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2009年4月時点のプリンタ 〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜 (2009年5月1日著)
エプソンとキャノンからそれぞれ2機種ずつラインナップされているFAX機能付き複合機の内、上位機種の2機種を比較する。エプソンのEP-901Fは40,000円、キャノンのPIXUS MX7600は53,000円と1万3000円の違いがあるがどのような差があるのだろうか。
これらの2機種の概要から説明しよう。EP-901Fは品番からも分かるように、複合機の最上位機種EP-901Aにファックス機能を付けた機種である。FAX機能以外にEP-901Aと変わらない。一方、PIXUS MX7600は基本となる複合機は無い。キャノンの個人向け機種で唯一全色顔料インクを採用している事からも分かる。また、CD/DVDレーベル印刷や手書き合成、写真焼き増し風プリントなどが出来ない点から見てもビジネス用途に特化していると考えられる。 まずはプリント部から見てみよう。EP-901Fは6色インクで1.5plのインク滴、5760×1440dpiの解像度という最高レベルの性能であるため、非常に綺麗な写真印刷が行える。L判写真一枚が14秒と非常に高速なのも特徴だ。また、オートフォトファインEXにより逆光や色かぶりした写真も自動的に補正してくれる。インクは全色染料インクで、つよインク200となっているためアルバム保存200年、耐光性50年と保存性も高い。 一方のPIXUS MX7600は5色の顔料インクに加えクリアインクを搭載する。普通紙の場合このクリアインクの上に顔料インクを乗せる事で、インクが用紙の表面部分に定着し、高発色で高精鋭な画質が得られるという。またインク自体も顔料インクなので、耐水性が高いという特徴もある。画質はブラックが2種類であるため実質4色印刷であること、インク滴が2plで解像度も4800×1200dpiとなるためEP-901Fと比べると若干劣る。ただしこのレベルなら充分綺麗な印刷が行える。印刷はL判写真1枚が22秒とEP-901Fほどではないものの比較的高速だ。顔料インクの「LUCIA」は耐光性100年となっており、アルバム保存時だけでなく写真立てなどで飾る場合も色あせを防げる。EP-901Fと同じく逆光や色かぶりした写真も自動的に補正する「自動写真補正」機能を搭載する。 給紙方法も2機種で異なる。EP-901Fはコンパクトさとデザイン性を重視し、背面給紙を切り捨て前面給紙のみとなっている。背面給紙は無いが、前面は2段トレイとなっており、A4用紙とL判用紙が同時にセットできるため便利である。ただし、前面から給紙して前面から排紙するためどうしても用紙が曲がってしまうため、分厚い紙やシール用紙などへの対応が気になるところだ。また、名刺サイズなどL判より小さな用紙にも対応しなくなったのは残念である。一方のPIXUS MX7600は前面と背面の両方から給紙できる。ただし、前面は普通紙のみとなっているため、前面にA4普通紙、背面に写真用紙と行った使い方が一般的となるだろう。 CD/DVDレーベル印刷機能はEP-901Fのみ対応する。EP-901Fは従来より改良され、トレイが内蔵されたため、「CD/DVDトレイ」ボタンを押して、出てきたトレイにディスクを乗せるだけとより簡単になった。一方、自動両面印刷機能はPIXUS MX7600は標準搭載、EP-901Fはオプション扱いとなっている。 スキャナは両機種とも4800dpiの解像度となっており、CIS方式というのも同等である。CIS方式であるため分厚い本のとじ目など、浮いてしまう原稿は苦手と言える。またネガフィルムのスキャンにも対応しないため、4800dpiという解像度はオーバースペックとも言える。さらに、EP-901Fはスキャン結果をメモリカードに保存する機能も備える。また、両機種ともADFを搭載しているのも特徴と言え、EP-901Fは連続30枚、PIXUS MX7600は連続35枚の読み取りが可能だ。また、PIXUS MX7600は両面読み取りに対応しているため、雑誌やカタログなど両面原稿を連続で読み取る際にも便利だ。ただし、ADF使用時は解像度が最大600dpiに制限されることと、FAX送信時には両面読み取りが行えない点は注意が必要だ。 続いてダイレクト印刷部を見てみよう。両機種ともメモリカードからの印刷とPictBridgeに対応している上に、EP-901Fは赤外線通信による印刷にも対応している。ちなみにメモリカードはSDカードとメモリースティック、コンパクトフラッシュは両機種とも対応しているが、xDピクチャーカードはEP-901Fしか対応していないため対応デジカメを持っている人は注意が必要だ。さらにEP-901Fは様々な機能を備えている。例えば、メモリカードのデータをUSBメモリや外付けドライブに保存したり、逆にそれらから印刷することが出来る。さらに、動画から1コマまたは12コマを印刷できる機能も備えており便利である。そして、写真に手書きした文字や絵を合成する「手書き合成シート」にも対応している。地デジ対応テレビと接続して、データ放送の詳しい情報をプリントする事も出来る他、メモリカードからダイレクト印刷する際にテレビに映すこともできる。 コピー部を見てみよう。両機種とも25〜400%の間での拡大縮小コピーが行え基本機能に問題はない。