなかった。そこで、右利きの子には「右足でボールを引いたら左を見てください。」と言ってやらせたところ、今度は左回りがすんなりできるようになった。 「さあ、隣同士ぶつからないようにラインに一列に並んでください。合図をしたら、一斉にスタートします。ドリブルをして向こう側のラインを越えたらターンをしてください。最初はすべてインサイドでターンをしてください。2往復したら、最後は出発したラインにボールを止めてください。1着、2着、3着とラストが誰になるか競争です。」とルールを説明した後、 「競争の前にちょっとだけインサイド・ターンの練習をやってみましょう。全員できるかな?」と言って少し練習させて出来ない子にやり方を教えてやる。準備が出来たら、「よーい、スタート」と言って始める。 終わったら同様の手順で、Aのアウトサイド・ターン、Bの足の裏のターンの順に行う。 |
7月号で紹介した“1対1のシュートゲーム”は、ドリブルで敵をかわしてからシュートできるので、子供達にとっては楽しい練習になっているようだ。ただこれには問題があることがわかった。シュートをするまでにいくら時間をかけてもよいからだ。サッカーでは1秒でも早く判断してすばやくプレーをすることが極めて大事だ。そうしないと、決定的なチャンスを随所で失ってしまうからである。 ここで紹介する練習は、ドリブルからシュートに至るまでを、できるだけ早くプレーするように習慣づけること、を目的とした。もちろん、単調でハードな内容にならないように、以下の2点を練習の条件に入れることはこれまでと同じだ。 1. 勝ち負けがはっきりしていること。 2. 得点をしたことが、自分のチームの勝利に貢献すること。 そのために、得点は自分達でつけ、両チームの得点経過が全員に分かるようにする。 ・チーム分け まず全員を集合させて一列に並ばせる。「前から順番に番号を言ってください。番号を言った子はすぐに座ってください」。こうすると、たちまち順番が決まってしまう。そこでたとえば12人いたら、「2,4,6,8,10、12番の子はゼッケンをつけてください。」といってゼッケンをつけさせる。 ・準備 ミニゴールを2つ作る。ターンするライン、シュートする範囲を示すラインを引く。ドリブルコースの途中にコーンを2個ずつ置く。互いのゴールの脇に一列に並ばせる。スタート地点に大きなコーンを置く。 ・ルール説明 次にルールを説明する。 「各チームから一人ずつ出て勝負します。コーチの合図で同時にスタートし、向こうのラインを越えてから戻って来てシュートをします。いつもと違って、先にゴールに入れた方の勝ちとします。途中にコーンがありますが、必ずその間にボールを通し、体はコーンの外側を回ってきてください。この後シュートをしますが、シュートが打てるのはこのラインとこのラインの間だけです。勝負はどちらかがゴールに入れるまでなので、失敗してゴールラインを越えてもやり直しができます。得点したら、小さなコーンをここ(白線で書いた得点エリア)に入れてください。ゼッケンチームは赤いコーン、ゼッケン無しチームは緑色のコーンです。先に10点取ったチームが勝ちです。スタートする時は、必ずコーンを片手で触っていること。」と言ってから始める。 ・この練習に含まれていること この練習には、サッカーで大事と思われる要素が自然と身につくように仕組まれている。 1. 早くシュートを打とうとして、自然と最短距離のドリブルをするようになる。 2. 早くシュートを打とうとして、すばやくターンをする。 3. コーンの間にボールを通すのは“また抜き”の練習だが、実戦ではボールを通した後に人をかわすことが必要であり、意識的にコーンの外側を回らせて、実戦で役立つようにしている。 4. 早くシュートを打とうとして、また抜きの後ダッシュをする。 5. シュートエリアを設けたことで、ボールが自分の体から離れないドリブルをするようになる。むやみに遠くから蹴らなくなる。また、ゴールに近づき過ぎてからのシュートは無効にしてできるだけ早めにシュートを心掛けさせている。 6. シュートを失敗しても、相手がまだゴールに入れていなかったら全力で自分でボールを取りにいってやり直す機会を与えている。普通のシュート練習では、ミスした時点で止めてしまうという悪い習慣がつく。 |
休憩前の課題については、6月号で紹介した。 以下に最近実施しているものをいくつか紹介する。 1. 手で投げ上げたボールをヘディングで前に落とし、それをシュートする。 2. 手で投げ上げたボールを胸で前に落とし、それをシュートする。 3. “もも”でリフティングし、ボールを落とさずにシュートする。 4. ジャンプした(両足が空中にある)状態でシュートをする。右利きだったら、右足で踏み切り、左足を前に上げて反動をつけて右足のインステップに当てる。これは8割がすぐにコーチのやったことを見よう見まねでできたようだ。見本を見せるのが一番である。 5. 手で投げ上げたボールをバックヘッドでゴールにいれる。距離は1m位。 6. 一定の距離からパントキックでゴールラインを越える。 |