プリンター徹底比較
2004年年末商戦向けプリンタ(前編)
〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜
(2004年10月1日著)


 エプソンとキャノンから、2004年年末商戦向けのプリンタが発表された。これらの製品をプリンタ、複合機、ダイレクトプリント対応プリンタの3種類を価格帯別に比較していこう。

エプソンのプリンタ
 
 エプソンからは、A4プリンタとして、「PX-G920」「PM-G820」「PM-G720」の3機種が発表された。去年のx00番台から、x20番台になった格好だ。ただし、去年は新開発の顔料系インクや染料系インクを発表し大きな変化があったためか、今年はそれほど大きな変化は見られない。またPX-V500は継続販売で、600番台は姿を消している。
 一方、A3対応の「PX-G5000」も発売された。これまでA3機と言えば写真用紙等の光沢紙に印刷の出来ない顔料系インクのPM-4000PXか、PM-Gではない普通の染料系インクでCD/DVDレーベル印刷に対応しないPM-3700Cから選ぶことになり、A4機に比べて物足りないラインナップだったが、今回PX-G920のA3版とも言うべきPX-Gインクを採用し様々な機能を持ったA3機のPX-G5000が発売されたのである。
 ダイレクトプリント対応のプリンタも新機種のPM-D770が発表された。単機能プリンタ同様、大きな変化は見られない。ただし、PM-D750ではオプション扱いだったプレビューモニターが標準添付されるようになった。
 最も大きな変化があったのは複合機かもしれない。PM-A850とCC-600PXの2機種だったが、今回は倍増の4機種となっている。「PM-A900」「PM-A870」「PM-A700」「PX-A550」の4機種だ。PM-A870は前モデルPM-A850の直接の後継機種のような形で、PM-A900はその上位機種となる。どちらも6色のPM-Gインクを採用している。特にPM-A900はスキャナ部は3200dpiのCCD、プリンタ部は1.5plインク滴でCD/DVDレーベルプリント対応というかなり高性能な機種だ。一方下位2機種の「PM-A700」と「PX-A550」はエプソンとしては珍しくCISスキャナを採用している。PM-A700はPM-Gインクだが4色構成で、汎用の下位機種と言った印象だ。一方のPX-A550はCC-600PXの直接の後継機種のような形で、4色のPX-Vインクを採用するなど、普通紙印刷を目的とした複合機だ。
 なお、新機種はすべて解像度が5760×1440dpiになるなどの進化はあるが、デザインやインク滴などには大きな変化はないようだ。

キャノンのプリンタ
 
 キャノンは全機種で新デザインを採用している。また品番がPIXUS iP????と「iP」が付き、数字も4桁になっている。
 A4単機能は上位機種から順に「PIXUS iP8600」「PIXUS iP8100」「PIXUS iP7100」「PIXUS iP4100」「PIXUS iP3100」「PIXUS iP2000」「PIXUS iP1500」となっている。ただし、インク滴や解像度、インク構成などは前モデルからそれほど変わっていない。iP8600は8色染料、iP8100は7色染料、iP7100は6色染料、iP4100は5色で顔料・染料両方のブラックと染料のカラー3色、iP3100以下は顔料のブラックと染料のカラー3色の計4色となっている。iP8600からiP3100までは、1機種ごとに1色ずつ減っていくのは面白いところだ。
 前モデルの不満点は確実に解消されており、CD/DVDのダイレクトプリントがアダプタ無しで行えるようになっている。また、iP3100までは両面印刷に対応、iP2100までは前面給紙にも対応しているなどの新機能も見逃せない。
 ダイレクトプリント対応の機種はPIXUS iP6100Dが発売されている。品番の数字が示すようにiP7100よりは解像度や印刷速度で劣るものの6色染料系インクを採用している。両面印刷や前面給紙にももちろん対応している。液晶ディスプレイも内蔵だ。
 キャノンも複合機は高性能化が著しい。今回は「PIXUS MP900」と「PIXUS MP770」の2機種が発表となった。PIXUS MP900は6色の染料系インクのプリンタと3200dpiのスキャナで、フイルムスキャンにも対応している。MP770は顔料・染料両方のブラックと染料のカラーの計5色インクで、2400dpiのスキャナでこちらもフイルムスキャン対応だ。両機種ともCD/DVDのダイレクト印刷に対応し、液晶ディスプレイも内蔵している。また、PIXUS MP370は継続販売となる。

