プリンター徹底比較
2003年年末商戦向けプリンタ
〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜
(2003年10月5日著)


 エプソンとキャノンから、2003年年末商戦向けのプリンタが発表された。これらの2メーカーは別の方向へ進化を遂げており、それぞれのメーカーで特徴のある機能が備わっている。写真のダイレクト印刷機能やスキャナと一体になったタイプも同時に新製品が発売されたが、今回は「プリンタ単体」の製品を見ていく事にしよう。

エプソンのプリンタ
 
 エプソンは、今回発表されたプリンタ単機能の機種は4モデルで「PX-G900」「PM-G800」「PM-G700」「PX-V600」だ(そのほかダイレクト印刷やスキャナ一体型の2機種も発売されている)。全機種で「長期保存」という目的で新開発されたインクを採用している。「PX-Gインク」「PX-Vインク」「PM-G」インクの3種で、まとめて「つよインク」と呼ぶとの事だ。PXの付く物(PX-G/PX-V)は耐水性の高い「顔料系インク」、PMの付く物(PM-G)は従来通り「染料系インク」となる。
 PX-Gインクは顔料インクながら光沢紙への印刷を可能にした物で、最上位機種の「PX-G900」のみ採用している。顔料インクはオゾンや光の影響をうけにくく銀塩写真と同等以上の保存性をもつという事だ。もちろん普通紙でもにじまないくっきりした印刷結果が得られ、水に濡れてもにじみにくいという利点もある。PX-Vインクは前モデルのPX-V700で採用され、「普通紙くっきり」の宣伝文句であった顔料系インクを基本に、専用紙での発色を良した物でPX-V600に採用する。普通紙でもくっきりした印刷が行え多水性も高いが、インク数が4色と他機種より劣り、また従来通り光沢紙への印刷が行えない。残りの機種では染料インクのPM-Gインクだが、こちらも分子構造を改良する事により対オゾン性を高め、従来のPMシリーズが採用していた染料系インクより長期の保存を目指している。
 これ以外の改良点として、最上位機種で基本5色に加え「レッド」「ブルー」の新色2色と透明色「グロスオプティマイザ」を新たに採用し、合計8色インクとしている。これまでのエプソンの製品は上位機種のみ「各色独立タンク」で、下位機種は「カラー一体+黒」の構成であったが、今回発表の4機種は全て各色独立タンクを採用している。無くなった色だけ交換できるので経済的である。また、PX-G900とPM-G800ではCD-R/DVD-Rレーベル印刷時にレバー操作が不要になりより簡単になった。もともとアダプタ等が不要であった上、今回さらに簡単操作になったわけだ。新機能としては、用紙サイズを間違えてもプリンタ内部を汚さない「紙幅チェック印刷」機能を4機種とも持つ点も細かな改良点だ。従来より動作音が大きいと言われていたエプソンのプリンタだが、PX-V600を除く3製品は静音設計となっている点も嬉しい改良点だ。本体デザインは新しくなり、給紙トレイを閉める事ができるようになった(キャノンではすでに採用されているので、ようやくエプソンが追いついた形となる)。
 このように新たなインクを採用しただけでなく、細かな改良を行っているのである。

キャノンのプリンタ
 
 一方のキャノンは高画質化と高速化を行った3モデル「PIXUS 990i」「PIXUS 850i」「PIXUS 560i」を発表した(そのほかダイレクト印刷やスキャナ一体型の3機種も発売されている)。高画質化と言う点では今回発表した全機種で最小2plという極小インクに対応している。さらに、最上位機種の「PIXUS 990i」は前モデルPIXUS 980iと同じ2plのインク滴ながら、PIXUS 980iの6色にレッドインクを加えた7色構成を採用し高画質化を図っており、PIXUS 860iでは顔料系と染料系の両方のブラックを搭載し、光沢紙・普通紙のどちらでも美しい印刷を行えるようにしている。従来より高速だと言われていたキャノンのプリンタだが、ノズル数の向上や紙送り機構の改良を行い、より高速化を果たしている。例えば、PIXUS 990iではノズル数をPIXUS 980iの各色516から768に増やし、紙送り機構の改良によりモノクロ印刷時に毎分16枚、カラー毎分12枚の高速印刷を実現している。そのほか4色印刷ながらモノクロ毎分23枚、カラー毎分16枚を実現した機種も用意されている。
  今回発表された機種では、デジタルカメラとUSBケーブルで直接接続してパソコンなしで印刷可能な統一規格「PictBridge」に対応している点も特徴だ。また、PIXUS990iと550iでは、L版やはがきなどのサイズの写真用紙がセット可能な「フォトペーパーカセット」を装備している。これは通常の給紙トレイにセットした用紙とフォトペーパーカセットの用紙をワンタッチで切り替えられるため、用紙を入れ替える手間がなくなるという利点がある。さらに、自動両面ユニットや250枚の紙がセットできるペーパーフィードカセットもオプションで用意されている。
 その他、PIXUS 560iよりさらに下位のモデルで、今回の発表より前に一足先に出荷されている「PIXUS 455i」も比較対象としている。

