小ネタ集
SONY、2003年夏モデルを発表
「VAIO PCG-GRT99/P」
「VAIO PCV-RZ72P」
(2003年5月16日著)

PCG-GRT99/P
PCV-RZ72P
PCG-GRT99/P PCV-RZ72P

 2003年5月14日、SONYは2003年夏モデルを発表した。デスクトップパソコンのRZシリーズ、HSシリーズ、Wシリーズ、ノートパソコンのGRシリーズ、FRシリーズ、Zシリーズ、V505シリーズ、TRシリーズが発表となり、 少し前に発表されたばかりのUシリーズは継続販売となる。
 今回はデスクトップパソコン、ノートパソコンそれぞれの最上位機種PCG-GRT99/PとPCV-RZ72Pを紹介しよう。また、今回新たに加わった「PCG-TR1/B」については別のページで紹介しているのでご覧頂きたい。

Giga Pocket Engine Mを内蔵したPCG-GRT99/P
 
 従来より大型液晶と高性能なシリーズとしてラインナップされていたGRシリーズは、今回「PCG-GRT99/P」をトップに3機種が発売された。映像関係に特化したシリーズとして、様々な点で大きく進化している。
 まず特徴としてハードウェアMPEG-2エンコーダーと3次元Y/C分離回路を持つテレビチューナー/MPEGキャプチャーボードである「Giga Pocket Engine M」が搭載され、より高画質なTV/ビデオの視聴・録画が行える様になった点があげられる。従来では外付けのポートリプリケーターにより提供されていたが、今回から本体に内蔵されより使いやすくなったのが嬉しい点だ。画質も、ハードウェアMPEG-2エンコーダーと3次元Y/C分離回路によりデスクトップパソコンに匹敵する画質も持つ。まさにVAIO RZのノートパソコン版と言った感じだ。また、液晶パネルも新たに開発された「クリアブラック液晶」となった。これは、バックライトを2本装備し従来の1.8倍〜2倍の明るさにし、また高コントラストフィルターによる黒が引き締まった鮮明な色彩が得られ、さらにARコートが外光の反射を抑え、映り込みも防ぐ事が出来ると言う物だ。高視野角も実現しているため、映像の再生などで特に美しい映像が得られるという特徴がある。サイズは16.1インチと大型で解像度もUXGA(1600×1200)と非常に詳細な表示が可能となっている。なお、Giga Pocket Engine Mとクリアブラック液晶は全機種共通の特徴で、下位機種でも手に入れることは可能だ。
 グラフィックチップはこれまでのATI製の物からnVIDIA製の物へと変更され、最新のGeForceFX Go5600が採用されている。デスクトップ版GeForceFX 5600Ultraをノートパソコン向けにした物で、DirectX9世代のチップだ。もちろん性能もトップレベルで、これまで最高と言われていたnVIDIA GeForce4 4200GoやATI MobilityRADEON9000を10〜30%上回る。これ程高ければ最新の3Dゲームも快適にプレイできるだろう。2日前に発表された東芝のDynaBook G8(小ネタ集6で紹介)と共にようやくノートパソコンでもデスクトップパソコンに匹敵するDirectX9グラフィックが手にはいるようになった。
 またDVD±RWドライブが採用され、録画したTV番組等を保存する事ができる様になっている。全機種でGiga Pocket Engine Mを採用しているため、上位機種以外でもPCG-GRT77/Bでは同じくDVD±RWドライブ、下位機種のPCG-GRT55/BでもDVD-RWドライブが採用されている点は、使い方の提案にあわせてあり非常に好感が持てる仕様だ。DVD±RWドライブの書き込み・書き換え性能はDVD-RW/Rが等倍速、DVD+RW/+Rが2倍速、CD-Rが16倍速、CD-RWが8倍速となる。読み込み性能はDVD-ROMが5倍速、CD-ROMが24倍速だ。デスクトップパソコンのものと比べると若干速度が遅いが、様々なメディアに書き込めるのは非常に便利である。
 その他のスペックとしてはCPUにはデスクトップ版Pentium4-2.8GHzを採用している。モバイル版には無い高いクロックとFSB533MHzにより、デスクトップパソコンに匹敵する非常に高い性能を持っている。これならば録画した映像の編集等もスムーズに行えるだろう。反面発熱と消費電力は高く、バッテリ駆動時間は1.5時間と短い。もっとも4.1kg(DVD±RWドライブ搭載時)と重いため外部電源を利用できない場所で長時間使用するという人は少ないはずだ。
 メモリは512MBで最大1GBまで増設できる。512MBあればTV・ビデオの録画や編集作業もとりあえずこなすことが出来るだろう。また、ハードディスクも80GBを搭載し不満はない。通信関係としては無線LANは内蔵されず100BASE-TX/10BASE-Tの有線LANとモデムの2つとなる。普及しつつある無線LANが内蔵されないのは気になるが、省スペースデスクトップ代わりと考えれば必ずしも必要でないのかもしれない。インターフェイスにはUSB2.0が3基、IEEE1394とプリンタポート、外部ディスプレイ出力で、PCカードスロットは1基となる。ここまで大型の本体でPCカードが1基というのには不満が残るが、USB2.0が普及している現在、拡張性に不満が残るほどではない。また、メモリスティックスロットも備える。メモリスティックPROの読み書きにも対応するが、メモリスティックPRO本来の高速転送には対応していないてっは注意したい。その他、Giga Pocket Engine M関係の端子としてAV入力、S映像入力、TVアンテナ端子、AV出力端子等も備える。
 キーボードは素直な配列で使いやすい。ポインティングデバイスは前モデルからシンプルな2ボタン式タッチパットとなっている。キーボードの上部等にワンタッチボタンなどは配置されない一方でタッチパッチ下に、テレビ関連アプリを操作するAVボタンが設置された。また専用マルチリモコンも付属する。キーボード上部には拡大ボタンがあり、ワンタッチで画面解像度を1024×768ドットへと変更できる。解像度が1600×1200ドットともなるとアプリケーションによっては広すぎる、細かすぎると言った場面も出てくるだろう。そんな時にワンタッチで画面解像度を下げられるこの機能は非常に便利だろう。