4万円台のプリンタ
 
 エプソン、キャノンともに最上位のPX-G920とPIXUS iP8600が実売価格4万円台となっている。

メーカ エプソンキャノン
品番 PX-G920PIXUS iP8600
品番
予想実売価格 42,000円45,000円
最大解像度 5760×1440dpi4800×2400dpi
インク色数 8色8色
顔料/染料系 顔料系(PX-Gインク)染料系
カートリッジ構成 各色独立各色独立
色詳細 フォトブラック/マットブラック/シアン/マゼンダ/イエロー/レッド/ブルー/グロスオプティマイザ ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー/フォトマゼンタ/フォトシアン/レッド/グリーン
最小インクドロップサイズ 1.5pl2pl
ノズル数 1440ノズル 6144ノズル
180ノズル×8色768ノズル×8色
特殊機能 4辺縁なし印刷
ロール紙印刷
CD-Rレーベル印刷 ○(アダプタ不要)○(アダプタ不要)
両面印刷
前面給紙
PictBridge
インターフェイス USB 2.0/IEEE1394USB 2.0
外形寸法(横×奥×高) 495×307×198mm453×293×170mm
重量 8.0kg7.3kg
メーカー公称印刷速度
(L版縁なし)
42秒23秒

 最上位機種である2製品は、ともにインク構成が特殊だ。PX-G920は顔料系のPX-Gインクを採用している。PX-Gインクは顔料系としての高耐水性・高耐光性を持ちつつ、写真用紙などの光沢紙への印刷も行える。インク構成はフォトブラック/マットブラック/シアン/マゼンダ/イエロー/レッド/ブルー/グロスオプティマイザとかなり特殊だ。PIXUS iP8600も同じく8色でブラック/シアン/マゼンタ/イエロー/フォトマゼンタ/フォトシアン/レッド/グリーンとなっている。インク滴はPX-G920が1.5pl、PIXUS iP8600が2plと十分に小さい。画質という点では両者とも十分すぎる域に達していると思われる。
 一方の印刷速度には大きな差がある。メーカー公称ではL版写真の縁なしでPX-G920が42秒、PIXUS iP8600が23秒となっており、思いの外差がある。印刷内容や測定状況にもメーカーによって差があると思われるので、この結果が実際の速度差と決めつけるわけにはいかないが、ノズル数を見てもPX-G920が1440ノズルなのに対して、PIXUS iP8600が6144ノズルもあり、PIXUS iP8600が高速なのは疑う余地はないだろう。
 その他、CD/DVDレーベルプリントや4辺縁なし印刷などはどちらも備えている。特にPIXUSは前モデルから改良され、CD/DVDレーベル印刷時にアダプタの取り付けが不要になったためエプソンと同レベルになっている。PX-G920はロール紙が使用できるが、4辺縁なし印刷が高速になった今となっては今ひとつ魅力に欠ける。それよりもPIXUS iP8600の両面印刷と前面給紙の方が魅力があるだろう。といっても両面印刷時は用紙が限定される上、縁なし印刷が行えないなどもう一歩という印象もある。
 結局、機能面や速度で見ればPIXUS iP8600だろう。しかしPX-G900には他機種にない「写真用紙印刷が可能な顔料系インク」という特徴がある。耐水性や耐光性などが高く保存性に優れているため、水に濡れても安心だし写真の色あせも少ない。また、普通紙への印刷画質も高い。顔料系インクに魅力を感じ、写真用紙への印刷も考えるならPX-G920しか選択肢がないのであり、その様な場合は迷わずPX-G920だ。一方、顔料系インクにそれほど魅力を感じないのであれば、印刷速度や両面印刷などの点で勝るPIXUS iP8600という結論になるだろう。

3万円台のプリンタ
 
 エプソンのA4プリンタはPX-G920が4万円台、その下のPM-G820が2万円台中盤で、3万円台の機種がない。そのため、3万円台はキャノンの2機種PIXUS iP8100とPIXUS iP7100の同メーカーで比較することになる。