4万円台のプリンタ
 
 エプソン、キャノンともに最上位のPX-G900(オープン価格)とPIXUS 990i(定価59,800円)が実売価格45,000円となっている。

メーカ エプソンキャノン
品番 PX-G900PIXUS 990i
品番
予想実売価格 45,000円45,000円
最大解像度 2880×1440dpi4800×2400dpi
インク色数 8色(同時使用7色:黒2種は選択使用)7色
顔料/染料系 顔料系(PX-Gインク)染料系
カートリッジ構成 各色独立各色独立
色詳細 シアン/マゼンダ/イエロー/フォトブラック/マットブラック/レッド/ブルー/グロスオプティマイザ シアン/マゼンタ/イエロー/ブラック/フォトシアン/フォトマゼンタ/レッド
最小インクドロップサイズ 1.5pl2pl
ノズル数 1440ノズル 5376ノズル
180ノズル×8色768ノズル×7色
特殊機能 4辺縁なし印刷
ロール紙印刷
CD-Rレーベル印刷 ○(アダプタ・レバー操作不要)○(アダプタ必要)
フォトペーパーカセット対応
インターフェイス USB2.0/IEEE1394USB2.0
外形寸法(横×奥×高) 495×307×198mm455×306×183mm
重量 8.0kg6.2kg

 最上位機種である2製品は、ともにインクに新しい色を採用している。PIXUS 990iは従来のシアン、マゼンタ、イエロー、フォトシアン、フォトマゼンタ、ブラックに新たにレッドを追加した7色構成となっている。レッドの分、従来機種より色の表現力が上がっているという。それに対してPX-G900はシアン、マゼンタ、イエローといった基本3色は変わらない物の、それ以外はレッド、ブルー、透明のグロスオプティマイザといった特殊なインク構成となっている。ブラックもフォトブラックとマットブラックの2つを使い分けると言う事だ。PIXUS 990iは2pl、PX-G900は1.5plとどちらもインク滴は小さく解像度は高く、超写真画質と言うに相応しい。特にPX-G900の1.5plというのは、従来の1.8plよりまだ小さなインク滴である。もっと言うならば、この二機種の印刷品質は「すばらしい」の一言になるだろう。
 PX-G900は顔料系のPX-Gインクを採用しているのが一番の特徴だ。顔料系インクの採用により高耐水性を持ちと、普通紙へのにじみのない印刷が行える。その上に光沢紙への印刷も可能と、顔料系インクの弱点を克服したのも見逃せない。耐オゾン性、耐光性も高く長期保存に向いた印刷が行える。印刷速度は最上位機種という事もあって十分に速いが、前モデルと同等レベルという事だ。PIXUS 990iは色が1色増えたとはいえ、従来同様染料系のインクを採用する。しかし、ノズル数を各色516から768に増やし、紙送り機構の改良によりモノクロ印刷時に毎分16枚、カラー毎分12枚という従来機種より大幅な高速印刷を実現しているという特徴がある。
 それ以外の点を見てゆこう。静音性という点ではエプソンも静かになった事から、両機種とも合格といえる。もちろん4辺縁なし印刷も行える。PX-G900はロール紙、PIXUS 990iはフォトペーパーカセットに対応し、両機種とも写真画質印刷が行える利点を生かす機能が搭載されている。CD-R/DVD-Rレーベル印刷機能はどちらも持つ物の、PX-G900は従来よりアダプタが不要の上、今機種よりレバー操作も不要になったのに対して、PIXUS 990iはアダプタの取り付けが必要になる点は残念といえる。設置面積はPIXUS 990iが若干小さい物の、どちらの機種も給紙トレイを閉める事ができるようになり差は小さい。
 この2機種を選ぶ基準は、おもしろい事にそれぞれのメーカーが採用した「最も特徴的な部分」のどちらに魅力を感じるかだ。つまり「PX-Gインク」と「高速印刷」のどちらを選ぶかだ。細かな差がある物の、どちらも最上位機種らしく各社のすべての機能が搭載されている。印刷結果も不満のないレベルに達しており、比べない限りどちらも満足できるだろう。後は、PX-Gインクによる耐水性や普通紙への印刷品質を求めるか、印刷枚数が多い環境で印刷スピードを求めるかになるだろう。


