プリンター徹底比較
2004年年末商戦向けプリンタ(後編)
〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜
(2004年10月14日著)


 エプソンとキャノンから、2004年年末商戦向けのプリンタが発表された。後編は前編で紹介できなかったダイレクトプリント対応プリンタ、A3機、複合機を比較していこう。


ダイレクトプリント対応プリンタ
 
 ダイレクトプリント対応プリンタとして、エプソンからPM-D770、キャノンからはPIXUS iP6100Dが発売された。価格も近いため、どちらを選ぶかは悩みどころだ。

メーカ エプソンキャノン
品番 PM-D770PIXUS iP6100D
品番
予想実売価格 28,000円30,000円
最大解像度 5760×1440dpi4800×1200dpi
インク色数 6色6色
顔料/染料系 染料系(PM-Gインク)染料系
カートリッジ構成 各色独立各色独立
色詳細 ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー/ライトマゼンタ/ライトシアン ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー/フォトマゼンタ/フォトシアン
最小インクドロップサイズ 3pl2pl
ノズル数 540ノズル 1536ノズル
90ノズル×6色256ノズル×6色
特殊機能 4辺縁なし印刷
ロール紙印刷
CD-Rレーベル印刷 ○(アダプタ不要)○(アダプタ不要)
両面印刷
前面給紙
PictBridge
対応メモリーカード コンパクトフラッシュ/スマートメディア/SDメモリカード/メモリースティック/XD-Pictureカード コンパクトフラッシュ/スマートメディア/SDメモリカード/メモリースティック/
ディスプレイ 1.43型カラー+白黒2.5型カラー
インターフェイス USB 2.0USB 1.1
外形寸法(横×奥×高) 498×264×225mm429×312×195mm
重量 6.1kg7.0kg
メーカー公称印刷速度
(L版縁なし)
64秒62秒

 ダイレクトプリント対応プリンタは、エプソンとキャノンそれぞれ1機種ずつラインナップしている。エプソンのPM-D770はA4プリンタのPM-G720にダイレクトプリント機能を付けたような製品だ。一方のキャノンのPIXUS iP6100Dは「6100」の数字が示すように、A4プリンタのPIXUS iP7100よりも下位でPIXUS iP4100よりも上位のようなプリンタ部分にダイレクトプリント機能を付けたような製品だ。具体的に言うと、PIXUS iP7100と同じ6色インクを使用するが、ノズル数は3分の1となり印刷速度では劣るのである。
 画質面ではどちらも6色インクと言うことで大差はないだろう。印刷速度に関しても、メーカー公称値でL版1枚がPM-D770で64秒、PIXUS iP6100Dで62秒とほぼ互角だ。4辺縁なし印刷は勿論、CD/DVDレーベル印刷機能も備える。PictBridgeはキャノンはもちろんだが、A4プリンタでは対応していなかったエプソンもダイレクトプリント対応プリンタでは対応している。今回よりキャノンの多くの機種が備える両面印刷と前面給紙機能は、PIXUS iP6100Dも備える。この点ではPM-D770よりも勝る点だろう(ただし、両面印刷時は一部の用紙を除いて縁なし印刷が行えない)。
 では肝心のダイレクトプリント機能はどうだろうか。どちらの機種も多種のメモリカードに対応する。ただし、コンパクトフラッシュ、スマートメディア、SDメモリカード、メモリースティック(及びその系統のカード)はどちらの機種も対応だが、XD-Pictureカードに関してはPM-D770はスロットを持つものの、PIXUS iP6100Dは直接対応しない。PIXUS iP6100Dはコンパクトフラッシュ型のxD-Pictureカードアダプタを利用して対応している点は注意が必要だ。その為、xD-Pictureカードのデジカメ等を持っている場合は、PM-D770の方が便利と言える。
 両機種とも液晶ディスプレイを備える。PM-D770は1.43型、PIXUS iP6100Dは2.5型の液晶で、それぞれメモリカードの中の写真を確認しつつ印刷が行える。PM-D770の液晶がかなり小さいように思えるが、その代わり設定用の白黒液晶を別に備えるため、カラー液晶は写真表示やレイアウトの表示専用に使用でき、見やすいとも言える。
 結局、画質や印刷速度の差は小さいのだから、それ以外の部分にどの程度魅力を感じるかである。価格差が2000円程度あるので、この差を出して両面印刷と前面給紙が必要と感じるかどうかだ。また、前途のようにxD-Pictureカードを使うならPM-D770がオススメだ。

