小ネタ集
NEC、水冷デスクトップVALUESTAR FZ/TXを発表
(2003年5月23日著)

VZ700/6F
VX900/6F
VZ700/6F VX900/6F

 2003年5月16日、NECは2003年夏モデルを一斉に発表した。その中でも特に特徴的だったのが「水冷デスクトップ」だ。今回はその水冷デスクトップを紹介しよう。

一番の特徴「水冷」
 
 NECから発売された水冷パソコンは2シリーズから3モデルが発売になっている。ファミリー向けモデルVALUESTAR FZからは「VZ700/6F」、ニュースタイル向け商品VALUESTAR TXとして「VX900/6F」と「VX100/6F」の2機種が発表された。この3機種、スペックや機能等に違いはあるが、水冷システムや本体デザインは共通である。まずは水冷機構から見ていくことにしよう。
 水冷パソコンといえば、昨年7月に日立製作所が独自開発の静音水冷システムを搭載したノートパソコン「FLORA 270Wサイレントモデル」を発表しているが、デスクトップパソコンでは世界初となる。水冷を採用する理由は「静音化」出来るためだ。最近ではCPUの消費電力はますます高くなっており、それに伴ってCPUファンも強力な物が採用されるようになった。しかし強力なCPUファンを搭載すればそれだけ騒音が大きくなり、近年では問題となりつつあった。そこで、本製品では水冷式を採用しCPUのファンを省くことで静音化を計っているわけだ。
 「水冷」というと「常に水を補給しないといけない」とか「水道に繋いだり排水口を用意しないといけない」と思われるかもしれない。しかし実際はそんなことはなく、特殊なメンテナンスは必要ない。CPU等には水冷ジャケットを装備し、ポンプを使って冷却液を循環させ、ラジエータで冷却水の熱を逃がすことで効率よく放熱が行えるというものだ。冷却水に不凍液を使っており、冷却水はパイプの継ぎ目などからごく少量ずつ蒸発していくが、過酷な使用条件でも5年、通常の使用環境なら10年はメンテナンス不要だということだ。
 本機はCPUファンファンだけでなくケースのファンも搭載していない。唯一搭載するファンは電源ユニットのファンだ。これは、電源ユニットから出る熱の放熱だけでなく、水冷システムのラジエータの熱を効率よく放熱させたり、ケース内の空気を循環させる役割も担うというものだ。またこのファン自体も、静音化のために工夫が施されている。12cmという大型のファンを搭載しているのだ。ファンは大型化すれば 回転数を落としても同じ風量が得られ、回転数が低いことから騒音を減らすことが出来るのである。
 以上のような点から、動作音はPentium4搭載機としては異例とも言えるほど静かで、DVDビデオや音楽にも集中しやすく、深夜の使用にも十分に耐えられる完成度を誇る。

洗練されたデザイン
 
 本体は水冷システムや大型ファンを採用したために、他機種より大きめでのミニタワー型を採用する。シルバーベースのクールなデザインで、非常に高級感があり洗練されたイメージだ。下部のカバーを開けると、2基のUSB2.0、IEEE1394、PCカードスロット、メモリスティック/SDメモリカードスロット、さらにビデオ入力端子も並んでおり、デザインだけでなく使い勝手も考えられている。
 フロント中央の円形パネルには「Water-cooled」と書かれており、水冷であることを前面に押し出したデザインとなっている。さらに電源を入れると、円形パネルの下半分だけが青く光り、まるで水がたまっているように見えるという凝った仕掛けも施されている。側面の中央上部には円形のつまみが用意され、これを回すことで側板が簡単に取り外せるというメンテナンス性も良好だ。
 拡張性は、他機種より大型の本体を採用しただけあり、比較的豊富となっている。5インチベイは一基のみで埋まっている物の、3.5インチベイには空きがあり、ハードディスクドライブをもう一台内蔵できる。AGPスロット1基(空き0)とPCIスロット3基(空き2)となかなかだ。これなら将来の増設のもある程度対応できるはずだ。

