2014年春時点のプリンタ 〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜 (2014年5月8日公開/6月13日追記)
2013年8月末、キャノンとエプソンから相次いで2013年末モデルのプリンタが多数発表された。さらに、2014年2月13日にキャノンから、2014年3月6日以降にエプソンから追加の新製品も発表された。そこで、2014年春時点での新機種の全体的な傾向、そして両メーカーの傾向を検証した上で、複合機、FAX機能付き複合機、単機能プリンタ、コンパクトプリンタの4種類を価格帯別に比較していく。各比較は、独立したページとして用意してあるので、下記のリンクから飛んで頂きたい。
ここ数年間同じ事を書いているが、今年もエプソン、キャノン共に複合機の最上位機種の画質に変化はない。エプソンが6色構成で最小インクドロップサイズ1.5plのAdvanced MSDTで解像度が5760×1440dpi、キャノンも6色構成で最小インクドロップサイズ1plで解像度が9600×2400dpiとなっているのは去年までの機種と同じである。画質面で十分すぎるほど綺麗な域に入っているため、これ以上画質を向上させる意味が無いためと思われる。インク自体も2012年末のモデルでエプソン、キャノン共に新しくなっているため、2013年末のモデルでは変更はない。スキャナやダイレクト印刷、コピー、FAXの機種に関しても大きな変更点がない。大きく変わったのは、2014年春に発表された機種だ。エプソンはビジネスモデルである、顔料インクを採用するFAX付き複合機やA3、A4単機能プリンタが一新され、元々得意たっだ普通紙印刷時の画質をさらに高めている。一方キャノンは、A3単機能プリンタに新機種が登場したが、これまで無かった6色インクの機種が追加されている。 本体に関しても複合機は引き続きコンパクトな方向に向かっている。とはいえ、こちらも2012年末のモデルでエプソン、キャノン共に小型化しているため、2013年末も同じ本体が使用されている。一部、小型化されずに残っていた機種が小型化された程度である。 一方、スマートフォンやインターネットとの連携は強化、機種の拡充が行われている。エプソンは、無線LANルータなどを介さずに直接Wi-Fi機器同士が接続できる「Wi-Fi Direcrt」対応モデルが広がり、液晶ディスプレイ付き複合機は全機種が対応となったほか、単機能プリンタも、ビジネス向けの新機種に関してはモノクロ液晶を搭載することで「Wi-Fi Direct」に対応した。また、スマートフォン向けのアプリも機能強化がされている。従来から写真だけでなくWebページや各種ドキュメントの印刷とスキャンが行えた「Epson iPrint」は、新たにメモリカードへのアクセス機能とコピー機能を利用できるようになった。さらに「Epson Creative Print」を利用することで、Facebookの写真をコメントやURL、QRコード付きで印刷できる他、CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷、手書き合成シート印刷、フォーム印刷、塗り絵印刷が行えるようになった。クラウドサービスからの印刷にも従来通り対応しているが、Box、Dropbox、Evernote、Google Driveに加え、新たにSkyDriveに対応している。一方のキャノンは 従来は「Canon Easy-PhotoPrint」というアプリを利用していたが、写真と同ソフトで作成したPDFの印刷と、スキャンしか行えなかったが、「PIXUS Print」に変更され機能が大幅に強化されている。写真やPDFに加え、WEBページやオフィス文書の印刷も行えるようになった。クラウドとの連携も強化され、「新PIXUSクラウドリンク」を使うことで、FacebookやTwitterなどのSNSの写真とコメント、Evernote、Dropboxなどストレージサービスの写真や文書、Picasaなどの写真共有サイトの写真が印刷できるようになった。またエプソンとは異なり、スマートフォンを利用してのプリントだけでなく、プリンタ単体でもクラウド連携が行えるのが大きく異なる点だ。 2013年末の新機種は両メーカーとも複合機を中心となり、2014年春にそれ以外の機種の内、いくつかが新機種となっている。そして、昨年まで同様、機種数には大きな違いがある。