AV端子
AVボタン
拡大ボタン
左側面にはTV/ビデオ関係の端子が並ぶ。内蔵されたことによりより使いやすくなった。 タッチパット下に並ぶAVボタン。「Giga Pocket」の起動・終了、チャンネル変更、ボリュームのアップ・ダウンが行える。 キーボードの上に配置された拡大ボタン。ワンタッチで1600×1200と1024×768ドットを切り替えることが出来る。

 OSはWindowsXP Professional SP1である。またパソコン本体がTV/ビデオの機能を持つため、動画編集ソフト「Adobe Premiere 6 LE 日本語版」やDV入出力/編集ソフト「DVgate Plus Ver.1.0」もプレインストールされている。他にも3DCG作成ツール「LightWave 3D express for VAIO」やDVD作成ソフト「Click to DVD Ver.1.2」など使い方にあわせた豊富なソフトが魅力だ。
 本体サイズは幅357×奥行き300.3×高さ47.4mm(最薄部44.8mm)、重量約4.1kgと非常に大きく持ち歩くには適していない。しかし、非常に高性能であるため省スペースデスクトップ代わりとして使うには最適だといえる。実売価格は35万円前後と安くはないが、TV/ビデオの録画・視聴・編集に適したパソコンが欲しいがある程度移動もしたいと言う人には検討してみる価値のあるパソコンだろう。なお、CPUやグラフィック、液晶ディスプレイ、ハードディスクなどのスペックの劣る下位機種「PCG-GRT77/B(実売価格27万円前後)」と「PCG-GRT55/B(同22万円前後)」も用意される。Giga Pocket Engine Mやクリアブラック液晶、記録型DVDドライブはこちらの機種にも採用されており、下位機種と言えどもスペックも低いとは言えない。安価にTV/ビデオの視聴・録画や液晶等を体験したいと言う人はこちらを検討してみるのも良いだろう。

VAIO GRシリーズ 主な仕様
品番PCG-GRT99/PPCG-GRT77/BPCG-GRT55/B
CPUPentium4-2.8GHzPentium4-2.66GHzモバイルCeleron-1.8GHz
チップセットSiS648
メモリ512MB(512MB×1)
/最大1GB
PC2100 DDR SDRAM
512MB(256MB×2)
/最大1GB
PC2100 DDR SDRAM
256MB(256MB×1)
/最大1GB
PC2100 DDR SDRAM
グラフィックGeForceFX Go5600(64MB)GeForce4 420Go(32MB)
HDD80GB60GB
メディアドライブDVD±RWドライブ
DVD-R書込み : 最大1倍速
DVD-RW書換え : 最大1倍速
DVD+R書込み : 最大2倍速
DVD+RW書き換え : 最大2倍速
CD-R書込み : 最大16倍速
CD-RW書換え : 最大8倍速
DVD-ROM読出し : 最大5倍速
CD-ROM読出し : 最大24倍速
DVD-RWドライブ
DVD-R書込み : 最大1倍速
DVD-RW書換え : 最大1倍速
CD-R書込み : 最大16倍速
CD-RW書換え : 最大10倍速
DVD-ROM読出し : 最大8倍速
CD-ROM読出し : 最大24倍速
ディスプレイ 16.1インチ
クリアブラック液晶
UXGA(1600×1200)
16.1インチ
クリアブラック液晶
SXGA+(1400×1050)
15インチ
クリアブラック液晶
XGA(1024×768)
TVチューナ/ビデオキャプチャハードウェアMPEG2エンコーダー
(Giga Pocket Engine M)
カードスロットPCカードスロット(TypeII)×1
メモリスティックスロット×1(メモリスティックPRO対応)
USBUSB2.0×3
無線LAN
その他通信10/100BASE-TX対応有線LAN・V.92/90対応56kbpsモデム
OSWindowsXP
Professiona SP1
WindowsXP
HomeEdition SP1
Office マイクロソフト OfficeXP Personal
本体サイズ幅357×奥行き300.3×高さ44.8mm(最厚部47.4mm) 幅327×奥行き271.6×高さ41.6mm(最厚部49.8mm)
本体質量約4.1kg
(バッテリパック、DVD±RWドライブ装着時)
約3.6kg
(バッテリパック、DVD-RWドライブ装着時)
バッテリ駆動約1.5時間約2.5〜3時間


