流行の低価格モバイルノート 20機種を比較する (2008年9月29日著・10月11日追記)
【SC3KP06A/SC3WP06A】 工人舎といえばASUSがEee PCを出す前から、低価格なモバイルノートを出荷していたメーカーだ(Eee PCほど低価格ではなかったが)。その工人舎の製品がSC3KP06AとSC3WP06Aである。2機種はボディカラーの違いだけで、SC3KP06Aはブラック、SC3WP06Aはホワイトとなる。価格は89,800円とEee PC 901-Xより3万円高い。 この機種の特徴は、小型・軽量であることだ。189×155mmで798gと、Eee PCと比べて、一目で小ささがわかる。ちょっとかばんに入れて持ち運ぶといった事ができそうだ。ただしバッテリ駆動時間は3.2時間と少なめで、せっかく軽くても、電源の取れないところで長時間使用することはできないのは残念だ。また小型ということでキーボードも14.2mmキーピッチとなっており、長時間の入力は難しい。液晶も7インチと小さいが、解像度は1024×600ドットあるため、一覧性は悪くない。 そのほかを見てみよう。CPUはAtomのZ520(1.33GHz)を採用する。小型であるため、ほとんどの機種で採用されているN270ではなくより小型で低消費電力のZシリーズを採用する。ただしコストとの兼ね合いか、N270より低い1.33GHzになるため、他のAtom搭載機より若干処理速度は劣る。といっても十分高性能だ。メモリも1GB搭載しているが、OSがWindows Vista Home Premiumなので1GBではぎりぎりである。メモリはメモリスロットに取り付けられているので交換は可能に感じるが、最大1GBとなっているのも気になるところだ。一般のハードディスクを搭載しているため、容量は60GBあり安心だ。液晶ディスプレイは先ほど書いた7インチ1024×600ドットだが、180度回転させて裏返す事でタブレットPC的に使用できる。液晶がタッチパネルとなっているので便利である。 有線LAN(100BASE-T)と無線LAN(IEEE802.11b/g)も搭載され、USBは本体も小型なので2基と少ないが、ディスプレイ出力も装備する。SD/MS両対応スロットもある。そして驚きなのがExpress Card/34のスロットを搭載することだ。拡張性はかなり高く、通信カードなどを挿せるので便利だ。また、他機種にない機能としてワンセグチューナが内蔵されていることがある。小型・軽量なので持ち運んでテレビを見るということも十分にありえるはずだ。もちろんWebカメラも内蔵している。 このように、CPUや画面サイズ、キーボードに若干の影響が出ているが、小型・軽量で形態性は高い。機能面・拡張性でも充実しており、Eee PC 901-Xとの価格差の価値は十分にあるといえる。あとは小型を求めるがどうかである。なおもう1万円高いSC3KP06GA/SC3WP06GAならBluetoothに加え、GPS機能が内蔵されているというおもしろい機種だ。こちらも合わせて検討してみてはいかがだろうか。 【SA5KL08A】 工人舎で最も低価格の機種である。性能面では劣り使い勝手は勝るおもしろい機種である。まずCPUは珍しくAMDのGeode-LX800を採用する。LX800というモデルナンバーであるが、動作クロックは500MHzである。「800」というのはVIAのC7の前世代C3の800MHz相当と言うことである。そのことからも性能はかなり低い事が判るだろう。実際、動画の再生などはかなり難しい。一方でCPU部分にノースブリッジとグラフィック機能が統合されていながらTDPは平均1.6W、最大2.4Wと低く、低価格であるためこういったパソコンには向いている。このCPUに内蔵されたグラフィック機能も性能は高いとは言えない。ただしオフィスアプリケーションならそれほど問題ないと言える。 ハードディスクは80GBと多くはないが十分な容量だろう。液晶ディスプレイは初代Eee PC対抗として発売されただけあり、7インチ800×480ドットと解像度が低めなのは少々使い勝手が悪い。一方画面を180度回転させ、裏返しにして閉じることで手で持って使いやすくなる。キーボードの手前にあるタッチパットの他にディスプレイの左にスティックポイント、右に左右クリックボタンが配置されているので、このスタイルでも操作可能だ。WebカメラやBluetoothなどの付加機能はないが無線/有線LANやUSB、ディスプレイ出力などはしっかり搭載されている。またSD/MS共用スロットの他、CFスロットがあるため、通信カードなどに対応しやすい。SC3KP06A/SC3WP06Aほどは小さくないものの、218m×163×25.4mmで945gと軽量であるため持ち運びしやすい。