3万円台のプリンタ
 
 同じ3万円という実売価格に、エプソンからPM-G800、キャノンからPIXUS 860iの2機種がラインナップされている。

メーカ エプソンキャノン
品番 PM-G800PIXUS 860i
品番
予想実売価格 30000円30000円
最大解像度 2880×1440dpi4800×1200dpi
インク色数 6色5色(同時使用4色:黒2種は選択使用)
顔料/染料系 染料系(PM-Gインク)顔料系(ブラック)
染料系(ブラック以外)
カートリッジ構成 各色独立各色独立
色詳細 シアン/マゼンダ/イエロー/ライトシアン/ライトマゼンダ/ブラック シアン/マゼンタ/イエロー/ブラック/フォトブラック
最小インクドロップサイズ 1.5pl2/5pl
ノズル数 1080ノズル 1856ノズル
180ノズル×6色256(2pl)+256(5pl)ノズル×2色(シアン/マゼンダ)
128(2pl)+128(5pl)ノズル×2色(イエロー/ブラック)
160(2pl)+160(5pl)ノズル(フォトブラック)
特殊機能4辺縁なし印刷
ロール紙印刷
CD-Rレーベル印刷 ○(アダプタ・レバー操作不要)○(アダプタ必要)
フォトペーパーカセット対応
インターフェイス USB2.0USB/パラレル
外形寸法(横×奥×高) 495×307×198mm420×311×185mm
重量 8.0kg5.8kg

 PM-G800は新しい「PM-Gインク」を採用し、耐光性・対オゾン性を向上させているのが特徴だ。といっても、PX-G900とは異なり染料系インクなので耐水性や普通紙へのクッキリ印刷は望めない。インクは従来通り6色だが、2880×1440dpiの解像度に1.5plのインク滴とPX-G900と同等であり、光沢紙への印刷品質はは最上位機種とほぼ同じ高画質と言える。また、ノズル数も同等であることから印刷速度も上位機種と変わらない。もちろんレバー操作やアダプタ不要のCD-R/DVD-Rレーベル印刷も、4辺縁なし印刷も行える。最上位機種PX-G900との差はインクが染料系の6色になっていることと、IEEE1394端子が省かれていることくらいだ。これで1万5000円も安価であることを考えると、コストパフォーマンスは非常に高い。
 一方のPIXUS 860iは高速化をより進めた製品だ。合計で1856ノズルのヘッドを、しかも完全双方向で印刷できるためモノクロ毎分23枚、カラー毎分16枚の超高速印刷を実現している。印刷速度は上位機種PIXUS 990iを上回っているのである。ただし4色印刷であるため、印刷画質はPM-G800やPIXUS 990iなどには及ばない。といっても、最小2plの極小インクを使い、4800×1200dpiの高解像度で印刷するため4色印刷ながらかなりの写真画質を実現している。また、従来機のPIXUS 850iはカラー3色は染料系、ブラックインクは顔料系を使用していたため光沢紙ではブラックインクが使用できずカラー3色で黒を表現していたため黒のメリハリがないという問題があった。PIXUS 860iでは新たに染料系ブラックである「フォトブラック」を採用し、光沢紙でもブラックが使用でき、PIXUS 850iよりさらに高画質になっている。従来の顔料系ブラックも同時搭載するため、モノクロ印刷時は普通紙でもクッキリした印刷結果が得られる。CD-R/DVD-Rレーベル印刷も、4辺縁なし印刷も行えるが、レーベル印刷はアダプタが必要という点が残念だ。
 3万円台の2機種も選ぶ基準は画質と速度のどちらを優先するかとなる。画質を求めてPM-G800を選んだ場合、光沢紙へは上位機種に近い超写真画質を得られるし、速度を求めてPIXUS 860iを選んだ場合は超高速印刷を手に入れることが出来る。3万円という実売価格からは考えられないほどなのだ。また、PM-G800の印刷速度、PIXUS 860iの印刷画質も決して悪いものではないので、どちらを選んでもかなり満足できるだろう。