A3ノビ対応プリンタ
 
 A3ノビ対応プリンタとしてエプソンはPX-G5000を新発売した。一方のキャノンは、一足先に発売されていたPIXUS 9900iがA3ノビ対応プリンタとなる。

メーカ エプソンキャノン
品番 PX-G5000PIXUS 9900i
品番
予想実売価格 70,000円60,000円
最大解像度 5760×1440dpi4800×2400dpi
インク色数 8色8色
顔料/染料系 顔料系(PX-Gインク)染料系
カートリッジ構成 各色独立各色独立
色詳細 フォトブラック/マットブラック/シアン/マゼンダ/イエロー/レッド/ブルー/グロスオプティマイザ ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー/フォトマゼンタ/フォトシアン/レッド/グリーン
最小インクドロップサイズ 1.5pl2pl
ノズル数 1440ノズル 6144ノズル
180ノズル×8色768ノズル×8色
特殊機能 4辺縁なし印刷
ロール紙印刷
CD-Rレーベル印刷 ○(アダプタ不要)○(アダプタ不要)
両面印刷
前面給紙
PictBridge
インターフェイス USB 2.0/IEEE1394USB 2.0/(IEEE1394・MAC専用)
外形寸法(横×奥×高) 615×314×219mm577×334×182mm
重量 11.7kg9.5kg
メーカー公称印刷速度
(L版縁なし)
42秒32秒

 PX-G5000はPX-G920のA3ノビ対応版とも言うべき製品だ。そのため、インクは光沢紙印刷が行える顔料系インクのPX-Gインクだ。8色インクで、1.5plのインク滴、5760×1440dpiというのもPX-G920と同じだ。そのため画質は最高レベルで、しかも顔料系インクなので耐水性、耐光性も高く、普通紙にもクッキリ印刷が行えるなどの特徴もある。4辺縁なし印刷、ロール紙印刷、CD/DVDレーベル印刷も可能だ。
 一方のキャノンはPIXUS iP9100のA3ノビ版に近い。こちらも8色インクで2plのインク滴と4800×2400dpiの解像度であるため、PX-G5000とほぼ同等の超写真高画質である。4辺縁なし印刷、CD/DVDレーベル印刷にも対応しているが、PIXUS iPシリーズより数ヶ月前に発売された製品のため、両面印刷や前面給紙には対応していないのは残念だ。また、印刷速度もPIXUS iP9100より遅めだ。その印刷速度だが、メーカー公称値でL版1枚がPX-G5000は42秒、PIXUS 9900iは32秒で多少の差があるものの、どちらも十分高速だ。
 機能面では似た部分が多く、画質、速度、特殊印刷機能面でも最高レベルに近く、不満はないだろう。ただし、似ている2機種だが、PX-G5000が7万円、PIXUS 9900iは6万円と1万円もの価格差がある。そのため、顔料系インクに1万円が出せるかどうかがPX-G5000かPIXUS 9900iかの決め手になるのではないだろうか。

フィルムスキャン対応複合機
 
 複合機も機種が多いため、フィルムスキャン対応の機種と、非対応の機種とで分けて検証しよう。まず、フォルムスキャン対応の機種だ。2003年度末の時点では1機種しかなかったフィルムスキャン対応機は一気に4機種になっている。  

