SONY VAIO 「Type S」と「Type C」を比較する (2007年4月3日著) SONYのVAIOには様々なシリーズがあるが、2007年春モデルの中にtype CとType Sというシリーズがある。どちらも13.3インチ液晶を搭載しており似ているのだが、それぞれどのようなユーザーに向いているのだろうか。
Type CとType Sはそれぞれ13.3インチ液晶を搭載しているが、ソニーとしては全く別と考えているようだ。ホームページでの分類にもそれが表れており、Type Cは大画面ノートに、Type Sはモバイルノートに分類されているのだ。それもそのはずで、Type CはType F lightの流れをくむ機種として今回登場したシリーズなのだ。Type F lightは、15.4インチ液晶のType Fのプライベートノート版として一回り小さい14.1インチ液晶を搭載していた機種であり、基本的には家庭内で使うことを前提としていた。今回それを更に小型化したために、13.3インチ液晶となっている。一方のType Sは元からモバイル向けとなっていおり、軽量で長時間駆動するように開発されている。それでは、スペックを比較してみよう。
Type Sは「VGN-SZ73B/B」と「VGN-SZ53B/B」の2機種ラインナップされている。VGN-SZ73B/BはCPUがCore 2 Duo T7200(2GHz)でHDDが100GB、VGN-SZ53B/BはCPUがT5500(1.66GHz)でHDDが80GBのである。一方のType Cは4機種ラインナップされている。基本はCore 2 DuoのVGN-C70B/Wと、Celeron MのVGN-C50HB/Wである。この2機種にはメモリ容量やハードディスク容量、グラフィックチップの他、Windowsのエディションにも違いがある。そしてこのVGN-C50HB/WのカラーバリエーションがVGN-C60HBで、Office Personal 2007をPower Point付きにしたものがVGN-C50HA/Wとなる。 それでは両シリーズを順に比較していこう。CPUはType Sの下位モデルとTypeCの最上位モデルが同じである。つまり、「Type Sの上位モデル>Type Sの下位モデル=Type Cの最上位モデル>Type Cの最上位モデル以外」である。また、メモリもType Sの2機種とType Cの最上位モデルが1GBとなっており、それに伴ってOSもWindows Vista Home Premiumとなっている。また、グラフィックもType Sの2機種とType Cの最上位機種がGeForce Go 7400となっており、ゲームにも十分対応できる。これをみると、Type Sは性能重視であることがわかる。しかし、性能の高い機種がほしければType Sを選ぶしかないかと言えば、Type Cでも最上位機種ならtype S並みの性能を得ることができる。 ディスプレイはどちらも13.3インチだが、Type Sは「クリアブラック液晶」、Type Cは「クリアブラックLE液晶」となっている。クリアブラック液晶の方が表示品質や視野角の面で優れている。ただし、Type Fなどに採用されている「クリアブラック液晶(ピュアカラー)」よりは色の鮮やかさの点では劣る。 ディスクドライブはどちらもDVDスーパーマルチドライブだが、書き込み速度はType Cの方が上である。なぜ、他の性能はType Sの方が上なのに、ここだけ逆転しているのかというと、本体の厚さが問題のようだ。Type Sでは本体を薄くするために、DVDスーパーマルチドライブも薄型のものを採用しているようであり、そのために書き込み速度が遅くなってしまったようだ。一方のType Cはコストダウンの観点もあるのか、通常の厚みのドライブが採用されているようで、そのために書き込み速度も速くなっている。ただし遅いと言ってもDVD±R(1層)の速度は変わらないし、DVD±RWも4倍速なのでそれほど問題にはならないだろう。 USB端子は2基、IEEE1394端子は1基というのはType S、Type C共通だ。しかし、配置はType Sの方が優れている。Type SのUSB端子が右側面でIEEE1394が左側面だが、いずれも奥側に配置されている。一方のType CはUSBとIEEE1394共に右側面の手前に配置されている。Type Cのように手前側に端子があるとケーブルをつないだときに、マウス操作に邪魔になるのだ。端子は奥にある方が使いやすいだろう。