小ネタ集
超小型パソコン!
SONY「VGN-UX50」
(2006年6月12日著)



超小型パソコン発売
 
 今回、SONYから発売されたパソコン「VGN-UX50」は「超小型」というのがふさわしいパソコンだ。わずか520gの本体でWindows XPが動作し、キーボードまで備えている。これは、インテル製CPU搭載Windows XP対応パソコンとしては「世界最小・最軽量」と言う事である。
 
性能は?
 
 超小型だが、スペックとしてはそれほど悪いものではない。CPUは最新のCore Solo U1300(1.06GHz)を搭載し、メモリは512MB、ハードディスクは30GBとなっている。チップセットはIntel 945GMS Expressを採用しており、グラフィック機能もチップセット内蔵のものを利用する。これだけの性能があれば、文章や表計算、メールやインターネットといったオフィスアプリケーションだけでなく、画像編集や軽めのゲームであれば動作すると思われる。但し、メモリは512MB以上に増設は出来ないのは残念だ(サイズを考えれば仕方がないが)。
 ディスプレイとキーボードは本体サイズを小さくした場合に最も影響を受ける部分である。液晶ディスプレイは4.5インチで解像度は1024×600ドットとなっている。かなり小さいと言えるし、解像度も15.4インチ液晶などの1280×800ドットと比べると一段階小さくなっているが、最低限の見やすさを考えられていると言える。これ以上サイズが小さいと見にくいし、これ以上解像度が高いとアイコンや文字が小さくなりすぎるだろう。クリアブラックLE液晶なので、画面は十分に明るいのは嬉しいところだ。
 前のVAIO Uでは外付けであったキーボードは内蔵されたが、パソコンのようなキー形状ではなく、どちらかと言えばポチポチと押すボタンに近い。液晶ディスプレイを上にスライドさせると、キーボードが現れる。配列は通常のパソコンに近いが、列のズレがなく、完全に格子状の中に配置されている。Enterキーまで他と同じサイズであり、唯一スペースキーが2つ分になっている。タッチ感はあまり良くなく、ボタンを押すと言うよりは、平面のボタンを押し込む必要があるため、あまり高速に打てない。

キーボード部分。キーと言うよりはボタンという感じであり、またキーは行ごとのズレが無く、整然と並んでいる。

 拡張性もずいぶん犠牲になっている。USBは1基しか持たず、それ以外にはマイクとイヤホン端子、さらにコンパクトフラッシュスロットとメモリースティックDuoスロットとなる。また、専用のアダプタを取り付ける事で外部ディスプレイ出力とLAN、AV出力端子を利用できるようになる。通信機能としては有線LAN以外にIEEE802.11a/b/g対応の無線LANとBluetoothに対応している。コンパクトフラッシュスロットが有るので、AIR EDGE通信カードなどの最低限の増設は出来るがUSBが1基では何とも心許ない。
 VGN-UX50にはポートリプリケーターも付属するので拡張性が必要な時はこちらを使うのが良いだろう。本体を上に置くようになっており、USB 2.0が側面に1つ、背面に2つ、AV出力端子、IEEE1394端子、LAN端子に加え、引き出し式のFeliCaポートも搭載する。プリンタとインターネット用のLANケーブルはこちらに接続しておき、家に帰った時はポートリプリケーターに乗せればプリンタやインターネットに接続と言った使い方をすると便利だろう。本体は斜めに置く事になるため、このまま使用するのにも使いやすいようになっている。

ポートリプリケーターに乗せたところ。左側のFeliCaポートを引き出している。

 それ以外の特徴として、131万画素と31万画素のWebカメラを備え、指紋認証センサーも搭載する。本体サイズは幅150.2mm×奥行95mm×高さ32.2〜38.2mmとなっており、重量は520gである。バッテリ駆動時間は3.5時間となっている。別売のバッテリーパック(L)を使うと倍の7時間動作するようになるが、重量は100gアップとなる。わずか100gだが、520gに対する100gは結構大きい。ACアダプタはコード込みで220gとなっている。本体を考えると重く感じるが、パソコン用としてはかなり軽めになっているので、持ち運んでも苦にならないはずだ。
 実売価格は17万円前後となっている。基本スペックだけを考えれば少々割高かもしれないが、これほどまで小型に作るだけでもコストが高く付きそうである。むしろ、手に入る価格帯であることが嬉しいと言える。