エプソンはFAX機能無し複合機が8機種から9機種に増えている。新製品は6機種で大半が新機種へ移行している。内訳は染料インク機が5機種、顔料インク機が4機種だが、顔料インクの機種を中心に一部ラインナップの整理が行われている。また去年の最上位機種に当たるEP-905Aは継続販売となり、そのさらに上にA3手差しプリントに対応したEP-976A3が追加されている。本体カラーはEP-806AのみカラーバリエーションがありEP-805Aと同じ3色から選べるが、EP-775Aでは2色から選べた本体カラーはEP-776Aでは1色になっている。また2012年末モデルでは染料インクの上位モデルが黒、顔料インクの下位モデルが白の本体カラーだったが、2013年末モデルでは、継続販売のEP-905AとカラーバリエーションのあるEP-806Aをのぞき、白色となっている。 一方、FAX機能付き複合機は7機種のままだが、A3対応機が2機種、A4対応染料インク機が1機種、A4対応顔料インク機が4機種となる。2013年末に染料インクの1機種が新機種に移行し、2014年春にはA3対応機の2機種と、A4対応顔料インク機の内2機種が新製品になった。FAX無し複合機のEP-905Aは継続販売だが、この機種にFAX機能を追加したEP-905Fは新機種のEP-906Fへと移行している。FAX機能無し複合機同様、本体カラーは白になっている。A4単機能も4機種のままだが、久々に染料インクの機種が新機種となり、大幅な機能アップが図られている。こちらも本体カラーは白に変更されている。また2014年春には顔料インクを採用する中位機種も新機種へ移行している。A3単機能機は5機種のままで、下位から2番目の機種のみ2014年春に新機種になり、それ以外4機種が継続販売となる。コンパクトプリンタは従来通り2機種構成で、両機種とも新機種だが、細かな変更点のみとなっている。 キャノンはFAX機能無しの複合機は4機種のままだが、全機種が新機種へと移行している。また、従来はPIXUS MG6000番台、5000番台、4000番台、3000番台の4機種だったが、今回は4000番台が無くなり、代わりに7000番台が追加されている。結果、4色インク構成でカラー一体型インクタンク搭載の機種が2機種から1機種へと減少し、6色インクの機種が2機種へと増加している。ただし、実質的にはPIXUS MG7130が、去年のPIXUS MG6330の機能を引き継いでおり、PIXUS MG6530とMG5530は、去年の同番台の機種であるPIXUS MG6330とMG5430より性能が落とされている所もある。カラーバリエションは最上位機種に4色用意される。PIXUS MG6330の5色からは減ったが、PIXUS MG6330では白を除いて黒がベースの天板の前方と側面の下部に向けてグラデーションのように色が変わっているだけだったが、PIXUS MG7130では本体全てがその色となり、カラーバリエーションがはっきりしている。またPIXUS MG5330とPIXUS MG3530も黒と白の2色から選べるようになった。FAX付き複合機は2機種で、2機種とも2013年春に新機種へと移行しており、今回は継続販売となる。上位のPIXUS MX923では前面給紙のみとなり、側面下部が茶色にグラデーションをするなど、2012年末のFAX無し複合機の変更点に合わせた変更がなされている。また両機種ともカードスロットが無くなり、メモリカードからのダイレクト印刷が行えなくなっている。これまで、A4単機能機はPIXUS iPシリーズの2機種、A3単機能機はPIXUS PROシリーズが3機種、PIXUS iXシリーズが2機種で、コンパクト機は1機種という構成だったが、2014年春に新機種が2機種発売され、そのうち1機種はA3単機能機ながら初めてPIXUS iPを名乗っている。結果、A4単機能機はPIXUS iPシリーズの2機種、A3単機能機はPIXUS PROシリーズが3機種、PIXUS iPシリーズが1機種、PIXUS iXシリーズが1機種、コンパクト機は1機種という構成になった。A3単機能機2機種以外は、継続販売となる。 このように全体で見ると大きな変更点はないものの、機種が追加されたり、ラインナップの整理が行われたり、カラーバリエーションの変更が行われたりと、昨年の動向に合わせて細かな修正が行われた印象である。それではメーカー別にもう少し詳しく見ていこう。