メーカ エプソンエプソンキャノンキャノン
品番 PM-A900PM-A870PIXUS MP900PIXUS MP770
品番
予想実売価格 48,000円35,000円45,000円40,000円
最大解像度 5760×1440dpi5760×1440dpi4800×2400dpi4800×1200dpi
インク色数 6色6色6色5色
顔料/染料系 染料系(PM-Gインク)染料系(PM-Gインク)染料系染料系/顔料系
カートリッジ構成 各色独立各色独立各色独立各色独立
色詳細 ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー/ライトシアン/ライトマゼンタ ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー/ライトシアン/ライトマゼンタ ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー/フォトシアン/フォトマゼンダ ブラック(顔料系)/ブラック(染料系)/シアン/マゼンタ/イエロー
最小インクドロップサイズ 1.5pl3pl2pl最小2pl
ノズル数 1080ノズル540ノズル3072ノズル1856ノズル
180ノズル×6色 90ノズル×6色 512ノズル×6色 512ノズル×2色(シアン/マゼンダ)
256ノズル×2色(イエロー/ブラック)
320ノズル
特殊機能 4辺縁なし印刷
ロール紙印刷
CD-Rレーベル印刷 ○(アダプタ不要)○(アダプタ不要)○(アダプタ不要)
両面印刷
前面給紙
PictBridge
スキャナ解像度 3200×6400dpi2400×4800dpi3200×6400dpi2400×4800dpi
スキャナセンサ種類 CCDCCDCCDCCD
フィルム読み取り ○(6コマ連続)○(6コマ連続)○(12コマ連続)○(6コマ連続)
対応メモリーカード コンパクトフラッシュ/スマートメディア/SDメモリカード/メモリースティック/XD-Pictureカード コンパクトフラッシュ/スマートメディア/SDメモリカード/メモリースティック/XD-Pictureカード コンパクトフラッシュ/スマートメディア/SDメモリカード/メモリースティック コンパクトフラッシュ/スマートメディア/SDメモリカード/メモリースティック
ディスプレイ 2.5型2.4型3.2型2.5型
インターフェイス USB 2.0USB 2.0USB 2.0USB 2.0
外形寸法(横×奥×高) 450×418×236mm456×439×256mm492×452×252mm486×472×267mm
重量 12.9kg10.0kg10.8kg12.4kg
メーカー公称印刷速度
(L版縁なし)
41秒57秒39秒42秒

 エプソンとキャノンからそれぞれ2機種ずつ発表されたフォルムスキャン対応機、各メーカー上位機種のPM-A900とPIXUS MP900は3200dpiのスキャナ、下位機種のPM-A870とPIXUS MP770は2400dpiのスキャナを搭載している。フィルムスキャンはPIXUS MP900のみが12コマ連続、その他は6コマ連続スキャンに対応しており、実質問題のないレベルだ。
 プリンタ部分には各製品に差がある。エプソンのPM-A900は6色の1.5plのインクでPM-G820相当となっている。ノズル数もPM-G820と同等なので、印刷速度・画質共に最高レベルである。一方のPM-A870は、PM-G720相当であり、6色という点ではPM-A900と同等だが、インク滴が3plとなっている。ただし十分に高画質であるため、このレベルでも十分だ。またノズル数も半分になっており、印刷速度はPM-A900には及ばない。キャノンのPIXUS MP900は2plの6色インクで、PIXUS iP6100に近いがノズル数が少なくなっているため、超高速というわけではない。PIXUS MP770は顔料ブラックに染料ブラックとカラー3色の5色インクで、PIXUS iP4100相当と言えるのである。他機種と比べるとハイライト部等でドットが目立つが、それほど気になることはなく高画質だ。L版写真の印刷速度はメーカー公称で、PM-A870以外が40秒前後で並んでおり、PM-A870のみが57秒となっているが、いずれの機種も大きな差はなく、問題ないレベルと言える。
 ダイレクトプリント機能だが、いずれの機種もメモリースロットを持っている。エプソンキャノン共に、コンパクトフラッシュ、スマートメディア、SDメモリカード、メモリースティックのスロットを備えるが、xD-Pictureカードのスロットはエプソンの2機種しか備えていない。キャノンの2機種でxD-Pictureカードを利用する場合は、コンパクトフラッシュタイプのアダプタが必要になる点は注意が必要だ。ちなみにPictBridgeは全機種が対応している。
 操作部は、PM-A900が2.5型、PM-A870が2.4型、PIXUS MP900が3.2型、PIXUS MP770は2.5型のカラー液晶を備える。サイズに差はあるが実用上問題のないレベルの液晶を搭載しており、操作も行いやすい。付加機能としては、最近のプリンタでは一般的になってきたCD/DVDレーベル印刷機能は、最も安価なPM-A870以外の3機種が備えている。また、前面給紙も同じくPM-A870以外が備える。複合機はプリンタに比べて背面にアクセスしにくいことが多いため、前面給紙は便利だろう。キャノンお得意の両面印刷は、なぜか上位機種のPIXUS MP900が対応しておらず、下位機種のPIXUS MP770が対応している。
 その他の機能として、PM-A900はインクの交換が前面から行えるように工夫されている。複合機の場合、上にスキャナが乗っている形状となるため、インクの交換はプリンタ単機能の機種に比べて手間がかかるため、嬉しい機能だ。また、「手書き合成シート」に描いた絵・文字を、メモリカード内の写真に合成して印刷する機能や、CD/DVDのレーベルをスキャンしてレーベル印刷を行う機能など、パソコンを使わずに出来る機能が色々と提供されている。キャノンの2機種はプリントやコピーをするときに前面の排紙トレイが自動的に開くようになっており便利だ。
 結局3200dpiが必要か、2400dpiで十分かでまず2機種に絞れるだろう。フィルムスキャンの画質を重視するなら3200dpiの機種を選びたいところだが、フィルムスキャンもできれば良い程度なら安価な2400dpi機で十分だろう。3200dpiの2機種は、印刷画質、印刷速度、特殊印刷機能面で似ているため、どちらか一方に決めるのはなかなか難しいが、 PM-A900は前記の手書き絵・文字を写真に合成する機能や、レーベルからレーベルへ印刷する機能などのおもしろ機能がいろいろと付いている。インク交換も簡単だ。複合機単体での使用を重視するならPM-A900をオススメしたい。一方2400dpiの場合はPM-A870とPIXUS MP770には差があるため選ぶのは簡単だ。CD/DVDレーベル印刷や前面給紙にこだわらない、または6色インクにこだわるのであればPM-A870を、CD/DVDレーベル印刷等を行ってみたいと思うならPIXUS MP770がオススメだ。

