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柴草玲資産
柴草玲/CD/うつせみソナタ
パンチのきいたピアニスト。
圧倒するボーカリスト。
炸裂する詩人。
暴走するパフォーマー。

柴草玲さんを賞賛する言葉はいくらでも枚挙できるが、本人を前にすると、私はきっとその言葉のうちのひとつも口にはできないだろう。

それほどまでの圧倒的な緊張感が、このお方には漂っている。プリンスを見たときに感じる「戦慄」に近いもの、と言えば理解していただけるだろうか?

このアルバムは、インディからの2枚のアルバムを経て遂にメジャーから発売された傑作である。1人称と3人称が交差する中描かれる世界。単語のみならず、一文字まで選び抜かれた言葉が、過去・現在・未来を行き来しつつ織り成す世界。

このアルバムはまるで、映画館でとびきりの短編映画を見ているかのようだ。みずみずしい映像の中に吸い込まれ、そしてその中であたかも鳥になったかのように宙を舞い、そして視点はいつしか宇宙空間にまで飛び出してしまう。そんな異次元的なカメラワークで撮影された、一人の女性という大宇宙。

最後の曲を聴き終わるころには、そして、映画館では自然であるように涙がとめどなくあふれてきたのであった。