それでは、最新のエプソンのラインナップは、ちょうど1年前となる2012年末と比べてどのようになっているか見てみよう。
今回のラインナップは、2013年末の時点では従来と変わらない型番の付け方だったが、2014年春の時点で発売された機種から変わっている。顔料インクの機種がPXから始まる型番であることは変わらないが、その後の数字の前に複合機はM、単機能機はSが付くようになった。数字はA3ノビ対応なら4桁、A4対応なら3桁となっている。2014年春はビジネスモデルだけ新製品が発売されたため、この型番の法則は、ビジネスモデルだけのものなのか、今後カラリオシリーズにも広がっていくかは不明だ。とりあえず、現段階では、ビジネスモデルでも継続販売の機種は従来の型番の法則、新機種は前述の法則に乗っ取っているため、複雑になっている。 まずFAXなし複合機を見てみよう。2012年末の最上位モデルであるEP-905Aは継続販売である。他機種も2013年末モデルで大きく変わっていないので、見劣りすることはないが、新モデルが備える排紙トレイの自動クローズに非対応(自動オープンは対応)で、黒インクが切れても一時的にカラーインクのみで印刷ができる機能も非搭載である他、プリンタ単体で行えるフォーム印刷機能はノート罫線印刷という名称で、罫線と便箋のみの対応となる。EP-806AはEP-805Aの後継製品だが、基本的な機能は変わっていない。印刷画質や速度、スキャン機能なども同等で、本体のカラーバリエーションも同じく3色である。EP-806Aでは排紙トレイの自動オープンに加えクローズに対応したほか、従来では顔料インクモデルのみ搭載していた黒インクが切れても一時的にカラーインクで印刷できる機能が搭載された。また、プリンタ単体で行えるノート罫線印刷機能はフォーム印刷機能となり、罫線と便箋に加えて、スケジュール帳、五線譜、メッセージカード、折り紙封筒に対応している。EP-776AもEP-775Aから大きな違いはない。印刷画質や速度、スキャン機能は同等である。ただしダイレクト印刷機能で、PictBridgeのWiFi方式に対応した他、EP-806Aの変更点と同じく、カラーインクだけの印刷機能やフォーム印刷機能を備えている。ただし、EP-775Aで排紙トレイの自動オープン機能が搭載されて いなかったため、EP-776Aでも自動開閉機能は搭載されていない。またEP-775AでもUSB接続に加え無線LAN接続にも対応していたが、新たにWi-Fiダイレクトに対応している。ただし、本体のカラーバリエーションが無くなり白だけとなっている。 一番変化の大きい機種がEP-706Aである。上位機種が前面給紙を中心としたコンパクトな新デザインへ移行しても、EP-705Aまでは従来のデザインを踏襲し続けていたが、EP-706Aでついに新デザインへ移行した。プリンタ面ではノズル数が従来の各色90ノズルから、上位モデルと同じ各色180ノズルへと増加し、L判写真縁なし印刷が22秒から19秒に高速化している。また、インクも上位モデルと同じ、新しい「つよインク200」となり、アルバム保存300年となった。給紙はEP-705Aの背面から前面へと変更された。トレイは1段で、前面給紙への変更に伴い、対応用紙サイズがEP-705Aではカードサイズ〜A4だったが、EP-706AではL判〜A4に変更された。また他の新機種同様、黒インクが切れても印刷できる機能を備えている。スキャナ部は同等である。ダイレクト印刷は、対応メモリカードがSD/MS/xD/CFと多かったのが、SDとMS Duoのみとなり、最近の規格のみの対応となった。またUSBメモリや外付けドライブへのバックアップやそれらからの印刷機能も省かれたほか、PictBridgeもUSB方式には非対応になりWiFi方式に対応した。EP-705Aではノート罫線印刷機能は搭載されていなかったが、EP-706Aではフォーム印刷機能を搭載した。ただしメッセージカードと折り紙封筒には非対応だ。USB接続に加え無線LAN接続機能も備えた。その関係で、スマートフォントの連携やリモート印刷、メールして印刷などのネットワークを利用した機能が搭載されている。操作性の面ではLEDナビからボタン式に戻され、液晶サイズも2.5型から1.44型へと小型化されている。液晶と操作パネルは斜めの状態で固定され、角度調整も不可となった。本体サイズは451×386×195mmから390×338×168と全体に小型化されている。 