2万円台のプリンタ
 
 2万円台の機種として「PM-G700」と「PIXUS 560i」を比較する。実売価格はともに2万円前後だ。

メーカ エプソンキャノン
品番 PM-G700PIXUS 560i
品番
予想実売価格 20000円20000円
最大解像度 2880×720dpi4800×1200dpi
インク色数 6色4色
顔料/染料系 染料系(PM-Gインク)顔料系(ブラック)
染料系(ブラック以外)
カートリッジ構成 各色独立各色独立
色詳細 シアン/マゼンダ/イエロー/ライトシアン/ライトマゼンダ/ブラック シアン/マゼンタ/イエロー/ブラック
最小インクドロップサイズ 3pl2/5pl
ノズル数 540ノズル 1312ノズル
90ノズル×6色 256(2pl)+256(5pl)ノズル×2色(シアン/マゼンダ)
256ノズル(イエロー)
160(2pl)+160(5pl)ノズル(ブラック)
特殊機能4辺縁なし印刷
ロール紙印刷
CD-Rレーベル印刷 ○(アダプタ不要)○(アダプタ必要)
フォトペーパーカセット対応
インターフェイス USB(前面・背面)USB/パラレル
外形寸法(横×奥×高) 462×263×196mm418×274×172mm
重量 5.2kg4.9kg

 このクラスになると、付加機能の一部が削られる事となる。エプソンはロール紙印刷、キャノンはフォトペーパーカセットに非対応となる。しかし、4辺縁なし印刷とCD-R/DVD-Rレーベル印刷機能はどちらの機種も対応している。
 PM-G700はPM-G800の下位モデルであり、PM-Gインクを採用した6色印刷である点は同じながら、様々な点で機能が低下している。上記のロール紙印刷非対応もその一つだが、それ以外に解像度が2880×720dpi、インク滴が3plとなっており若干の印刷画質の低下が見られる。といっても3plのインク滴は十分に小さく、解像度もそれほど低くはなく、さらに6色インクでの印刷であるため十分写真画質と呼べるものだ。またPM-Gインクの採用により耐光性・対オゾン性を向上させているのもポイントだ。一方、ノズル数がPM-G800の半分に減らされているため、印刷速度が大きく低下している。前モデルの同価格帯のPM-870Cよりは高速化しているとの事だが、上位機種と比べると劣ってしまう。印刷音は上位機種と同じく静音設計となっており、これまでのエプソンの下位モデルにあったような耳障りな印刷音は改善されている。
 PIXUS 560iはPIXUS 860iと同じくシアン・マゼンダ・イエロー・ブラックの4色印刷となる機種だ。印刷速度はPIXUS 860iほどでは無い物の、モノクロ毎分23枚、カラー毎分16枚の超高速印刷を実現している。4800×1200dpiの解像度と最小2plのインク滴により4色印刷ながら写真画質に迫る印刷画質である点は評価できる。ただし、PIXUS 860iとは異なり染料系ブラックインクの「フォトブラック」には非対応で、染料系インクのカラー3色と顔料系インクのブラックの4色構成となる。光沢紙等ではブラックインクが使えずカラーインクを使って黒を表現するため、若干黒のメリハリが少なくなってしまう。反面、普通紙へのモノクロ印刷時は顔料系インクによるくっきりした印刷が行える。
 結局の所、超写真画質を得るか印刷速度を得るかという、4万円台、3万円台のプリンタと同じ選択基準となってしまう。実売価格2万円とはいえ、PM-G700の印刷画質は超写真画質とも呼べるものだし、PIXUS 560iの速度は最上位機種に負けないほど高速だ。ロール紙等への印刷が必要なかったり、印刷速度や画質のどちらか一方が極端に優れているだけで満足という場合は、この2製品でも十分に満足ができるだろう。低価格といえども、数年前の安かろう悪かろうでは無くなっているのである。

