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2009年4月時点のプリンタ 〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜 (2009年5月1日著)
1万円台中盤の機種は比較的購入しやすい価格にありながら十分な性能を備えている機種である。エプソンはPM-A840SとPX-501A、キャノンはPIXUS MP540の計3機種となる。価格はPM-A840Sだけ1000円安いが、店舗によっては逆転していることもあり、ほぼ差はないと言える。ではこの3機種はどのような違いがあるのだろうか。また上位機種とはどのような違いがあるのだろうか。
まずこの3機種のコンセプトの違いを見てみよう。PM-A840は6色の染料インクを用い、写真印刷に特化したモデルである一方、同じエプソンでもPX-501Aは顔料インクを用い普通紙印刷に向いたモデルである。そして、キャノンのPIXUS MP540はその中間とも呼べる機種である。エプソンのPM-A840Sは品番からも分かるように、去年のモデルPM-A840のマイナーチェンジモデルである。デザインや基本スペックはほとんど変わらず、天板がドットプリントになったことと、上位機種と同じく、写真補正の「オートフォトファイン!EX」の補正制度がアップしている。PX-501Aはこの機種から液晶や操作パネルが上面左側に並んでいる下位モデルのデザインに切り替わる。画質や印刷速度などのスペックはPM-A840より劣るが、顔料インクとして利点とコンパクトさが売りとなる。一方のPIXUS MP540も、この機種を境に操作パネルが本体右側に配置され、若干コンパクトな下位モデルのデザインとなる。その一方で基本スペックはPIXUS MP620から有線/無線LAN接続機能を省き、液晶モニタを小型化した以外は同等となっている。 まずはプリント部から見てみよう。PM-A840Sは6色インクで1.5plのインク滴と5760×1440dpiの解像度であり、5サイズのインク滴を打ち分けるAdvanced-MSDTにも対応しているため画質は非常に高い。これは最上位機種と同等の画質を備えている事になるが、印刷速度はL判縁なしで22秒と若干遅くなっている。インクは染料インクとなっているために、写真用紙への印刷も問題ないが、普通紙や年賀状への印刷はメリハリが弱く耐水性もない。続いてPIXUS MP540は顔料ブラックを含む5色構成で写真印刷時は4色となる。インク滴は1pl、解像度が9600×2400dpiとなっている。ライトインクを搭載しない分、若干ながらPM-A840Sより劣るが、インク滴が十分に小さいので、目をこらしてみなければ違いは分からない程度である。またブラックインクは染料インクに加えて顔料インクが搭載されているため、普通紙へのモノクロ印刷はメリハリのある印刷が行える。最後にPX-501Aだが、解像度こそ5760×1440dpiと同等だが、インク滴は3plになり、Advanced-MSDTではなく3サイズのインク滴を打ち分けるMSDTとなっている。さらに、インクも4色構成となるなど、画質面ではかなり劣る。とは言ってもPX-501Aも十分に写真高画質と言えるレベルである。この機種の特徴は全色顔料インクである事だ。そのため、普通紙や年賀状などにはモノクロ、カラー問わずにメリハリのある印刷が行える。普通紙へのコピーなどの画質も高いだけでなく、耐水性が高いので水に濡れたり、マーカーを引いたりしても安心だ。ただし、写真用紙への印刷では光沢感が失われ、ポストカードのようになる点が注意が必要である。 一方、印刷速度に関しては、PM-A840SがL判1枚22秒、PX-501Aが69秒、PIXUS MP540が35秒なので、印刷速度は結構な差がある。印刷枚数が多い人は気になる所だろう。また写真の耐保存性は、PM-A840Sは「つよインク200」でアルバム保存200年、耐光性50年、PX-501Aが「つよインク200X」でアルバム保存200年、耐光性45年、PIXUS MP540が「ChromaLife100+」で「キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド」を使用することにより、アルバム保存300年、耐光性40年を実現している(ただし、その他の用紙ではアルバム保存100年となる)など保存性は高い。 写真補正機能は全機種が備えるため、自動でもかなり綺麗に印刷できる。PIXUS MP540は前面給紙と背面給紙の両対応、PM-A840SとPX-501Aは背面給紙のみの対応となり、PIXUS MP540の方が前面にA4普通紙、背面に写真用紙というように両方セットでき便利だ。ただし前面給紙は去年までの機種とは異なり普通紙のみの対応となる。対応用紙はPM-A840SとPXIUS MP540は名刺サイズからA4までだが、PX-501AはL判サイズ以上になり、名刺・カードサイズには対応しない点は注意が必要である。また、CD/DVDレーベル印刷機能を備えるのはPM-A840Sのみとなるため、この機種のメリットと言える。ただし、上位機種とは異なりトレイにディスクを乗せて挿し込む従来方式である。 