顔料インクの中で最上位のPX-504Aは継続販売となる。PX-436AはPX-435Aの後継モデルだが、基本的には同じスペックだ。PX-436Aより無線LANがWi-Fiダイレクトに対応している。また、プリンタ単体でフォーム印刷機能に対応した。ただし上位機機種と異なり、メッセージカードと折り紙封筒には非対応だ。PX-046AはPX-045Aの後継モデルではあるが、現在のところPX-045Aもカタログに掲載されているため上位機種の追加のような形だ。プリンタ性能に関しては同等だが、スキャナ解像度が600dpiから1200dpiにアップしたことと、無線LAN接続に対応したこと、それに伴い、スマートフォンからのプリント・スキャンに対応した。ただし、リモートプリントやメールしてプリント機能は搭載されていない。また、USBもPX-045AのUSB1.1からUSB2.0に変更されている。PX-045Aに関しては継続販売という形にはなっているものの、途中で製造終了になる可能性もある。 今回はさらにEP-976A3という機種が最上位に追加されているが、EP-905Aの上位と言うよりはEP-806Aの方向性の異なる上位機種というイメージだ。EP-905Aが(発売日の違いによる機能の違いはあるが)EP-806Aのスキャナ解像度を4800dpiにしてADFを付けたような製品なのに対して、EP-976A3はスキャナ解像度は4800dpiだがADFは付かない。代わりに、背面の手差し給紙によりA3用紙への印刷に対応している。基本的なデザインは同じで、A3用紙に合わせて横幅こそ大きくなっているが、奥行きと高さはEP-806Aから微増に抑えておりコンパクトだ。細かな違いとしては、スキャナ部の原稿カバーが2つ折れになっており、原稿をセットしやすくなっている。 FAX付き複合機の内、A3スキャンとA3ノビプリント対応の2機種はそれぞれPX-M5041FとPX-M5040Fに移行した。前機種のPX-1700FとPX-1600Fの関係と同じく、給紙トレイが2段のPX-M5041F、1段のPX-M5040Fとなる。これらの機種は新テクノロジー「PrecisionCore」を採用したヘッドを採用することで、普通紙印刷時の解像度が360dpiから600dpiにアップすると共に、カラーマッチングも新しくし、より色鮮やかになっている。新しいヘッドでは、最小インクドロップサイズは2plから2.8plと若干大きくなったが、普通紙への印刷画質を大きく上げているのが特徴だ。またノズル数を増やすことによって、印刷速度も向上しL判写真で60秒から45秒に、A4普通紙カラーが8.0ipmから10.0ipmに、A4普通紙モノクロが15.0ipmから18.0ipmになっている。給紙は基本的に同じだが、エプソンの他の新機種同様、背面からの手差し給紙に対応した。自動両面印刷も前機種はPX-1700Fのみ対応だったがPX-M5041FとPX-M5040Fの両機種とも対応、しかもPX-1700Fは普通紙のみで最大A4だったが、新機種では最大A3となり、ハガキにも対応した。スキャナに関しては解像度は変更無いものの、ADFがPX-1700FがA4両面、A3片面、PX-1600FがA3片面だったのが、新機種ではA3で両面スキャンが可能になった。またスキャンしてメモリカードに保存する機能で、JPEGとPDFに加えてTIFF方式も可能になっている。一方、メモリカードスロットに関してはSDカードとメモリースティックDuoのみの対応となった。コピー機能としては、細かい点だが初めて4アップ(4枚を1枚にコピー)に対応している。また、IDコピーや影消しコピー、パンチ穴消しコピー機能も搭載した。FAX機能はメモリが強化され、受信したFAXの保存できる件数が大幅に増えたほか、短縮ダイヤルも200件に増えた。またワンタッチダイヤルも10件搭載した。液晶画面は2.5インチから4.3インチに大型化しタッチパネルとなったことで、ボタン数も減り操作性が大幅に向上した。ただし、堅牢性重視で角度調整はできなくなった。また無線LANがWi-Fi Directにも対応した。サイズは若干大型化し、特に奥行きが大きくなっている。 A4対応FAX機能付きの最上位機種はEP-905FからEP-906Fの新機種へ移行した。FAX無し複合機はEP-905Aの継続販売だったのとは異なる。