トップへ
トップへ
戻る
戻る
前へ
前へ
次へ
次へ
やまがたすみこ資産
やまがたすみこ/CD/歌が降りてくる
 全世界落涙必至の傑作アルバム。

 最近いいミュージシャンの音楽を聴く機会に恵まれているようで、ライヴ会場で泣かされることも珍しくなくなった。そんな中でも、最も数多く泣かされたのが、やまがたすみこさんである。

 そんなすみこさんの待ちに待った新作が、ついに発売になった。届いたら真っ先に聴こうと思っていたのだが、封筒を開けた瞬間、しばし絶句させられた。ものすごいアートワークのジャケットが出てきたのである。

 この、大量生産に向かない手作り的ジャケットは、この音楽が、「大量消費用の軽い音楽」とは一線を隔していることの宣言をしているようだ。久しぶりに、緊張感をもってCDを手にしたように覚えさせられた。

 メディアが、LPからCDになって、確かに聴きやすくなったのだが、手軽になった分、聞き手の音楽に対する姿勢が軽くなってたのかもしれない。

 一月に10枚とかCDを買ったりもするけれど、どれだけそれらの歌の内包しているメッセージとか、気持ちとかに対して、真剣に立ち向かって聴いてきただろうか? そんなことをまず考えさせられてしまった。

 かつて遠藤賢司さんは、「俺はジャケットや歌詞カードも1曲だと思って作っている。(10曲入りのアルバムだから)11曲目の歌なんだ」って言っていたが、このアートワークは、さながら最初の曲のようであった。そして、この0曲目を聴き終わるまでに、私の心の準備が整うまでに、3日要してしまった。

 最近のライヴで唄われる時には、ほとんど本人を直視できないほど切ない思いに溢れた「Army Dreamers」を始め、美しい「歌」が溢れ落ちんばかりに詰められている。

 心を静めて、じっくりと聴いて欲しい。BGMとしては聴いてはいけない。電車の中で聴いたりしたら、それこそ大変なことになる。

 全ての歌詞を書いている井上鑑氏の研ぎ澄まされた世界観も要注目だ。