メーカ キャノンキャノン
品番 PIXUS iP8100PIXUS iP7100
品番
予想実売価格 35,000円30,000円
最大解像度 4200×2400dpi4200×2400dpi
インク色数 7色6色
顔料/染料系 染料系染料系
カートリッジ構成 各色独立各色独立
色詳細 ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、フォトマゼンタ、フォトシアン、レッド ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、フォトマゼンタ、フォトシアン
最小インクドロップサイズ 2pl2pl
ノズル数 5376ノズル 4608ノズル
768ノズル×7色768ノズル×6色
特殊機能 4辺縁なし印刷
ロール紙印刷
CD-Rレーベル印刷 ○(アダプタ不要)○(アダプタ不要)
両面印刷
前面給紙
PictBridge
インターフェイス USB 2.0USB 2.0
外形寸法(横×奥×高) 453×293×170mm453×293×170mm
重量 7.3kg7.3kg
メーカー公称印刷速度
(L版縁なし)
25秒25秒

 2機種はかなり似た機種である。1色あたりのノズル数も同じ、解像度も同じ、インク滴も同じである。4辺縁なし機能に加え、CD/DVDレーベル印刷、両面印刷や全面給紙機能を備えている点でも同じだ。本体サイズも同じで、メーカー公称の印刷速度も25秒で同等となっている。違いは、PIXUS iP8100が7色、PIXUS iP7100が6色インクである事だ。PIXUS iP7100はブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、フォトマゼンタ、フォトシアンの6色で、PIXUS iP8100はそれにレッドインクが追加されている。
 確かに最上位のPIXUS 8600iに比べてインク数は減っているが、6色以上なので十分写真画質だし、インク滴は同じ2pl、解像度も4800×2400で同じだ。画質の差は、見比べても分かるか分からないかという程度だろう。CD/DVDレーベルプリントや両面印刷などの機能も同じなので、上位機種との差は少ないと言えるだろう。その割に価格差は、PIXUS iP8100で1万円、PIXUS iP7100で1万5000円の差があるので、「スペック上の最高」を求めないのであれば、PIXUS 8100/7100でも十分だろう。この中でも5000円安いPIXUS 7100がおすすめと言えるだろう。ただし、さらに5000円安いエプソンのPM-G820も画質面で最上位機種とほぼ同等であるため、一緒に検討して頂きたい。

2万円台中盤のプリンタ
 
 エプソンのPM-G820とキャノンのPIXUS iP4100が実売価格2万5000円で価格帯では直接のライバル関係だ。ただ、PM-G820は6色機、PIXUS iP4100は4色機(正確には黒が2種の5色)なので、印象はかなり異なる。PM-G820はPX-G920のインク変更版に近く、そういった意味では、PIXUS iP8100/7100とのライバルなのかもしれない。

メーカ エプソンキャノン
品番 PM-G820PIXUS iP4100
品番
予想実売価格 25,000円25,000円
最大解像度 5760×1440dpi4800×1200dpi
インク色数 6色5色
顔料/染料系 染料系(PM-Gインク)顔料系/染料系
カートリッジ構成 各色独立各色独立
色詳細 ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー/ライトシアン/ライトマゼンタ ブラック(顔料)/ブラック(染料)/シアン/マゼンタ/イエロー
最小インクドロップサイズ 1.5pl最小2pl
ノズル数 1080ノズル 1856ノズル
180ノズル×6色512ノズル×2色(マゼンダ・シアン)
256ノズル×2色(イエロー・ブラック)
320ノズル(ブラック)
特殊機能 4辺縁なし印刷
ロール紙印刷
CD-Rレーベル印刷 ○(アダプタ不要)○(アダプタ不要)
両面印刷
前面給紙
PictBridge
インターフェイス USB 2.0USB 1.1
パラレル
外形寸法(横×奥×高) 495×307×198mm418×286×170mm
重量 8.0kg6.7kg
メーカー公称印刷速度
(L版縁なし)
43秒42秒