 
他のPDAと比較
 
 上記のようなサイズならば、PDA代わりに使う事が想定されているだろう。そこで、有名なPDAと比較してみよう。比較対象としてザウルスの最新機種「SL-C3200」と、WILLCOMのPDA型端末「W-ZERO3」の中から最新のWS004SHの2機種を表にしてみた。

品番VGN-UX50SL-C3200W-ZERO3
(WS004SH)
メーカーSONYSHARPSHARP
実売価格169,800円74,800円44,800円
(新規契約(年間契約)時)
CPUCore Solo U1300
1.06GHz
Intel XScale PXA270
416MHz
Intel XScale PXA270
416MHz
メモリ512MB64MB64MB
記憶媒体30GB(HDD)6GB(HDD)256MB(フラッシュメモリ)
ディスプレイ4.5インチ
(クリアブラックLE液晶)
1024×600ドット
タッチパネル式
3.7インチ
(システム液晶)
640×480ドット
タッチパネル
3.7インチ
(モバイルASV液晶)
640×480ドット
タッチパネル式
スロットPCカード
CFカードType II×1Type II×1
SDカード△(miniSD専用)
MS△(Duo専用)
USB端子USB 2.0×1
デジタルカメラ31万画素
131万画素
133万画素
通信機能無線LAN
(IEEE802.11a/b/g)
Bluetooth
AIR EDGE 4X
無線LAN(IEEE802.11b)
OSWindows XP
Home Edition(SP2)
Linux(Lineo uLinux)Windows Mobile 5.0
キーボード69キー
(スライド式)
49キー53キーQWERTY配列
(スライド式)
バッテリ駆動時間3.5時間7時間(明るさ最小)
4.5時間(明るさ最大)
連続通話5時間
本体サイズ150.2×95×32.2〜38.2mm124×87×25mm130×70×26mm
重量520g298g220g

 こうしてみると性能はかなりの差がある。CPUはPDAが416MHzなのに対して1.06GHzだし、記録媒体もSL-C3200の6GBやW-ZERO3の256MBと比べると30GBというのはかなり大きい。SL-C3200もハードディスクを搭載するが容量に大きな差があるのは、SL-C3200が1インチタイプなのに対して、UX50の場合は1.8インチタイプだからである。
 ディスプレイサイズはSL-C3200やW-ZERO3の3.7インチに対してVGN-UX50が4.5インチというのはそれほど差はない。ただ、解像度には大きな差があるので、作業する時は便利だろう。対応スロットはSL-C3200と良い勝負である。コンパクトフラッシュともう一つというのは一緒で、miniSDかメモリースティックDuo化が違うだけだ。標準サイズのSDやメモリースティックが使えず、miniサイズしか使えないところまで一緒だ。
 重量はSL-C3200やW-ZERO3の倍から倍近いといえるが、サイズは意外と差がない。SL-C3200との差は幅で26mm、高さは8mm、高さは7〜13mmとなっている。バッテリ駆動時間の差も意外と小さく、SL-C3200で明るさを最大にした場合とだと1時間の差しかない。もっと保たせたい場合は100g増やしてバッテリーパック(L)を取り付ける方法もある。
 キーボードは液晶をずらして搭載するあたりがW-ZERO3によく似ている。最も開発開始はW-ZERO3の発売前と言う事なので、真似をしたわけではないようだ。今後は小型機ではこういった形が一般的になるのかもしれない。ただ上でも書いたようにUX50のキーボードはそれほど使いやすいとは言えず、SL-C3200の方が打ちやすく感じた。
 確かにPDAとして使うには、電源を押してから起動まで一瞬のPDAに比べて、休止モードでも数秒かかるパソコンでは、さっと出してさっと使う事は出来ないか、かわりにWindowsアプリケーションが動くという、他には換えられない魅力がある。PDAが欲しいが、PDA搭載のOfficeやその他のアプリケーション、処理能力では寂しいという人には、うってつけの製品だろう。

(H.Intel)


今回の関連メーカー
VAIOホームページhttp://www.vaio.sony.co.jp/