フィルムスキャン非対応複合機
 
 フィルムスキャン非対応の複合機としてはエプソンからPM-A700とPX-A550の2機種が新製品として発売され、キャノンからはPIXUS MP370が継続販売となる。いずれも2万円前後の価格帯だが、機能面ではいくつかの違いがある。

メーカ エプソンエプソンキャノン
品番 PM-A700PX-A550PIXUS MP370
品番
予想実売価格 22,000円18,000円20,000円
最大解像度 5760×1440dpi5760×1440dpi4800×1200dpi
インク色数 4色4色4色
顔料/染料系 染料系(PM-Gインク)顔料系(PX-Vインク)染料系/顔料系
カートリッジ構成 各色独立各色独立黒+カラー3色一体
色詳細 ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー ブラック/シアン/マゼンタ/イエロー ブラック(顔料系)/シアン/マゼンタ/イエロー
最小インクドロップサイズ 3pl3pl最小2pl
ノズル数 360ノズル360ノズル1088ノズル
90ノズル×4色 90ノズル×4色 256ノズル×3色(イエロー/シアン/マゼンダ)
320ノズル(ブラック)
特殊機能 4辺縁なし印刷
ロール紙印刷
CD-Rレーベル印刷
両面印刷
前面給紙
PictBridge
スキャナ解像度 1200×2400dpi600×1200dpi1200×2400dpi
スキャナセンサ種類 CISCISCCD
フィルム読み取り
対応メモリーカード コンパクトフラッシュ/スマートメディア/SDメモリカード/メモリースティック/XD-Pictureカード コンパクトフラッシュ/スマートメディア/SDメモリカード/メモリースティック
ディスプレイ
インターフェイス USB 1.1USB 1.1USB 2.0
外形寸法(横×奥×高) 430×354×181mm430×344×170mm454×358×249mm
重量 6.8kg6.5kg8.0kg
メーカー公称印刷速度
(L版縁なし)
99秒117秒77秒