基本的にはEP-905AにFAX機能を追加した製品だが、新機種だけあって排紙トレイの自動開閉機能、黒インクが切れても一時的にカラーインクで印刷できる機能、フォーム印刷機能に新たに対応している。本体カラーも白に変更された。 A4対応の顔料インクの機種PX-675FとPX-605FはそれぞれPX-M741とPX-M740Fに移行した。給紙トレイが2段のPX-M741Fと1段のPX-M740Fと言う関係性は変わっていない。A3対応の機種と同じく「PrecisionCore」を採用したヘッドを採用することで、普通紙印刷時の解像度が360dpiから600dpiにアップすると共に、カラーマッチングも新しくし、より色鮮やかになっている。最小インクドロップサイズは2.8plと若干大きくなったが、普通紙への印刷画質を大きく上げている。またノズル数も増え、印刷速度も向上し、L判写真で56秒から41秒に、A4普通紙カラーが9.5ipmから10.0ipmに、A4普通紙モノクロが15.0ipmから19.0ipmになっている。細かい点変更点として、スキャンしてしてメモリカードに保存する機能で、JPEGとPDFに加えてTIFF方式も可能になっている点や、コピー機能として4アップ(4枚を1枚にコピー)に対応している点が上げられる。。また、IDコピーは前機種から搭載していたが、新たに影消しコピー、パンチ穴消しコピー機能も搭載した。FAX機能については、こちらはメモリの強化などは行われておらず、グループダイヤルの宛先が増えたくらいである。操作パネルに関しては、PX-675Fでは3.5インチタッチパネル液晶+LEDナビの、EP-906Fに近いものだったが、PX-F741Fでは3.5インチタッチパネル液晶+ボタン式になった。また従来はダイヤルキーなども液晶に表示していたが、独立したボタンとなった。PX-605Fは2.5インチ液晶+LEDナビだったが、PX-F740Fは2.7インチタッチパネル液晶+ボタン式になった。相変わらず2段トレイの機種と差が付けられているが、両機種ともタッチパネルとなり差は小さくなっている。無線LANがWi-Fi Directにも対応したのも変更点だ。一方、こちらは本体サイズは旧機種と同じとなっている。残る2機種PX-535FとPX-505Fは継続販売である。 A3ノビ対応のプリンタ単機能機は4機種は継続販売となる。唯一PX-1200がFAX付き複合機と同じような変更点のPX-S5040となっている。PX-S5040も、新しいノズルにより、普通紙への解像度と鮮やかさがアップしたほか、ノズル数も増えている。ただし、最小インクドロップサイズは2plから2.8plに大きくなっている。給紙は基本的に前面カセットで250枚ずつ2段という点は変わらないが、背面からの手差し給紙に新たに対応した。また、自動両面印刷機能もハガキに対応している。印刷速度はL判写真で60秒から45秒に、A4普通紙カラーが8.0ipmから10.0ipmに、A4普通紙モノクロが15.0ipmから18.0ipmに高速化している。その他、スマートフォントからのプリントに新たに対応し、写真やPDF、オフィス文書の他に、クラウドからのプリントやメールしてプリントなどにも対応している。また、新たにモノクロながら液晶ディスプレイを搭載し、インク残量やエラー内容が分かりやすくなった他、Wi-Fi Directの設定が可能になった。 一方A4対応のプリンタ単機能機は、長年継続販売されているPX-G930を除く最上位機種EP-302が4年ぶりにEP-306へと新しくなった。元々複合機のEP-700番台を基本とした機種であり、今回EP-706Aが大幅に変更されたのに従った変更がEP-306でも行われている。まずノズル数が従来の各色90ノズルから、上位モデルと同じ各色180ノズルへと増加し、L判写真縁なし印刷が22秒から14秒に高速化し複合機の最上位モデル並みとなった。また、インクも新しい「つよインク200」となり、アルバム保存300年となった。給紙はEP-302の背面から前面へと変更された。EP-706Aと異なり、EP-806Aなどと同じくトレイは2段で、上段に写真やハガキ、下段にA4やB5用紙という風に2種類の用紙がセットできるようになった。また、背面からの手差し給紙にも対応し、この場合0.6mmまでの厚紙にも対応する。自動両面印刷機能にも対応した。ただし、前面給紙への変更に伴い、対応用紙サイズがEP-302ではカードサイズ〜A4だったが、EP-306ではL判〜A4に変更された。