また、バッテリ駆動時間も5時間と比較的長めなのも特徴だ。 Geode-LX800の採用や画面解像度など性能面では低めだが、裏返せる液晶やスティックポイントなど、使い勝手は良いといえる。この使い勝手が気に入るのなら、低価格である事もあり、オススメと言える。 【HP 2133 Mini-Note PCスタンダードモデル】 HP 2133 Mini-Note PCは2モデルがラインナップされているが、まずはスタンダードモデルから見てみよう。この機種は他機種より強いところと弱いところが混在している。まずCPUはVIA C7-M ULVの1.2GHz。クロックあたりの性能もAtomより低い上に動作クロックもAtomで一般的な1.6GHzより低いため、性能は高いとはいえない。公式ページにも「DVDや一部の動画はコマ落ちが発生する可能性がある」と書かれている。といってもビジネスアプリケーションなら問題ないレベルだし、動画もある程度は再生できると思われる。 メモリは1GBを搭載している。Windows VistaがHome Basicであることを考えると問題ないレベルだろう。いざとなれば2GBまで増設できる。ハードディスクは120GBと低価格モバイルノートにしては大容量だ。ディスプレイもこの機種の強いところで、8.9インチで1280×768ドットと一般的なノートパソコンと同等の解像度を実現している。そのため一覧性は非常に高い。一方、ワンセグ、Webカメラ、Bluetoothなど他の低価格もバイルノートでは一部の機種しか搭載していない機能はすっぱり割り切ってしまっている。USBも2基であり、無線LANも最低限のIEEE802.11b/g対応だ。SDカードスロットは搭載するがMSには対応しない。一方で有線LANは1000BASE-Tまで対応しており、またExpressCardスロットを搭載しているのも特筆すべき点だ。しかも小型の機種でありながら大きいほうのExpressCard/54まで対応したスロットである。拡張性は高い。キーボードも特徴的で、キー印字のはがれ・かすれに強いHP DuraKeysとなっている。またサイズも17.5mmと大きめでありデフォルメもほぼないため、タイピングしやすいと言える。 本体サイズは比較的大きめで、重量も1.27kgと大きめだ。バッテリ駆動時間も2.3時間と、今回紹介する中では最も短い。つまり携帯性はそれほど重視されていないと言うことであり、その辺りはどう考えるかが購入するかどうかの鍵となるだろう。 HPという有名なメーカーの機種であり、ディスプレイや拡張性、キーボードなど優れている点が多々ある。携帯性よりもこれらを重視するという人には最適の一台だろう。 【HP 2133 Mini-Note PCハイパフォーマンスモデル】 HP 2133 Mini-Note PCの上位モデルである。基本的にはスタンダードモデルと同じ本体やディスプレイを採用しているが、可能な限りで性能アップが図られている。CPUは同じVIA C7-M ULVながら1.6GHzと動作クロックが高いものになっている。しかし同クロックのAtomと比べると50〜60%の性能であるため、マルチメディア系の処理は少々荷が重い。メモリも最大の2GBに、ハードディスクも160GBと低価格モバイルノートとしてはかなり大きい。ディスプレイは8.9型で1280×768ドットと大型ノートパソコンとほぼ同等の解像度となっており、使い勝手は高い。Gigabitの有線LANに加え、スタンダードモデルと異なり、無線LANはIEEE802.11a/b/gに対応し、WebカメラとBluetoothも搭載している。またSDカードスロットの他、ExpressCard/54スロットがある点が驚きである。拡張性はかなり高いと言える。キーボードは17.5mmと比較的大きく、デフォルメも少ない。キー印字のはがれ・かすれに強いHP DuraKeysでもある。 おもしろいのはOSで、Windows VistaのBusinessを採用しているのである。スタンダードモデルが採用するHome Basicより機能が豊富であるのはもちろんだが、Businessの特徴としてWindows XP Professionalでダウングレードが出来ることが挙げられる。VistaとXPの好きな方が使えるというわけだ。 バッテリ駆動時間は短く、本体サイズも多機種より大きめなので携帯性では他の機種に劣る。しかしCPU以外の性能は他の機種を大きく越えるものである。少し高くても性能を求めるなら、HPというメーカーの安心感も相まってオススメと言える。 (H.Intel)
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