 まず、エプソンのPM-G820である。この機種はPX-G920のインクを染料系のPM-Gインク6色に変更したような機種だ。そのためインク滴は1.5plと非常に小さく、解像度は5760×1440dpiも高いため、画質面では再上位機種と変わらない。CD/DVDレーベルプリントや縁なし印刷、ロール紙印刷も最上位機種と同等であり、機能面での差は少ない。それでありながら、1万5000円以上安い2万5000円となっており、顔料系インクにこだわらなければ非常にお買い得感の高い機種と言える。
 一方のPIXUS iP4100は6色でも4色でもない中途半端な5色インクとなっているが、これは黒インクが顔料系と染料系の2種類を使用するためで、実質は4色機と考えても良いだろう。顔料系ブラックがあるため、普通紙への文章印刷などの際にクッキリした印刷が行える。一方光沢紙へ写真を印刷するなどの場合も、染料系ブラックがあるため問題ない。インク滴が2plと小さいため、4色印刷になる割には高画質だ。
 印刷速度は、メーカー公称値ではほぼ互角だ。印刷が速い印象があるキャノンだが、キャノンは上から4機種目だが、エプソンは上から2番目で最上位機種と同等の印刷速度を備えているためだろう。画質はPM-G820は1.5plのインク滴の6色に対してPIXUS iP4100は2plのインク滴の実質4色で、PIXUS iP4100でも十分高画質とはいえ、やはり差があると言える。印刷速度が同等で画質が上ならPM-G820を選ぶしか無いように思える。しかし、特殊印刷機能に差がある。CD/DVDレーベル印刷機能や縁なし印刷は同じだが、両面印刷と前面給紙はPIXUS iP4100にしか無い機能だ。両面印刷時は縁なし印刷が行えず、用紙にも制限があるなどもう一歩とも言えるが、これらの機能に魅力を感じるならPIXUS iP4100でも十分高画質なので、こちらを選んでも良いはずだ。これらの特殊印刷機能に魅力を感じないならPM-G820が良いだろう。

2万円のプリンタ
 
 エプソンのPM-G720とキャノンのPIXUS iP3100が実売価格2万円でとなる。ただ、PM-G720は6色機、PIXUS iP3100は4色機なので、2万円台中盤の機種と同じような感じだ。どちらの機種も2万円台中盤の機種から削られている機能があるため、その辺りも見つつ比較していこう

メーカ エプソンキャノン
品番 PM-G720PIXUS iP3100
品番
予想実売価格 20,000円20,000円
最大解像度 5760×1440dpi4800×1200dpi
インク色数 6色4色
顔料/染料系 染料系(PM-Gインク)顔料系(ブラック)/染料系(カラー)
カートリッジ構成 各色独立各色独立
色詳細 ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー/ライトシアン/ライトマゼンタ ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー
最小インクドロップサイズ 3pl最小2pl
ノズル数 540ノズル 1600ノズル
90ノズル×6色512ノズル×2色(マゼンダ・シアン)
256ノズル(イエロー)
320ノズル(ブラック)
特殊機能 4辺縁なし印刷
ロール紙印刷
CD-Rレーベル印刷 ○(アダプタ不要)○(アダプタ不要)
両面印刷
前面給紙
PictBridge
インターフェイス USB 1.1USB 1.1
外形寸法(横×奥×高) 462×263×196mm418×286×170mm
重量 5.2kg6.5kg
メーカー公称印刷速度
(L版縁なし)
63秒42秒

 エプソンのPM-G720はPM-G820のインク滴を倍の3plに、ノズル数を半分の450ノズルにし、ロール紙印刷機能を省いたような製品だ。一方のキャノンのPIXUS iP3100はPIXUS iP4100から染料系ブラックインクを除いたような製品となる。
 PM-G720はインク滴は3plと大きくなったとはいえ6色で、依然としてかなりの写真高画質だ。一方のPIXUS iP3100はインク滴は2plと小さいものの4色機であるためPM-G720より若干劣る印象だ。といっても十分高画質だ。一方の印刷速度はPM-G720はノズル数がPM-G820の半分になってしまったため、メーカー公称値でL版1枚が62秒に落ちてしまう。一方のPIXUS iP3100はPIXUS iP4100と各色のノズル数は同等なので、同じ42秒である。速度はPIXUS iP3100に軍配が上がる。
 PM-G720はロール紙印刷機能は省かれたものの、縁なし印刷が行えるのでそれほど問題ではないだろう。CD/DVDレーベル印刷も行える。PIXUS iP3100はCD/DVDレーベル印刷や縁なし印刷に加え、両面印刷や前面給紙などPM-G720にはない機能を備えている。両面印刷時は縁なし印刷が行えないなどの問題もあるが、あれば便利な場面もあるだろう。
 ちなみにPIXUS iP3100は顔料系のブラックインクと染料系のカラーインクを使用する。顔料系ブラックインクのお陰で、普通紙への文字印刷などでもメリハリのある印刷が行えるが、PIXUS iP4100とは異なり染料系ブラックを搭載しないのが問題だ。そのため光沢紙への印刷などの時にブラックインクが使えず、若干黒のメリハリが薄いという話もある。
 結局、画質のPM-G720と速度のPIXUS iP3100となるだろう。ただ、PM-G720の印刷速度はそこまで遅いわけではなく、PIXUS iP3100の画質も悪くはないため、どちらを選んでもそれほど不満というわけではない。強いて言うなら画質と速度のどちらを重視するかによって選ぶと良いだろう。