確実に進化したPCV-RZ72P
 
 今回もRZシリーズは70番台、60番台、50番台の3モデル構成だ。PCV-RZ72P、PCV-RZ62、PCV-RZ52の内、今回は最上位機種のPCV-RZ72Pを紹介しよう。
 CPUにはHyper-Threadingに対応したPentium4-3GHzを採用している。動作クロックこそ前モデルRZ71Pの3.06GHzより若干低くなっているが、FSBが533MHzから800MHzになり性能面では大きく向上している。
 チップセットは最新のIntel865PEである。このチップセット、FSB800MHzに対応しただけでなく、PC3200(DDR400)DDR SDRAMに、しかもデュアルチャンネルに対応している。PC3200 DDRSDRAMは3.2GB/sの転送速度を持ち、デュアルチャンネルで6.4GB/sとなる。一方FSB800MHzのPentium4の帯域は6.4GB/sである。つまりCPUとメモリが一致すると言うわけだ。これによりどちらかの帯域不足による性能低下が起こらず、Pentium4の力を最大限発揮できるのである。またメモリは1GBを搭載しており、RZ71Zの512MBから倍増され、動画編集等も余裕でこなせるようになった。また最大2GBまで増設できるようになり(RZ71Zでは最大1GB)将来的にも余裕が出来た。前モデルまではi850EチップセットであったためメモリにDirectRDRAMを使っていたが、今モデルは一般的なDDRSDRAMに変更されたのも細かいが嬉しい点だ。
 ハードディスクは前モデルの250GBから200GBへと減少してしまったのは気になる点だ。TVの録画や動画編集などを行うのならハードディスクは多いに越したことはないため、今回の変更は非常に残念である。ただし、200GBが少ないというわけでは決してない。ドライブは前モデルと同じDVD±RWドライブとDVD-ROMドライブの2台構成だ。DVD±RWドライブがあればDVD-ROMドライブはいらないと思うかもしれないが、2台あればコピーなど様々な場面で便利である。DVD±RWドライブの書き込み・書き換え速度はDVD-Rが4倍速、DVD-RWが2倍速、DVD+Rが4倍速、DVD+RWが2.4倍速、CD-Rが16倍速、CD-RWが10倍速と高速だ。読み出しはDVD-ROMが8倍速、CD-ROMが32倍速となる。もう一台のDVD-ROMドライブのはDVD-ROM読み込みが16倍速、CD-ROMの読み込みが40倍速だ。
 グラフィックは前モデルのGeForce4 MX440(グラフィックメモリ64MB)から、GeForceFX 5600(同128MB)へと大きく向上した。ハイエンドデスクトップにGeForce4 MX440というのは少し物足りなかった部分であり、ようやくこれでグラフィックもハイエンドに相応しい性能を持つことになった。なお、RZ62もGeForceFX 5600、最下位機種のRZ52はGeForce4 MX440となる。春モデルのRZ71P/61はGeForce4 MX440、RZ51はチップセット内蔵の物を使っていたため、今モデルでは全体的に上へとスライドしたことになる。その他の細かな変更点として、有線LANが1000BASE-T対応になったことが上げられる。
 TV機能は従来機種と同じで、非常に高性能である。中核となるGiga Pocket Engine DXはハードウェアMPEG2エンコードによる高い画質に加え、他機種にはないゴースト軽減やノイズ除去といった画質改善機能ももつ物だ。また、リアルタイムDV-アナログ相互変換機能も持ち、VHSや8ミリビデオテープといったアナログ映像も高画質に取り込むことが出来る。また、ビデオ編集ソフトは本モデルのみLE版ではない「Adobe Premiere 6.5日本語版」が付属する。その他にもDV入出力/編集ソフト「DVgate Plus Ver.1.0」や、「Giga Pocket」で録画した映像を直接エンコード可能なMPEGエンコーダーソフト「TMPGEnc DVD Source Creator for VAIO Ver.1.5」、DVDライティングソフト「Click to DVD」など多彩なソフトが魅力だ。TV・ビデオの録画・取り込みから編集、DVDへの書き込みまでが付属のソフトで行え、ソフト間の連携も取れている。この辺りはさすがメーカー製のパソコンといったところだ。またビデオカメラなどを接続しやすいよう、前面にビデオ入力端子が配置される点も嬉しいところだ。ビデオ編集作業をより快適に行うためのUSBジョグコントローラーも付属するのも他機種にない魅力だ。
 本体はマイクロタワー型で、現在主流の小型デスクトップと比べれば非常に大きく見えるだろう。しかし、その分内部のスペースは確保されており、拡張性も高い。側板は工具なしで外すことが出来るというメンテナンス性も良好だ。グレーのディーカラーの中央に黒のライン、さらに青色LEDなどを配置したデザインは非常に美しい。  RZ72Pには液晶ディスプレイの付属しないPCV-RZ72Pと付属するPCV-RZ72PL7が用意される。実売価格はそれぞれ、37万円と43万円となる。付属の液晶ディスプレイは今回から変更になり、スタンド部を90度回転させることで、エルゴノミックアングルでも使用可能となった。デザインもより洗練されたようである。付属のスピーカーは3+3Wの出力を持ち、ドルビーバーチャルスピーカー機能を搭載するものだ。DVDビデオの視聴などの際に、より迫力のあるサウンドが楽しめる。
 高価ではあるが、上記のようにその価格に見合うだけの実力を備えた1台である。下位モデルとしてPCV-RZ62(実売価格28万円)、PCV-RZ62L7(同34万円/液晶ディスプレイ付属)、PCV-RZ52(同20万円)、PCV-RZ52L7(同26万円/液晶ディスプレイ付属)が用意される。RZ62は基本性能は下がる物の、Adobe Premiere 6.5日本語版がLE版になる以外にTVビデオ機能に差が無く、安価にそれらの機能を楽しみたいなら最適だ。RZ52ではさらにDV-アナログ相互変換機能も省かれるがより安価に購入が可能だ。