また、上記スペックには現れていないが、もう一つ配置面で違いがある。それは排気口の位置だ。Type Sは背面にあるので問題ないが、Type Cは右側面にあるためマウス操作をすると暖かい空気が手に当たる可能性がある。細かい点だが、重要視する人もいるだろう。 PCカードスロットやメモリカードスロットにも違いがある。Type Sは従来のPCカードスロット(TypeII)と、Express Cardスロットの両方を搭載している。これからはExpress Cardスロット用のカードが増えてくるとは思われるが、今のところ通信カードなどはまだまだPCカードスロット用のモノが多いため両方備えているのはありがたい。一方のType CはExpress Cardスロットのみとなる。メモリカードスロットはType SはメモリスティックDuoのみ、Type Cはメモリスティック(標準サイズ・Duo)のみがダイレクトに入り、それ以外は付属のアダプタをExpress Cardスロットに挿して使うことになる。 有線LANはType Sが1000BASE-Tまで対応しているのに対して、Type Cは100BASE-TXまでの対応となる。Type Sはビジネス用途で使う事があるため1000BASE-Tまでの対応で、Type Cはコストを考えて100BASE-TXまでなのだろう。無線LANもType Sの両機種とType Cの最上位機種のみIEEE802.11a/b/gに対応で、Type Cの最上位機種以外の3機種はIEEE802.11b/gのみ対応となる。 そのほか、Type Sにはビジネス用途に向いた機能が色々と搭載されている。まず指紋センサーが搭載されており、セキュリティーが高められている。また、BluetoothとWebカメラも搭載されている。一方のType CにはSビデオ出力端子が搭載されており、DVDの映像などをテレビに出力して見られるようになっている。家庭での使用でもWebカメラがあれば便利だと思われるが、残念ながら搭載されていない。SONYのパソコンには必ず搭載されているFelicaポートはType S、type C共に搭載されている。 バッテリ駆動時間はType Sが5.5時間、Type CがVGN-C70B/Wのみ3.5時間、それ以外が2.0時間となっている。モバイルノートに位置づけられているType Sはさすがに長めだが、Type CのVGN-C70B/Wでもそれなりに使えるだろう。本体サイズは、奥行きは同等くらいだが、横幅がType Cの方が1.5cmほど大きい。これだけ見ると差は小さいように感じるが、厚みがずいぶん違う。最厚部は0.1mmしか違わないが、手前が1cm以上異なるので、見た目はずいぶん違うのだ。Type Cは後部と前部の厚みがほとんど一緒で、机の上との段差が結構大きい。Type Sは前部が薄くなっているために机との段差も小さく、前方に軽く傾いている形でキーも打ちやすい。重量も400g違うのは結構大きい。 両機種は液晶サイズこそ同じだが、ずいぶん異なる性格を持っている。Type Sはビジネスにも使える機能を搭載し、スペックも高くバッテリ駆動時間も長いため、屋外と屋内の両方でストレス無く使える機種といえるだろう。よっぽど性能を求めないのであれば下位モデルのVGN-SZ53B/Bがおすすめだ。しかし、下位モデルでも22万円と高価なのは事実である。性能はほしいが少しでも価格を抑えたい場合はType Cの最上位モデルVGN-C70B/Wがおすすめだ。しかしモバイル性は若干低下してしまう。一方のVGN-C50HA/Wは自分の部屋などに置いて使うプライベートノートとしての使い方の他、安くてモバイルノートを探している人にはお勧めといえる。スペックは他機種と比べてれば低いと言っても通常の使用なら問題ないレベルだし、バッテリ駆動時間も電源のとれるところで使うなら問題ないだろう。カラーバリエーションのVGN-C60HBは5千円アップなのは、人によって評価が分かれるだろう。 大きく言えばモバイル性と性能を求めるならType S、そこまで求めないならType Cがおすすめだが、液晶ディスプレイやグラフィック性能などで向いている方を選んでもらいたい。 (H.Intel) 今回の関連メーカー VAIOホームページ http://www.vaio.sony.co.jp/ SONYホームページ http://www.sony.co.jp/
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