1万円〜1万5000円のプリンタ
 
 キャノンは新機種のPIXUS iP1500が実売価格1万円である。一方、エプソンはPX-V500が継続販売という形ではあるが、実売価格が同じ1万円であるため直接のライバルとなるだろう。ただ、キャノンには実売価格1万5000円のPIXUS iP2000があるがエプソンにはその価格帯の製品がないため、ここで一緒に比較することにする。

メーカ エプソンキャノンキャノン
品番 PX-V500PIXUS iP2000PIXUS iP1500
品番
予想実売価格 10,000円15,000円10,000円
最大解像度 2880×720dpi4800×1200dpi4800×1200dpi
インク色数 4色4色4色
顔料/染料系 顔料系(PX-Vインク)顔料系(ブラック)/染料系(カラー)顔料系(ブラック)/染料系(カラー)
カートリッジ構成 各色独立黒+カラー3色一体黒+カラー3色一体
色詳細 ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー
最小インクドロップサイズ 3pl最小2pl最小2pl
ノズル数 177ノズル 1600ノズル 1600ノズル
90ノズル(ブラック)
29ノズル×3(カラー)
320ノズル(ブラック)
256ノズル(カラー)
320ノズル(ブラック)
256ノズル(カラー)
特殊機能 4辺縁なし印刷
ロール紙印刷
CD-Rレーベル印刷
両面印刷
前面給紙
PictBridge
インターフェイス USB 1.1USB 1.1USB 1.1
外形寸法(横×奥×高) 450×242×192mm418×260×169mm416×207×165mm
重量 3.9kg4.4kg2.9kg
メーカー公称印刷速度
(L版縁なし)
288秒62秒72秒

 この価格帯になると、機能はかなり絞られている。縁なし印刷は3機種とも備えているが、CD/DVDレーベル印刷機能は省かれている。また、キャノンの特徴の両面印刷も省かれており、前面給紙やPictBridgeもPIXUS iP2000のみとなる。
 エプソンのPX-V500はPXの名が示すとおり顔料系インクを使用する。ただし、PX-G920の顔料系インクとは異なり、PX-Vインクなので光沢紙への印刷はほとんどの場合行えない。また、インクは4色となるため、画質面では上位機種との差がある。ただ、顔料系インクであるため、普通紙へもクッキリ印刷が行え、耐水性も高いため普通紙専用と考えるなら、画質は高いと言える。
 一方のキャノンの2機種は画質面では同等と言える。どちらも2plのインク滴の4色機である。ただし上位機種とは異なり、カラーは3色一体になっているため、無くなった色だけ交換は出来ない。インクは顔料のブラックと染料のカラーを使用する。普通紙への文字原稿などでは顔料系ブラックでメリハリのある印刷が行え、ブラックインクは使用できないものの、光沢紙等への印刷も行えるなど、PX-V500より用紙の種類は選ばない。PIXUS iP2000とPIXUS iP1500の違いは、前面給紙とPictBridgeとなる。
 画質面ではいずれもも4色であることから差は小さい。インク滴はPX-V500が3pl、PIXUS iP2000/1500も最小2plなので、画質は悪くない。一方印刷速度は差が大きい。PX-V500はブラックが90ノズル、カラーは各29ノズルしかないため、メーカー公称値でL版1枚4分48秒もかかってしまう。これはあまりにも遅すぎる。一方のキャノンは上位機種よりは遅いとはいえ、PIXUS iP2000で1分2秒、PIXUS iP1500で1分12秒と、この価格帯としては十分高速だ。
 画質の差が小さいので、その他の部分で選ぶことになる。PX-V500は顔料系インクという特徴があり、普通紙専用と考えるなら悪くはないが、印刷速度が余りにも遅いため、印刷速度をそこまで犠牲にして顔料系インクという点にこだわる必要があるかは疑問だ。結局はPIXUS iP2000かPIXUS iP1500から選ぶのが妥当だろう。前面給紙とPictBridgeを必要と感じるならPIXUS iP2000に、そうでないならPIXUS iP1500で良いだろう。

 A4プリンタは以上である。複合機、ダイレクトプリント対応プリンタ、A3プリンタについては次回お伝えする。

(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/