 エプソンからPM-A700とPX-A550、キャノンからはPIXUS MP370の3機種である。1200dpi以下のスキャナを搭載しているため、フィルムスキャンは行えない。
 まずはスキャナ部分を見てみよう。PM-A700は1200dpi、PX-A550は600dpi、PIXUS MP370は1200dpiのスキャナを搭載している。面白いのは、エプソンの2機種はがCIS方式のスキャナを採用している点だ。エプソンは一般向けスキャナでは全機種でCCD方式を採用しているため、そのエプソンがCIS方式を採用するのは珍しい。一方のキャノンはCCD方式のスキャナだ。CIS方式はCCD方式に比べて、原稿台から浮いている原稿の読み取りは苦手だ。つまり、アナログ腕時計などの読み取りは苦手なのだ。また、分厚い本などをスキャンすると、どうしても真ん中が浮いてしまう事があるだろう。その際に浮いた部分が真っ黒にスキャンされてしまう場合がある。一方でCIS方式は薄型化しやすく、エプソンの2機種の小型化に多少なりとも貢献して居るものと思われる。
 次にプリンタ部分を見てみよう。PM-A700は染料系インク(PM-Gインク)でありながら4色インクという、エプソンとしては変わった構成となっている。一方のPX-A550は品番の「PX」が示すとおり、顔料系インク(PX-Vインク)である。顔料系インクは普通紙へクッキリした印刷が行え、耐水性も高いが、光沢紙への印刷が行えない場合が多いという問題がある。紙の種類に制限のないPM-A700と、普通紙へ特化したPX-A550である。インク滴は3plとどちらも小さく、6色以上のインクを搭載した機種と比べると劣るが、十分に高画質と言える。一方のPIXUS MP370は顔料のブラックインク+染料のカラーインクの4色構成だ。普通紙の文字原稿とは顔料ブラックでクッキリと印刷できる反面、光沢紙やカラー印刷時にブラックインクが利用できない問題がある。といっても、比べるとかろうじて、暗部に分かる程度の違いがあるだけなので、それほど問題視するほどではない。
 ダイレクトプリント機能とコピー機能に関する部分は、さすがに上位機種には及ばない。PM-A700とPIXUS MP370はメモリーカードスロットを備え、ダイレクトプリントに対応するが、液晶画面がないため写真を見つつ選択することが出来ない。そこで、「オーダーシート」(エプソンの場合)や「フォトナビシート」(キャノンの場合)を利用する。名称は違うが、つまり画像のサムネイルに印刷設定や枚数設定用のマークシートが付いたようなものだ。このシートの印刷したい写真にマークを付け、設定項目のマークも付け、これをスキャンするとその通りに印刷されるというわけだ。液晶はないものの、スキャナが付いている点を利用し、比較的簡単にダイレクト印刷が行えるようになっている。ちなみに、PX-A550はメモリーカードスロットを持っていないためダイレクトプリントは行えない。また、PM-A700、PIXUS MP370は共にコンパクトフラッシュ、スマートメディア、SDメモリカード、メモリースティックのスロットを備えるが、PIXUS MP370はxD-Pictureカードのスロットを備えておらず、xD-Pictureカードを利用する場合は、コンパクトフラッシュタイプのアダプタが必要になる点は注意が必要だ。PictBridgeもメモリーカードスロットと同じく、PM-A700とPIXUS MP370が対応する。PX-A550は、顔料系インクという点と、ダイレクトプリント、PictBridge非対応という点から、写真印刷は捨て、純粋にコピーに向けた製品となっているようだ。
 印刷速度だが、メーカー公称でL版写真一枚が、PM-A700が99秒、PX-A550が117秒、PIXUS MP370が77秒となっている。いずれも上位機種と比べると遅いが、その中でPIXUS MP370は比較的マシと言える。
 3機種の内、写真印刷も行うのであれば、PM-A700とPIXUS MP370の2機種からという事になるが、機能面で似たところが多く1機種に決めるのは難しい。エプソンは小型化しているが、スキャナがCIS方式である。「小型」か「CCD方式のスキャナ」のどちらを取るかである。一方、普通紙コピーや印刷のみであれば、PX-A550も悪くない。ただ、価格差が余り大きくない割に、ダイレクト印刷機能が省かれ、スキャナ解像度も低く印刷速度も遅い。顔料系インクなので、いざというときにも光沢紙への印刷が行えない。そのため、普通紙が主な使用であっても、PM-A700やPIXUS MP370から選ぶ方が良いかもしれない。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/