流行の低価格モバイルノート 20機種を比較する (2008年9月29日著・10月11日追記)
【Eee PC 4G-X】 低価格モバイルパソコンの火付け役となったのがこのEee PC 4G-Xである。後継製品が出た今となっては見劣りする部分も多く、価格も発売当初の59,800円から44,800円へと下がっているもののEee PC 701 SD-Xよりも高い。しかし、在庫処分となっている店舗も多く、またイー・モバイルなどのブロードバンド申し込みで100円で購入できるというようなキャンペーンを行っている店舗もあるため、実際にはかなり安く手に入れられる可能性もある。 CPUはCeleron M 353のロック周波数を900MHzから560MHzに落としているが、ベンチマークテストなどを見ると他機種と比べて意外と性能は悪くない。またメモリも512MB搭載されており、ビジネスアプリケーションを使うのであれば問題ないレベルだ。MPEG2などの動画を見る事も可能だろう。処理性能面ではそれほど問題はない。問題は液晶ディスプレイとストレージである。液晶ディスプレイは本体に比べて画面サイズが小さい事も外見上いまいちだが、それよりも解像度が800×480ドットと低い事が問題で、ホームページを閲覧する上で横方向のスクロールが発生する可能性が高くなる。ストレージはもっと深刻で、HDDの代わりにSSDを搭載するが、4GBしかなく、購入時の空き容量は1.7GBである。アプリケーションのインストールもままならない。付属の4GBのSDHCカードや、最近価格がどんどん下がってきたより大容量のSDHCカードを利用して工夫する必要がある。少なくとも、旅行に持ち運んでデジカメの画像を移したり、動画を持ち運ぶという用途には向いていないのは確かだ。一方、キーボードは84キーでサイズは15.5mmと平均的だ。キー配置も特殊なものが少なく使いやすい。特殊な機能はないが、有線LANと無線LAN、3基のUSBなど基本的なものはそろっている。 この機種は、液晶ディスプレイとストレージの弱さが気になるため、価格と弱点のどちらを重視するかで決まるだろう。 【Eee PC 901-X】 Eee PCの2代目となるのがこのEee PC 901であり様々な改良がなされている。まず、不満の多かったディスプレイに関しては8.9インチに大型化が計られると共に、解像度が1024×600ドットにアップした。一般的なノートパソコンよりは低いものの、ホームページ閲覧などは格段に便利になった。CPUは最新のAtom N270(1.6GHz)を採用し、性能アップが図られている。さらに、メモリも1GBに増量されスペックはかなりの強化となる。OSはWindows XPのままなので、十分なレベルだ。 一方でストレージには引き続きSSDを採用する。ただしEee PC 4G-Xの4GBから増量され、4GBのSSDと8GBのSSDの2基を搭載し、12GBまで増えている。代わりに4GBのSDHCカードは付属しなくなったが、この方がSDカードスロットも空くので便利である。またバッファローから、8GBのSSDと交換できる32GB又は64GBのSSDが発売されているのも見逃せない。いざとなればコストはかかるが最大68GB(4GB+64GB)まで増設できるわけだ。 そのほかインタフェースも若干強化が図られている。まず、3基のUSBとディスプレイ出力を備える。有線LANは100BASE-TX対応だが、無線LANはIEEE802.11b/gに加え、IEEE802.11nに対応しているのが低価格機種ながら珍しい。さらにBluetooth機能も搭載した。またWebカメラも130万画素へとアップしている。カードスロットはSDカードのみと少し寂しい。 Eee PC 901の特筆すべき点はバッテリ駆動時間だ。なんと8.3時間もの長時間駆動が行える。せっかくのモバイルパソコンなのだから、バッテリ駆動時間が長いのはうれしいところだ。バッテリ駆動時間の向上に加えディスプレイも大型化したため、本体サイズは若干大きくなり重量も1.1kgへと増えているが、携帯性を損ねるほどではない。 大きな特徴はないが、携帯性と性能を考えれば、よくまとまっており弱点が見つからない。価格も初代Eee PCの登場時の価格を据え置いているので、高くない。多くの人にお勧めできる優れた機種だ。 【Eee PC 701 SD-X】 Eee PC 4G-Xの後継として、Eee PC 901-Xに続いて発売されたのがEee PC 701 SD-Xである。本体はEee PC 4G-Xと同じものだがいくつか改善されている所もある。 まずCPUであるが、同じCeleron M 353であるが、本来の900MHz動作となり、処理スピードアップが図られている。ただし公式ページには動作クロックは書かれておらず、実際の製品を確認しただけである点はご注意頂きたい。メモリは512MBであるがOSがWindows XPであるためとりあえず問題なさそうだ。容量不足が指摘されていたストレージは倍の8GBになり、十分とは言えないものの空き容量には多少の余裕ができた。また4GBのSDHCカードに代わって30GBの外付けハードディスクが付属するため、データはこちらに保存する事になるだろう。 液晶ディスプレイはEee PC 4G-Xと同じ7インチで800×480ドットである。画面サイズはともかく、解像度が低いためホームページ閲覧時など一覧性が劣る事になる。30万画素のWebカメラ、100BASE-TXの有線LAN、IEEE802.11b/g対応の無線LAN、3基のUSB、ディスプレイ出力と最低限ながら一通り揃っており、こちらは問題ない。またSDカードスロットがあるが、内蔵SSDの容量が増え、付属のSDHCカードもハードディスクとなり、スロットが空くようになった点は便利になったといえる。 キーボードは15.5mmキーピッチと小さめではあるが、キー配列のデフォルメが少ないこともあって何とか使える大きさだ。また内蔵タッチパッドに加えUSBマウスも付属する。バッテリ駆動時間も少し延び3.7時間となっている。重量は910gと比較的軽めだ。 価格との兼ね合いもあり液晶ディスプレイなどに不満はあるが、Eee PC 4G-Xからいくつか改善もされ、価格は39,800円ととにかく安い。特に安く手に入れたいという人には最適な1台だと言える。 【Eee PC 900-X】 Eee PC 900-XはEee PC 901-Xから一部のスペックを落とすことで1万円低価格化し49,800円とした機種だ。まずCPUがAtom N270(1.6GHz)からCeleron M 353(900MHz)に変更されている。しかしクロック差ほど性能は落ちておらず、オフィスアプリケーションだけでなく、動画の再生などもある程度行えるはずだ。ただし公式ページではCeleron M 353としか公表されておらず、900MHz動作しているのは実機で確認しただけなので注意していただきたい。メモリは1GBあるためOSがWindows XPであることを考えると十分だ。ストレージは他機種と同じくSSDだが、容量は16GBと大きめで多少余裕がある。ディスプレイも8.9インチで1024×600ドットとEee PC 901-Xと同じだ。解像度が下位機種より高いためホームページなどの一覧性は高い。 Webカメラや100BASE-TXの有線LAN、IEEE802.11b/g対応の無線LAN、3基のUSB、ディスプレイ出力、SDカードスロットなど一通り揃っているが、Eee PC 901-Xと比べるとBluetoothが非搭載であり、無線LANもIEEE802.11nには対応しない。バッテリ駆動時間は4.3時間とEee PC 901-Xよりは短いが、とりあえず十分といえるだろう。一方で重量は軽くなっており990gと1kgを切るので携帯性はよい。 ディスプレイは大きく高解像度の方が良いが、CPUがAtomでなくても良いという場合は1万円安く買えるのでオススメだ。低価格モバイルノートの中でも49,800円は安い方でありながら十分実用的な性能を備えている。 (H.Intel)
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