諸々のこと 5

  撮影助手・成島東一郎のこと

 楠田浩之の撮影助手として参加し、「カラーのことなら成島に聞け」と言わせるまでになった成島東一郎は、93年10月8日に肝臓がんのため死去している。撮影監督となってから「秋津温泉」(62年・松竹、吉田喜重)、「古都」(63年・松竹、中村登)、「心中天網島」(69年・ATG、篠田正浩)、「戦場のメリークリスマス」(83年・松竹・富士映画=ヘラルド、大島渚)など多くの作品を手掛けた。一色次郎の原作を基に、沖永良部の自然を舞台に少年の母への思いを描いた73年・東和の初監督作品「青幻記 遠い日の母は美しく」は文部大臣芸術選奨新人賞を受賞している。ほかに86年・東宝の「オイディプスの刃」がある。

  ◇松竹大船撮影所、64年の歴史に幕
 鎌倉女子大への売却で閉鎖が決まった松竹大船撮影所(神奈川県鎌倉市大船)で2000年6月23日、最後のセット撮影が行われた。作品は山田洋次監督の「学校4」。26日に閉所式が行われた。1936年の開所以来、約1600本の映画を生み出し、日本映画の黄金期を担いつつ多くの名作を世に問うた撮影所も、経営難には勝てなかった。松竹では東京・新木場に新撮影所の建設を計画しているが、詳細は定かでない。

  木下恵介逝去

 1998年。9月に亡くなった黒澤明の後を追うように幾多の名作を生んだ名匠・木下恵介は、12月30日午前3時10分、脳梗塞のため死去した。享年86歳。
 静岡県浜松市に生まれ、県立浜松工業学校を卒業後、写真学校を
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経て1933年に松竹蒲田撮影所に入った。43年に菊田一夫原作の舞台劇の映画化「花咲く港」で監督デビュー。以後の活躍が日本映画の黄金時代を築き上げたと言っても過言ではなかろう。
 64年の松竹退社後は、テレビで「木下恵介劇場」や「木下恵介アワー」などのドラマを手掛けた。監督作品は49本。77年紫綬褒章、84年勲四等旭日小綬章を受章。91年に文化功労者。

  ◇木下恵介監督の主な作品
1943年「花咲く港」(松竹大船、出演・小沢栄太郎)
 44年「陸軍」(松竹大船、出演・田中絹代)
 46年「大曽根家の朝」(松竹、出演・杉村春子)
 48年「破戒」(松竹京都、出演・池部良)
 49年「お嬢さん乾杯」(松竹、出演・佐野周二)
   「破れ太鼓」(松竹京都、出演・阪東妻三郎)
 51年「カルメン故郷に帰る」(松竹大船、出演・高峰秀子)
 53年「日本の悲劇」(松竹大船、出演・望月優子)
 54年「女の園」(松竹大船、出演・高峰三枝子)
   「二十四の瞳」(松竹大船、出演・高峰秀子)
 55年「遠い雲」(松竹大船、出演・佐田啓二)
 57年「喜びも悲しみも幾歳月」(松竹大船、出演・佐田啓二)
 58年「楢山節考」(松竹大船、出演・田中絹代)
 59年「今日もまたかくてありなん」(松竹、出演・高橋貞二)
   「惜春鳥」(松竹大船、出演・佐田啓二)
 60年「春の夢」(松竹、出演・小沢栄太郎)
   「笛吹川」(松竹大船、出演・田村高広)
 61年「永遠の人」(松竹大船、出演・佐田啓二)
 63年「死闘の伝説」(松竹大船、出演・岩下志麻)
 64年「香華」(松竹大船、出演・岡田茉莉子)
 67年「なつかしき笛や太鼓」(木下プロ、出演・夏木陽介)
 79年「衝動殺人 息子よ」(松竹、出演・若山富三郎)
 80年「父よ母よ!」(松竹、出演・三原順子)
 83年「この子を残して」(松竹、出演・加藤剛)
 88年「父」(松竹、出演・板東英二)

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