また他の新機種同様、黒インクが切れても印刷できる機能を備えている。そのほかPictBridgeに新たに対応した。USB接続とWi-Fi接続の両対応となる。またEP-302ではパソコンとの接続はUSB接続だけだったが、新たに無線LANと有線LANにも対応した。それに伴い、スマートフォンからの印刷やメールしてプリント、リモートプリントに対応している。本体サイズは、前面給紙と背面手差し給紙の対応により奥行きは大きくなったが、横幅と高さは大幅に小型化している。 中位モデルのPX-205も2014年春に新機種PX-S740へと移行している。ファックス付き複合機PX-M740FやA3ノビ対応のPX-S5040などと同様の変更点となる。まず、新しいノズルにより、普通紙への解像度と鮮やかさがアップしたほか、ノズル数も増え印刷速度が向上、L判写真で56秒から41秒に、A4普通紙カラーが9.5ipmから10.0ipmに、A4普通紙モノクロが15.0ipmから19.0ipmとなった。ただし、最小インクドロップサイズは2plから2.8plに大きくなっている。その他、スマートフォントからのプリントに新たに対応し、写真やPDF、オフィス文書の他に、クラウドからのプリントやメールしてプリントなどにも対応している。また、新たにモノクロながら液晶ディスプレイを搭載し、インク残量やエラー内容が分かりやすくなった他、Wi-Fi Directの設定が可能になった。本体サイズは高さが微増しただけである。下位機種のPX-105は継続販売となる。 コンパクトプリンタは従来通り2機種構成だが、両機種とも新機種へ移行している。とはいえ、大幅な変更はなく、プリントだけでなく年賀状作成からデジタルフォトフレームの機能までを備えたE-840と、プリント機能だけのE-360となる。E-840はE-830の後継機種だが見た目は同等である。スマートフォントからの写真プリントや住所録転送はE-840ではBluetoothを利用して行っていたが、ペアリング操作が難しいという事から、E-840ではUSB接続に変更されている。これに伴いUSB接続のBluetoothユニットが付属しなくなっただけでなく、オプションでも非対応となっている。コンテンツ数は大きな変動はないものの、ディズニーキャラクターのコンテンツが20種類から40種類に倍増している。また内蔵メモリが200MBから1GBに増量されている可能性がある(ホームページ上では保存できる写真枚数が100枚と500枚の表記が混ざっているため、どちらかは分からない)。E-370はE-360の後継機種であり、基本的な機能や本体デザインは変更されていないが、本体カラーがE-360は上面のフタのカラーバリエーションだったが、E-370ではフタの周囲とハンドル部にカラーバリエーションがあり、色も濃くなった。また、機能面では、E-840同様、USB接続によりスマートフォンからの写真プリントに対応している。
今年のラインナップが去年と比べてどのようになっているか、まずは見てみよう。
キャノンのラインナップは、FAX無し複合機でラインナップの変更が行われている。2012年末ではPIXUS MG6000番台が最上位機種だったが、2013年末モデルではさらに上位にPIXUS MG7130という機種が追加されている。とはいえ、6色インクの機種が2機種となり、PIXUS MG5000番台は5色インクの機種であったことから、PXISU MG7000番台と6000番台に分けたという事のようで、PIXUS MG6330と比べて大幅な上位機種というわけではない。そのPIXUS MG7130だが、PIXUS MG6330の後継機種と呼んでも良い機種だ。プリンタ部に関してはインク構成やノズル数、最小インクドロップサイズや給紙方法まで全く同じである。またスキャナ部も同機能だ。ダイレクト印刷部もほぼ同等で、違いと言えば対応メモリカードのSDカード、メモリースティック、コンパクトフラッシュの内、メモリースティックがメモリースティックDuoのみの対応となり標準サイズに非対応になった事くらいである。一方、スマートフォンとの連携機能は強化され、従来は写真とスマホ用アプリ上で作成したPDFファイルのみ印刷可能だったが、新たにWEBページやオフィス文書の印刷も行えるようになった。また前述のようにクラウドとの連携も強化され、SNSの写真とコメント、ストレージサービスの写真や文書、写真共有サイトの写真が印刷できるようになった。