スキャナはPM-A840SとPX-501Aが1200dpi、PIXUS MP540が2400dpiとなっている。PIXUS MP540が若干有利と言えるが、紙原稿は1200dpiでも十分な解像度であるため、実質どの機種でも問題ないと言える。また全機種ともCIS方式なので、分厚い本のとじ目のように浮いてしまう原稿は苦手である。スキャンしたデータをメモリカードに保存する機能も全機種が備えている。 ダイレクト印刷機能を見てみよう。SDカード、メモリースティック、コンパクトフラッシュは全機種とも対応している。一方、xDピクチャーカードはPIXUS MP540は直接は対応していないので、対応のデジカメを持っている場合は注意が必要だ。また全機種ともPictBridgeにも対応している。手書き合成はPM-A840SとPIXUS MP540が行える。また、PM-A840Sはそれ以外にも豊富な機能を備えている。メモリカードのデータをUSBメモリや外付けドライブに保存したり、逆にこれらから印刷することが可能だ。また赤外線通信機能も備えている。 続いてコピー機能を見てみよう。全機種とも25%〜400%の間で1%刻みで拡大・縮小印刷が行える。また、写真を複数枚置いて、焼き増し風コピーを行うことも出来る。その際色あせしてしまった古い写真の復元も行える。さらにCD/DVDレーベル印刷が行えるPM-A840Sは、レーベルコピーも行える。その他、PM-A840SはA4用紙16枚に拡大印刷する「ポスター16」機能、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー機能」、原稿の一部だけを拡大印刷する機能などを備える。一方のPX-501Aにはこれらの機能は搭載されていない。PIXUS MP540は原稿の一部だけを拡大印刷する「トリミングコピー」機能や任意の箇所を消してコピーする「マスキングコピー」、厚手の原稿など原稿台のカバーが浮いてしまう場合に黒くなる部分を消去する「枠消しコピー」機能を備える。また、コピー時の機能ではないが、PIXUS MP540単体でレポート用紙や方眼紙、チェックリスト、五線譜、写真入りの各種カレンダー、13種類のサイズから選べる証明写真を印刷する機能も備えている。一方、PM-A840Sは昨年の機種のマイナーチェンジなので、上位機種の備える、輪郭だけを印刷する「塗り絵印刷」や罫線やマス目・背景写真を印刷できる「ノート罫線印刷」機能は備えていない点は注意が必要だ。 操作パネルを見てみよう。PM-A840Sは本体の上面の前方に配置される。液晶ディスプレイは2.5型とPIXUS MP540より大きいが、固定式で角度調整が出来ないのは不便だ。操作ボタンは左から右へ順に進んでいくことで一連の操作ができるようなレイアウトとなっており比較的使いやすい。PX-501Aは本体上面の左側に配置される。液晶ディスプレイはPM-A840Sと同じ2.5型で角度調整も可能であるなど最も使いやすい。操作ボタンは液晶パネルの前面に配置される。PIXUS MP540はPX-501Aと反対の本体上面の右側に配置される。液晶ディスプレイ部がフタになっており、開けることで操作ボタンが現れる。液晶ディスプレイは2.0型と少し小さめだが、角度調整は可能だ。操作ボタンは上位機種と同じ「イージースクロールホイール」を備え、操作性は良好である。実際にどの機種が使いやすいか店頭で試して頂きたい。 接続端子はどの機種もUSB 2.0となる。本体サイズはPIXUS MP540が上位機種より高さが抑えられており、PX-501Aもコンパクトが売りの上位機種EP-801Aより高さはあるが奥行きが抑えられるなど、両機種ともコンパクトになっているのに対し、PM-A840Sは去年の機種と同デザインなので、上位機種のようにコンパクトになっていない。結果、横幅こそ3機種とも同じであるものの、PX-501AはPIXUS MP540と比べて奥行きは24mm小さく、高さは35mm大きいとほぼ近い大きさなのに対して、PM-A840Sは奥行きが47mm、高さが48mm大きくなっており見た目にもかなり大きさが違う。設置スペースが限られる人は注意が必要だ。 この3機種を見ると、PM-A840Sが機能面で最も優れていると言える。印刷画質は最上位機種と同じで、印刷も速く、レーベル印刷や赤外線通信も行える。価格を考えれば十分すぎる性能であり、オススメだ。ただし本体サイズが大きいのが難点だ。そのため逆に本体サイズを優先すればPIXUS MP540がオススメだ。レーベル印刷は不要であれば4色印刷とはいえ充分綺麗だし、顔料ブラックインクのメリットもあり基本機能は充分備えている。 一方、顔料インクの普通紙印刷画質の高さと耐水性が気に入ったのであれば、全色顔料インクのPX-501Aがオススメである。 写真印刷、普通紙印刷、本体のコンパクトさのどれを優先するかが選択のポイントとなるだろう。またコンパクトさと印刷画質・速度や機能を両立させるなら7500円足して上位機種のEP-801Aという手もある。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/
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