VAIO RZシリーズ 主な仕様
品番PCV-RZ72P/RZ72PL7PCV-RZ62/RZ62L7PCV-RZ52/RZ52L7
CPUHTテクノロジ
Pentium4-3GHz
(FSB800MHz)
HTテクノロジ
Pentium4-2.8C GHz
(FSB800MHz)
HTテクノロジ
Pentium4-2.6C GHz
(FSB800MHz)
チップセットIntel865PE
メモリ1GB/最大2GB
PC3200(DDR400) DDR SDRAM
デュアルチャンネル
512MB/最大2GB
PC3200(DDR400) DDR SDRAM
デュアルチャンネル
1GB/最大2GB
PC2700(DDR333) DDR SDRAM
デュアルチャンネル
グラフィックGeForceFX 5600(128MB)GeForce4 MX440-8X(64MB)
HDD200GB160GB120GB
メディアドライブDVD±RWドライブ
DVD-R書込み : 最大4倍速
DVD-RW書換え : 最大2倍速
DVD+R書込み : 最大4倍速
DVD+RW書き換え : 最大2.4倍速
CD-R書込み : 最大16倍速
CD-RW書換え : 最大10倍速
DVD-ROM読出し : 最大8倍速
CD-ROM読出し : 最大32倍速
DVD-ROMドライブ
DVD-ROM読出し : 最大16倍速
CD-ROM読出し : 最大40倍速
TVチューナ/ビデオキャプチャハードウェアMPEG2エンコーダー
(Giga Pocket Engine DX)
カードスロットPCカードスロット(TypeII)×1
メモリスティックスロット×1(メモリスティックPRO対応)
USBUSB2.0×4
無線LAN
その他通信1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T対応有線LAN
V.90対応56kbpsモデム
100BASE-TX/10BASE-T対応有線LAN
V.90対応56kbpsモデム
OSWindowsXP
Professiona SP1
WindowsXP
HomeEdition SP1

(H.Intel)


製品情報ページhttp://www.vaio.sony.co.jp/Products/index.html
プレスリリースhttp://www.vaio.sony.co.jp/Info/2003/products_0514.html