高 久 古 墳 群

                               ▼ いわき市平下高久・沼の内
                               ▼ 常磐線平駅バス高久。豊間・江名行西原下車30分

 高久古舘(たかくこだて)跡に上れば、滑津川の河口近くの肥沃な田園風景が眺望出来ます。この一帯は牛転(うしころばし)古墳群・八幡(やあと)横穴古墳群・神谷作(かみやさく)古墳群・神殿(しんでん)古墳群・沼の内古墳群などが密集しており、これらの古墳群を総称して高久古墳群といいます。
 1951(昭和二六)年に発掘された神谷作古墳出土の埴輪男子胡坐像(国重文)は、六世紀の東国の埴輪を代表する逸品です。三角形の天冠をかぶり、ヤマユリの花弁のように開いたひさしはゆらゆらと動き、先端につけられた鈴の音が聞こえてきそうです。美豆良(みずら)を肩まで垂らし、両手を前にささげ、あたかも死者への告文を誦しているようです。天冠と籠手および着衣には三角形が朱で彩色されています。この埴輪のほかに女子像・跪坐(きざ)像の埴輪(ともに国重文)など多数出土しております。

 神谷古墳群から県道を南に約2km行くと中田横穴古墳(国史跡)があります。凝灰質の砂泥岩層を掘削した複室をもつ横穴墓です。後室の周壁には連続する三角形が描かれています。青銅製の釧(くしろ)を含む装身具385点、銀製の鉾(ほこ)や挂具などの武器・武具169点などの豊富な遺物が発見され、六世紀末の古墳文化を知るうえで重要な遺跡です。

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