CDに写真の書き込みが出来る小型プリンタ EPSON「E-700」 (2006年9月27日著)
パソコン用のインクジェットプリンタと言えば、A4用紙まで印刷出来るのが一般的だ。またA3などに対応した大型の機種もある。そんな中で、それなりのシェアがあるのがL判写真やハガキサイズまで印刷できる小型のプリンターである。今回は、エプソンの新機種の中で、特に変わった機能が付いた「E-700」を紹介する。
E-700の面白いところは、「CD/DVDドライブ搭載」というところである。CD-R/RWへの書き込みが出来て、DVDは読込だけと言うから、正確には「コンボドライブ搭載」になるのだろう。なぜプリンタでCD書き込みが出来なければならないかと言えば、デジカメを持っていてパソコンを持っていない人向けである。パソコンを持っていないと、デジカメで写真を撮ってメモリカードがいっぱいになっても、他に移してメモリカードを再利用できない。これまでも、プリントだけなら、ダイレクト印刷機能を持ったプリンタを買えば出来たが、メディアへのバックアップはDPE店に持ち込んでやってもらうことになってしまう。結局DPE店に持ち込まなければならないのであれば、デジカメの利点の一つが失われてしまう。 実はエプソンの最近のプリンタは、プリンタのUSBポートに外付けのCD-RドライブやDVD書き込みドライブを接続すれば、メモリカードのデーターを書き込み事ができた。しかし、パソコンを持っていない人が、外付けドライブを選んで買って接続するというのは敷居が高いと感じるだろう。そこで、E-700ではドライブ自体を内蔵し、プリンタを買えばCD-R/RWにバックアップが取れるようにしたのである。 また、パソコンにデーターを移してはいるが、その後CD-Rへ書き込みの仕方が分からないという人も結構多い。そんな人にもE-700は便利だろう。512MBメディア一杯に写真を撮ったら、とりあえずCD-Rにデータを移すというようなやり方が良いだろう。それ以外にも旅行先で撮った写真をCD-Rに書き込んでその場で友達にあげるという方法も取れ、CD/DVDドライブを内蔵することで色々な使い方が考えられるのだ。
プリント機能そのものも充実している。インクヘッドは5760×1440ドットで最小2plとなる。インクは4色構成になるが、2plとインク滴が小さいことに加え、新開発の「Advanced-MSTD」に対応しており、十分に美しい印刷結果が得られる。MSTDとは3種類の異なるサイズのインクを打ち分ける技術だったが、Advanced-MSTDでは5種類のインクサイズを打ち分けることが出来るように改良されている。L判写真一枚は35秒となっており、A4プリンターの標準を上回るスピードだ。もちろん、CMでおなじみの「Epson Color」対応となっている。オートフォトファイン!EXにより、逆光などで暗くなってしまった写真も顔の部分を自動判別し補正してくれるなど、写真が簡単に綺麗に補正できる。また、インクは染料ながら耐光性や耐オゾン製を高めたPM-Gインクであり、さらに今回から耐光性が50年、耐オゾン製が25年にアップしている(従来は耐光性が20年、耐オゾン製が10年)。残念ながらインクは4色一体となっており、無くなった色だけ交換できない。特にブラックインクまで一体になっているのは通常のプリンタなら問題だが、E-700なら文字原稿を印刷することもないと思われるので、それほど問題ではないだろう。 メモリカードからのダイレクト印刷に対応しているだけでなく、赤外線通信やPictBridgeにも対応しているので、様々な方法でダイレクトプリントが楽しめる。角度調整可能な2.5インチ液晶も内蔵しているため写真の確認も簡単だ。スロットはコンパクトフラッシュ(CF)やSDカードスロット、メモリースティック(MS)、xDピクチャーカードに対応している。もちろん通常タイプだけでなく、コンパクトフラッシュスロットはマイクロドライブに、SDカードスロットはSDHCカードに、xDピクチャーカードスロットはTypeMやTypeHに、メモリースティックスロットはPROタイプにも対応しているので、スマートメディア(SM)以外一通り対応しているという安心感がある。このスロットに挿したメモリカードの写真は、内蔵ドライブによってCD-Rへの書き込みが行えるのは先ほど書いたとおりだが、それ以外にUSB端子に挿したUSBフラッシュメモリや、MOドライブ、DVD-Rドライブなどへの書き込みも行える。また逆にそれらのドライブからのダイレクト印刷にも対応している。もちろん、内蔵のCD/DVDドライブに写真の入ったCDやDVDを入れても印刷可能だ。つまりCDにバックアップしてメモリカードから消した写真でもダイレクト印刷ができるのだ。 対応している用紙はL判写真やハガキ、カードサイズに加え、新たにL判より大きいKGサイズまで対応している。B5やA4用紙には対応しない反面、本体サイズが215×152×176mmとコンパクトで、重量も3.0kgなので手軽に持ち運べる。さらに別売のリチウムイオンバッテリを取り付けることで、コンセントに挿さずに100分間の印刷が可能になる。L判写真なら120枚印刷できると言うことなので、キャンプなどに持っていってその場で印刷と言った事も可能なのだ。ここでも内蔵のドライブが力を発揮し、写真をその場でCDに書き込んで友達にあげるという使い方も可能だ。 実売価格は32,000円(2006年9月末現在)。プリンタとしては安くはないが、ダイレクト印刷からCD-Rへの書き込みまで出来て、さらにバックアップしたCDからのダイレクト印刷も可能なので、これ一台でパソコンなしでも安心だ。デジカメを持っているがパソコンを持っていない人はもちろん、わざわざパソコンを使うのが面倒だという人、パソコンでCD-Rの書き込み方法が分からない人、コンパクトなプリンタが欲しい人、屋外で写真を印刷したりCDに書き込んで他の人にあげるのおもしろそうだと思った人など、様々な人にオススメできるプリンタである。また、E-700からCD/DVDドライブを外す代わりに更にコンパクトなE-500(実売価格25,000円)や、液晶を2.0インチ、インクを3plのMSTDに変更し、赤外線通信機能や写真にフレームや飾りを付ける機能を省いきバッテリにも非対応のE-300(実売価格18,000円)もあるので合わせて検討して頂きたい。
(H.Intel) 今回の関連メーカー エプソンホームページhttp://www.epson.jp/
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