遠藤賢司深層資産
佐野史郎/CD/君が好きだよ
エンケンファンは、是非持っていたいアルバム。実は、「夢よ叫べ」は、このアルバムが初収録CDである。そしてエンケンも、コーラスと指揮で参加している。
当時は長編物も多く、正に壮絶なるライヴを展開していたエンケンだが、どうしてもそのライヴの迫力をより広く伝えるような新アルバムの発売が全く叶わない状況であった。
馬鹿レコード会社の馬鹿どもが求めているのは、メディアミックス戦略に合致する音楽なのだ。、つまり、どんな映像やCM、ドラマのエンディングロールのBGMにも使用できるような「あたりさわりのない音楽」、大量消費されて後腐れがない、薄い音楽だったのだ。
あまりにも瑞々しい、生々しいエンケンの音楽は、「売れるわけない」という、どういう感覚から発せられるのか、およそ信じがたい理由で抹殺されようとしていたのである。
そんな音楽界に対する、佐野史郎氏のこの一撃が、当時の我々に与えた勇気がどれほど大きいものだったか。本人による「後書き」を読むだけで今でも涙がこぼれる。
より比較的最近のファンの人たちにも、このことを是非伝えておきたい。