VZ700/6F
前面デザイン。中央の円形パネルは下半分が青く光りまるで水がたまっているようだ。下部には様々なスロットや端子が並んでいる。

その他のスペック
 
 スペックを見ていこう。VALUESTAR FZ VZ700/6F(以下VZ700/6F)はCPUにHyper-ThreadingとFSB800MHzに対応したPentium4-2.4C GHzが採用される。チップセットは最新のIntel865Gでメモリは512MBだが、シングルチャンネルのPC2700 DDR SDRAMであるため、メモリ帯域幅は2.7GB/sとCPUの6.4GB/sと比べて狭くなっている。グラフィックはATI RADEON 9100(グラフィックメモリ64MB)をAGPスロットに搭載する。これはRADEON 8500とほぼ同等だが、RADEON9000PRO/9000が発表された際に、8500の方が性能が高いことから9100へと変更になった物だ。性能は最新のDirectX9対応の物と比べれば劣るが、少し前の最上位製品だけありチップセット内蔵のグラフィックなどとは比べ物にならない高性能だ。最新の3Dゲームでもある程度プレイ出来るだろう。メディアドライブにはDVD-RAM/RW/Rの書き込みに対応したDVDマルチドライブを採用している(速度は下記の表参照)。
 VALUESTAR TXの二機種もVZ700/6Fと大きくは変わらない。VALUESTAR TX VX900/6F(以下VX900/6F)はCPUにPentium4-3.0GHzを、VALUESTAR TX VX100/6F(以下VX100/6F)はPentium4-2.4C GHzを採用する。どちらもHyperThreadingとFSB800MHzに対応しており、2機種の差はクロックのみとなる。チップセットもIntel865GでメモリはVX900/6Fが512MB、VX100/6Fが256MBとなるが、シングルチャンネルPC2700 DDR SDRAMとなる点も同じだ。グラフィックはVX100/6FではRADEON 9100(グラフィックメモリ64MB)だが、VX900/6FはnVIDIAのGeForce4 Ti4800(同128MB)を採用し、より高い性能を持つ。メディアドライブはVZ700/6Fより上のDVDマルチプラスドライブを初めて採用する。これはDVD-RAM、DVD+RW/R、DVD-RW/R、CD-RW/Rという7種類のメディアへの書き込みに対応するというものだ。現在市場で普及している書き込み型DVD規格全てに対応しているため、場合や好みに合わせて使い分けられるのが嬉しい。
 3機種ともTVチューナカードも搭載している点も特徴だ。従来機種に搭載されていた物とは異なり、ハードウェアMPEG2リアルタイムエンコーダに対応しているだけでなく、ゴーストリデューサ、3次元Y/C分離、デジタルノイズリダクション機能を持つ非常に高性能なものだ。ただ視聴・録画できるだけでなく高画質に行えるようになっている点は評価できるだろう。もちろん前面や背面のビデオ入力端子から、外部映像の視聴・録画も行える。ハードディスクはVZ700/6FとVX100/6Fが160GB、VX900/6Fが250GBと非常に大容量で、TV・ビデオの録画にも十分足りる容量だ。もし足りなくなった場合はDVDマルチプラスドライブやDVDマルチドライブを使ってディスクにすることも出来るし、上記のように3.5インチベイが空いているためハードディスクをもう一台搭載することも可能となっており万全だ。
 3機種の中で最も上位のVX900/6Fにはデスクトップパソコンには珍しい無線LAN(IEEE802.11a/b準拠)機能も搭載する。また、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T対応の有線LANは全機種に搭載する。PCIスロットやAGPスロットに加え、前面にPCカードスロット(TypeII×2)やメモリースティック・SDメモリーカードのデュアルスロットも装備するため拡張性は豊富だ。5基のUSB2.0ポートやIEEE1394も忘れずに搭載されている。
 キーボード・マウスは3機種共通だ。VZ700/6Fはファミリーモデルであるため他のファミリーモデル同様ファミリーボタン付きのキーボードが付属するかと思われたが、実際はファミリーボタンがない物である点は注意したい。代わりと言っては何だが、VZ700/6Fにはファミリーリングと呼ばれるワンタッチでユーザーを切り替えられるソフトが付属する。また伝言板やカレンダーなどのコミュニケーションツールであるファミリーウィンドウやファミリーDVDも同梱する点でファミリーモデルらしさが出ている。ディスプレイはVZ700/6FとVX900/6Fに付属する。1280×1024ドット表示の17インチタイプだ。実売価格はVZ700/6Fが28万円前後、VX900/6Fが21万円前後、VX100/6F39万円前後となり、水冷システムを搭載しているための割高感は感じられない。むしろ高い基本スペックとTVチューナのことを考えれば安いとも感じられる。
 近頃のパソコンはうるさいと感じている人は多いかもしれない。静かでありながら高いスペックを求める人には最適な選択肢となるだろう。

シリーズVALUESTAR TXVALUESTAR FZ
品番VX900/6FVX100/6FVZ700/6F
CPUHTテクノロジ
Pentium4-3GHz
(FSB800MHz)
HTテクノロジ
Pentium4-2.4C GHz
(FSB800MHz)
HTテクノロジ
Pentium4-2.4C GHz
(FSB800MHz)
チップセットIntel865G
メモリ512MBGB/最大2GB
PC2700 DDR SDRAM
シングルチャンネル
256MB/最大2GB
PC2700 DDR SDRAM
シングルチャンネル
512MBGB/最大2GB
PC2700 DDR SDRAM
シングルチャンネル
グラフィックGeForce4 Ti4800(128MB)RADEON 9100(64MB)
HDD250GB160GB160GB
メディアドライブDVDマルチプラスドライブ
DVD-R書込み : 最大4倍速
DVD-RW書換え : 最大2倍速
DVD+R書込み : 最大4倍速
DVD+RW書き換え : 最大2.4倍速
DVD-RAM書き換え : 最大3倍速
CD-R書込み : 最大24倍速
CD-RW書換え : 最大12倍速
DVD-ROM読出し : 最大12倍速
CD-ROM読出し : 最大32倍速
DVDマルチドライブ
DVD-R書込み : 最大2倍速
DVD-RW書換え : 最大1倍速
DVD-RAM書き換え : 最大2倍速
CD-R書込み : 最大12倍速
CD-RW書換え : 最大8倍速
DVD-ROM読出し : 最大10倍速
CD-ROM読出し : 最大32倍速
TVチューナ/ビデオキャプチャハードウェアMPEG2エンコーダー
(ゴーストリデューサ、3次元Y/C分離、デジタルノイズリダクション対応)
カードスロットPCカードスロット(TypeII)×2
メモリスティック・SDメモリカードスロット×1
USB/IEEE1394USB2.0×5(本体のみ)/2
無線LAN○(IEEE802.11a/b準拠)
その他通信1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T対応有線LAN
V.90対応56kbpsモデム
AGPスロット/PCIスロット1(空き0)/3(ハーフ・空き2)
5インチ/3.5インチベイ1(空き0)/2(空き1)
OSWindowsXP Professiona SP1

(H.Intel)


製品情報ページhttp://121ware.com/