また、PIXUS MX7600は両面スキャンと自動両面印刷が出来るため、両面原稿から両面コピーが連続して行えるのは非常に便利である(EP-901Fも片面原稿なら連続コピーできるが)。一方、CD/DVDレーベル印刷が行えるEP-901Fはレーベルコピーも行える。また、EP-901Fは写真を複数枚原稿面に置いて、その他のコピー機能として、PIXUS MX7600は絵はがき風に自動的にレイアウトしてコピーする「絵はがき風コピー」機能や、厚手の原稿など原稿台のカバーが浮いてしまう場合に黒くなる部分を消去する「枠消しコピー」機能を備える。一方のEP-901Fは更に豊富な機能を持ち、EP-901Aは輪郭だけを印刷する「塗り絵印刷」やA4用紙16枚に拡大印刷する「ポスター16」機能、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー機能」、原稿の一部だけを拡大印刷する機能などを備える。また、コピー時の機能ではないが、EP-901F単体で、罫線やマス目・背景写真入り便箋を印刷できる「ノート罫線印刷」機能も利用できる。 では特徴の1つのFAX機能を見てみよう。両機種ともスーパーG3規格に対応したカラーFAX機能を備えている。その際、ADFを備えていることが便利であり、複数枚の原稿を自動で送信できるというわけだ。ただし、PIXUS MX7600の両面スキャンはFAX時には使用できないため、両機種とも片面スキャンしか行えない。EP-901Fは短縮ダイヤルが60件、自動リダイヤル、同内容を複数の宛先に送信する「順次同報送信」など、一通りの機能も備える。一方のPIXUS MX7600はワンタッチダイヤル8件と短縮ダイヤル100件、自動リダイヤル、同報送信など、こちらも一通りの機能を備える上に、PCのデータをそのままFAX送信する「PCファックス」にも対応している(白黒で1宛先のみ)。 操作パネルは両機種で大きく異なる。EP-901Fの操作パネルは本体前面に取り付けられ、操作パネル全体を持ち上げて角度調整が出来る。液晶ディスプレイ自体も3.5インチと大きめだが、さらに液晶ディスプレイを含む7.8インチ分がタッチパネルとなっている。液晶ディスプレイ部は操作に併せて表示内容が変わり、直感的に操作が行える。それ以外の所は表示内容は固定だが、利用できるボタンだけバックライトが光るため、使えるキーだけが目に入り分かりやすい。動作は軽快で、説明書を見なくても操作できそうな印象だ。そして、実はこのタッチパネル液晶のおかげで、ダイヤルボタンや短縮ダイヤルはタッチパネル画面に表示することで操作できるため、操作パネルはFAX機能の無いEP-901Aと同じものとなっている。ボタン数が増えることがない点も分かりやすい。一方のPIXUS MX7600は従来の操作パネル形式となる。つまり、本体の前面に操作パネルがあり液晶ディスプレイだけ角度調整が出来るという形式だ。液晶ディスプレイは1.8インチと小さいため操作はしづらい。その上、「イージースクロールホイール」などは備えず、全てボタンでの操作となる上に、FAX機能無しの複合機と比べて、FAX用のテンキーや各種キーが増えるのでボタン数が多く、どうしても分かりにくくなる。操作面ではEP-901Fが優れていると言える。 接続端子は両機種ともUSB2.0とLANの両接続に対応している。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルータで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。そんな場合にルータにプリンタを接続すれば、どのパソコンからもプリントやスキャンができるためLAN接続が出来るのは非常に便利だ。ただし両者にも違いがあり、EP-901Fは無線LANと有線LANの両方に対応しているが、PIXUS MX7600は有線LANにしか対応していない。無線LANはAOSSに対応しているため、対応の無線LANルータを持っている場合はワンタッチで設定が完了する。 本体サイズは両機種で大きく異なる。PIXUS MX7600の方が横幅が34mm、高さが59mm、奥行きに至っては150mmも大きい。見た目にもPIXUS MX7600は大きいという印象だが、EP-901Fはコンパクトに見える。その上、EP-901Fは昨年からデザインが一新され、リビングにも合うように周辺機器らしさを出来る限り消している。一般家庭にはEP-901Fの方が置きやすそうだ。 これをみると、2機種は性格が異なる事が判る。家庭用の複合機にFAX機能を追加したEP-901Fと、家庭向けの機能を省き、両面スキャンや顔料インクなどビジネス向けの機能を追加したPIXUS MX7600である。写真や年賀状、CD/DVDレーベルなどの印刷を目的で複合機を購入するが、FAXが付いていればより便利だなというイメージならEP-901Fがオススメだ。高速で綺麗な印刷や機能の豊富さに加えて、コンパクトであるため、EP-901Fの方が一般向けと言えるのだ。一方、顔料インクや両面スキャン、PCファックスに魅力を感じたならPIXUS MX7600も悪くない選択肢だ。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/
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