コピー機能や操作パネルはPIXUS MG6330と同等だ。インタフェースも同等だが、無線LAN接続時にアクセスポイントなしで接続できる「アクセスポイントモード」が追加されている。本体サイズも同等だが、カラーバリエーションに関しては色の異なる部分が本体全体になり、よりカラーバリエーションらしくなった。 PIXUS MG6530はPIXUS MG6330とPIXUS MG5430の中間のような製品だ。インク色数やノズル数、最小インクドロップサイズなどプリンタ部の性能はPIXUS MG6330と同等である。一方ダイレクト印刷に関してはSDカードとメモリースティックDuoのみの対応となる点はPIXUS MG5430に近い。その他液晶が3.0型に小型化し、インテリジェントタッチシステムではなくボタン式となったこと、有線LAN接続に非対応である点もPIXUS MG5430と同じである。スマホとの連携機能は強化されWEBページオフィス文書の印刷も行えるようになった他、クラウドとの連携も強化されている点、無線LANで新たににアクセスポイントモードに対応している点はのは2013年末モデル共通である。PIXUS MG6530はPIXUS MG5430の操作パネル、インタフェース、メモリカードスロットに、PIXUS MG6330のプリンターとスキャナーを併せ、さらに2013年末モデル共通の機能強化を行った製品と言える。 PIXUS MG5530はPIXUS MG5430とPIXUS MG4230の中間のような製品だ。インクはPIXUS MG5430同様、5色構成で各色独立のChromaLife 100+インクだが、一方で最小インクドロップサイズはPIXUS MG4230と同じ2plである。独立インクタンクで最小インクドロップサイズが2plというのは近年のキャノンでは見ない組み合わせである。前面給紙もカセット式ではなくなり、排紙トレイを開けたところにセットする方式となった。また自動両面印刷機能が普通紙のみで、CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷に非対応、排紙トレイの自動オープンも省かれたところもPIXUS MG4230と同等だ。印刷速度はL判写真の印刷速度はPIXUS MG4230と同等だが、普通紙への印刷速度はPIXUS MG5430とMG4230の中間である。本体デザインはPIXUS MG5430に近いがメモリカードスロットが省かれている。スキャナ部は1200dpiとなりメモリカードスロットがないため、スキャンしてメモリカードへ保存する機能も無い。PictBridgeにも非対応だ。一方でスマートフォンやクラウドサービスとの連携は他機種同様強化されている。本体デザインは上位機種に近くなったことで、液晶ディスプレイと操作パネルが前方に配置されるようになったが、液晶の角度調整はできなくなった。また本体サイズが449×304×152mmから455×369×148mmとなり奥行きが大きくなっている。インタフェースは同等だ。こちらもホワイトとブラックのカラーバリエーションがある。 FAX付き複合機の上位モデルPIXUS MX923はPIXUS MX893の後継機種である。プリント部としては、画質や色の構成は同じだが、インクが2012年末のFAX無し複合機同様の高発色タイプへと変更されている。また染料ブラックのみノズル数が倍増している。一方給紙に関してはPIXUS MX893の前面+背面の2方向から、前面2段カセットへと変更された。下段にA4やB5などの大きな用紙、上段にL判やハガキなどの小さな用紙と同時にセットできる点はFAX無し複合機の上位モデルと同じだが、こちらはビジネス用とも考え、セット可能枚数がA4普通紙で250枚と倍増している。PIXUS MX893では前面と背面に150枚ずつセット可能だったが、PIXUS MX923では前面の1段のみで近い枚数をセットで可能にしている。新たにCD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能に対応したのも変更点だ。印刷速度はL判写真こそ前面給紙に変更されたことにより17秒から18秒になったが、染料ブラックのノズル数の増加の効果かA4普通紙へのプリントではカラーが9.3ipmから10.0ipmに、モノクロが12.5ipmから15ipmに高速化している。