2万円台のプリンタ
 
 1万円台中盤の機種としてPX-V600とPIXUS 455iの2機種を比較する。PIXUS 455iは今回発表された機種ではなく、数ヶ月前に発表され9月上旬より出荷されている機種だが、他の機種と1ヶ月ほど早いだけである事と、PX-V600と同実売価格であることから比較対象になり得るとして掲載している。

メーカ エプソンキャノン
品番 PX-V600PIXUS 455i
品番
予想実売価格 15000円15000円
最大解像度 2880×720dpi4800×1200dpi
インク色数 4色4色
顔料/染料系 顔料系(PX-Vインク)顔料系(ブラック)
染料系(ブラック以外)
カートリッジ構成 各色独立カラー3色一体+ブラック
色詳細 シアン/マゼンダ/イエロー/ブラック シアン/マゼンタ/イエロー/ブラック
最小インクドロップサイズ 3pl2/5pl
ノズル数 357ノズル 1088ノズル
59ノズル×3色(ブラック以外)
180ノズル(ブラック)
256ノズル×3色(ブラック以外)
320ノズル(ブラック)
特殊機能4辺縁なし印刷
ロール紙印刷
CD-Rレーベル印刷
フォトペーパーカセット対応
インターフェイス USB/パラレルUSB
外形寸法(横×奥×高) 460×242×198mm393×258×202mm
重量 4.2kg3.7kg

 さすがに、実売価格1万5000円ともなると、ロール紙印刷やCD-R/DVD-Rレーベル印刷機能は省略されている。といっても4辺縁なし機能へはしっかり対応しており、とりあえず写真印刷や年賀状印刷には苦労しない。むしろ、年賀状印刷には向いた設計なのではと思う点もある。
 PX-V600はPX-V700の後継機種となる。後継機種なのに700から600へと品番の数字が下がっているが、これは従来のPX-V700が染料系6色インクのPMシリーズとは異なる特殊な製品と扱われていたためだ。ところが、今回はPX-GやPM-Gシリーズの一部に入ったため、上位機種から順に900、800、700と付けていき、結果PX-Vは600番台となったわけだ。PX-V600はPX-G900と同じ顔料系インクだが、光沢紙への印刷が行えない点が異なる。逆に普通紙へはにじみのないクッキリとした印刷結果が得られ、耐水性も高い。他機種と異なりインクが4色(シアン・マゼンダ・イエロー・ブラック)なのも特殊である。そのため写真印刷などではなく、普通紙への文章やホームページ印刷などが主な使用目的となるだろう。また、普通紙へのにじみのない印刷で耐水性も高いという事で、年賀状の印刷などに向いている事が分かる。4色インクであるため、他のエプソンの機種と比べると劣る物の、3plという十分小さなインク滴を使用しているため、4色印刷の中ではトップクラスとなる。光沢紙への印刷ができない点を割り切れば、安くて高い画質が得られるわけだ。
 PIXUS 455iは低価格ながらモノクロが毎分18枚、カラーは毎分12枚の高速印刷に対応しているのが特徴だ。PIXUS 560i同様顔料系インクのブラックと、染料系インクのシアン・マゼンダ・イエローの4色構成だ。光沢紙へはブラックインクが使えずカラー3色で黒を表現するため、黒のメリハリが弱いのも同じだ。ただし、PX-V600と異なり印刷できないわけではないので、4辺縁なし機能を使い光沢紙への写真印刷も行える。インク滴も2plと小さく、6色インクの機種ほどでない物の画質は十分高い。
 PX-V600とPIXUS 455iは同じ4色インクで、画質は似ていると言える。基本的な印刷機能だけ見ると、光沢紙への写真印刷が行え印刷速度も速いPIXUS 455iがおすすめとなる。ただ、PX-V600の普通紙への印刷品質と耐水性は何物にも代え難いとも思える。普通紙への印刷を重視するならPX-V600もおすすめだ。

(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/