各務賢周の陶芸
 
各務賢周(かがみまさかね)
 
1973年生まれ
 物心ついた頃には,もう土をさわっていたという。周海氏
宅で使われている灰皿は,賢周氏が幼少の頃作成したものですが,その激しくうねるような造形には目を見張るものがあります。
 現在,黄瀬戸,志野,織部の他に唐津系の作品に取り組んでいます。賢周氏のセンスが若手とは思えない深さと豊かさの上に表現されているのは,父周海氏の師事し,幼い頃より土に親しみ,また,薪割りや灰づくりなど陶芸にかかわるあらゆる仕事を学んできたからでしょう。
焼き締めランプシェード
魚文大皿
鉄絵壺
鉄絵透かしランプシェード
鉄絵コーヒーカップ
鉄絵コーヒーカップ
      取手部分
 「おもしろい土を見つけたので,この土を何とかして生かしてみたい」と賢周氏は語ります。今後どんな作品を作っていきたいか尋ねたときのことです。この土とは,近作にみられる唐津系の土のことです。「志野を作りたい」とか「オブジェに取り組んでみたい」というのではなく,「この土を生かしてみたい」という言葉にこそ賢周氏の陶芸に対する精神があらわれているのではないかと思います。


 
粉引きコーヒーカップ
黒唐津片口
鼠志野片口小鉢
 焼き物が工芸である以上,精神性だけを云々するのはナンセンスだと思います。しかし,技法だけが洗練されていても,その作品に魅了されることはないと思います。

 そんな意味で,賢周氏の作り上げる作品たちには,大いに魅力と可能性を感じるのです。