スキャナ性能は同等で、解像度やADFの搭載も同等だが、ADFを使用して両面スキャンする際は最高600dpiとなるほか、FAX時は両面スキャンが利用できない制限も引き継いでいる。大きな違いはメモリカードスロットが無いことである。USBメモリからのプリントには対応しているが、メモリカードには対応しない。また、PictBridgeもUSB方式からWi-Fi方式の対応へと変更されている。スマートフォントの連携機能も新たに搭載しており、2013年末発売モデル同様写真だけでなくWebページやオフィス文書も印刷可能だ。だだし、発売が少し前と言うこともありクラウド連携機能は搭載されていない。FAX機能はPIXUS MX893と同等で、液晶や操作パネルにも変更はない。本体サイズはPIXUS MX893の491×448×218mmから491×396×231mmとなり、前面給紙カセットが2段となったこともあり高さはやや増しているが、奥行きがかなり小さくなっている。PIXUS MX523はPIXUS MX513の後継機種である。プリント機能は変更されておらず、インク構成、画質、速度、給紙面でも同等だ。スキャナ部も同等である。ただし、PIXUS MX923同様メモリカードスロットが廃止され、USBメモリからの印刷のみ対応となった。また、PictBridgeもUSB方式からWi-Fi方式の対応へと変更されている。スマートフォンからのプリント機能も搭載するが、クラウド連携機能は搭載されない点もPIXUS MX923と同様だ。FAX機能にも変化はなく操作パネルにも変更はない。 A3単機能機はPIXUS PROシリーズとPIXUS iXシリーズがあるが、PIXUS PROシリーズ3機種は継続販売だ。一方、PIXUS iXシリーズ2機種は、PIXUS iX7000が終了し、PIXUS iX6530は新機種PIXUS iX6830へと移行した。さらに新たにPIXUS iP8730が追加されているが、こちらはPIXUS iX7000の後継機種ではない。PIXUS iX6830インク構成やは印刷画質、給紙に関する部分はPIXUS iX6530と変わりない。唯一顔料ブラックのノズル数が増えている。その関係か、写真の印刷速度は変わらないものの、A4普通紙カラー印刷が8.8ipmから10.4ipmに、A4普通紙モノクロ印刷が11.3ipmから14.5ipmに向上している。スマートフォン/タブレットとからの印刷機能も新たに搭載している。また、無線LANと有線LAN接続にも新たに対応した。本体サイズは、幅が35mm、高さが11mm大きくなっている。一方、PIXUS iP8730はPIXUS iX6830と似た本体ながら、複合機の最上機種と同じくグレーインクを含む6色インクとなっているのが特徴だ。型番がiPとなり、家庭向けと位置づけられたのか、対応用紙サイズが、PIXUS iX6830の名刺〜A3ノビから、L判からA3ノビと、名刺サイズなどの小さな用紙には対応しなくなっている。逆に、CD/DVD/BDレーベル印刷機能やWi-Fi方式のみだがPictBridgeに対応する。給紙枚数などは同等で自動両面印刷機能も備えていない。印刷速度も同等だ。無線LAN接続機能は備えているが、有線LANには非対応だ。本体サイズはPIXUS iX6830と比べてさらに横幅が6mm、奥行きが21mm大きくなっている。 A4単機能機の2機種とコンパクト機1機種も継続販売だ。
各機種を詳しく見てみよう。価格帯別の比較、独立したページとして用意してあるので、下記のリンクから飛んで頂きたい。なお価格は、このページの作成時点(2012年11月上旬)でのメーカーのオンラインショップの価格としている。家電量販店やパソコンショップなどの実際の価格とは異なる場合があるのでご了承いただきたい。 (H.Intel) 今回の関連メーカー エプソンホームページ http://www.epson.jp/ キャノンホームページ http://canon.jp/ |
(FAX付きA3複合機) |
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(A3ノビ単機能機) |
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(コンパクト) |
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