小ネタ集
新旧プリンター比較
2018年末発売のプリンターを旧機種と比較する
(2018年8月23日公開)

表中の赤文字は旧機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1からの変更点となります。

PIXUS TS6230とPIXUS TS6130を徹底比較する

 キャノンのPIXUS TS6230はPIXUS TS6130の純粋な後継機種というべき製品だ。一見すると見た目は同じだが、細かいところで機能に差が出ている。どういった違いがあるか細かく見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
旧機種
型番
PIXUS TS6230
PIXUS TS6130
製品画像


発売時の価格
24,880円
22,880円
インク
色数
5色
5色
インク構成
顔料ブラック
染料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
染料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
各色独立
顔料/染料系
染料/顔料(黒)
(ChromaLife100)
染料/顔料(黒)
(ChromaLife100)
インク型番
381XL/380XL(大容量)
380/381(標準容量)
380s/381s(小容量)
381XL/380XL(大容量)
380/381(標準容量)
380s/381s(小容量)
ノズル数
4096ノズル
4096ノズル
C/M/顔料BK:各1024ノズル
Y/染料BK:各512ノズル
C/M/顔料BK:各1024ノズル
Y/染料BK:各512ノズル
最小インクドロップサイズ
N/A
N/A
最大解像度
4800×1200dpi
4800×1200dpi
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
18秒
31秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
10.0ipm
10.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
15.0ipm
15.0ipm
印刷コスト
L判縁なし写真
17.3円
17.2円
A4カラー文書
9.6円
9.3円
A4モノクロ文書
N/A
N/A

 PIXUS TS6230はPIXUS TS6130の後継という位置づけだが、販売開始時の価格は24,880円と2,000円上がった。さらに旧機種のPIXUS TS6030も24,880円だったため、戻ったともいえる。では、プリントの基本機能である、画質と速度、印刷コストを比較してみよう インク構成や印刷解像度、ノズル数や、インクカートリッジは全く変わっていない。一方印刷速度は、L版縁なし写真が31秒から18秒と、大幅に早くなり、上位モデルPIXUS TS8230と同等となった。A4普通紙の印刷速度はカラー、モノクロともに変化ない。もともと、A4普通紙印刷速度は上位機種と同等であるにも関わらず、L判縁なし写真だけが遅かった。PIXUS TS6230ではA4普通紙、L判縁なし写真共に上位機種と同等になったわけだ。
 インクカートリッジに関しては説明が必要だ。一昨年発売のPIXUS TS6030では371/370番インクカートリッジを使用しており、大容量インク(371XL/370XL)と標準容量インク(371/370)が利用できた。当然大容量インクの方が印刷コストは低かった。去年発売のPIXUS TS6130では381/380番インクカートリッジとなったが、標準容量インク(381/380)と小容量インク(381s/380s)の2種類となり、大容量インクは顔料ブラックのみ用意された。標準容量と小容量では標準容量の方が印刷コストは低いが、全体的に印刷コストは上がってしまった。今年は新たに、染料4色にも大容量タイプが用意されることとなった。つまり全色で大容量、標準容量、小容量が選べるようになったのだ。ただし、371/370番の時とは異なり、大容量インクと標準容量インクでは印刷コストに差はない。つまり、交換の手間が少なくなるというだけだ。印刷コストがそのまま大容量になったので、カートリッジ価格は高めで、従来よりあった顔料ブラックは1,630円、染料4色は各1,740円となり、全色そろえると8,590円とかなり高額になってしまう。なお、PIXUS TS6130でも今回発売の大容量インクを利用できるため、単にインクカートリッジのバリエーションが増えたという形となる。
 ちなみに、L判写真の印刷コストなどは、前述のように大容量インクを使用した場合でも標準容量インクを使用した場合でも同じだ。一方、PIXUS TS6130と比較すると、若干ながら上がっているように見える。これは使用するインクカートリッジの組み合わせによるものだろう。PIXUS TS6130が発売された時点では大容量インクは顔料ブラックしか存在しておらず、大容量の顔料ブラックと、標準容量の染料4色を利用した印刷コストだったのだ。PIXUS TS6230は、全色で大容量、または標準容量にそろえて印刷した場合の印刷コストなのだが、そうすると少し高くなってしまうようだ。逆に言うと、PIXUS TS6130でも大容量または標準容量にそろえた場合、同じく少し高くなると予想される。

プリント(給紙・排紙関連)
新機種
旧機種
型番
PIXUS TS6230
PIXUS TS6130
製品画像
対応用紙サイズ
名刺〜A4
(89×89mm用紙対応)
名刺〜A4
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○(100枚)
○(100枚)
前面
カセット(100枚/普通紙のみ)
カセット(100枚/普通紙のみ)
その他
排紙トレイ自動開閉
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納(前面)・カバー(背面)連動)
○(カセット収納(前面)・カバー(背面)連動)
用紙幅チェック機能

 続いて、PIXUS TS6230とPIXUS TS6130の給紙、排紙機能を比較してみよう。基本的な給紙、排紙機構は変化していない。給紙可能枚数も同等だ。また、前面給紙カセットは普通紙のみという制限も変わらない。使用できる用紙サイズも名刺サイズからA4サイズまでというのも同等だが、SNSなどでよく見かける「ましかく写真」をそのまま印刷できるよう、新たに89×89mmの用紙に対応した。従来も127×127mmの用紙には対応していたが、より小さなサイズにも対応した形だ。また、オリジナルマグネットシートにも対応したが、これはPIXUS TS6130でも使用できるため、単なる純正用紙のバリエーションの追加に過ぎない。

プリント(付加機能)
新機種
旧機種
型番
PIXUS TS6230
PIXUS TS6130
製品画像
自動両面印刷
○(普通紙のみ)
○(普通紙のみ)
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(自動写真補正)
○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷
自動電源オン/オフ
○/○
○/○
廃インクタンク交換

 続いて、PIXUS TS6230とPIXUS TS6130のその他のプリント機能を比較してみよう。この部分に変更は無く、自動両面印刷は普通紙のみでハガキに非対応である。自動電源オン/オフを備えているのも同等だ。

スキャン
新機種
旧機種
型番
PIXUS TS6230
PIXUS TS6130
製品画像
読み取り解像度
1200dpi
1200dpi
センサータイプ
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリカード保存

 PIXUS TS6230のスキャン機能もPIXUS TS6130から違いは無い。解像度なども同等だ。

ダイレクト印刷
新機種
旧機種
型番
PIXUS TS6230
PIXUS TS6130
製品画像
カードスロット
対応メモリカード
USBメモリ/外付けHDD/外付けDVD対応
−/−/−
−/−/−
メモリカードからUSBメモリ/外付けHDD/外付けDVDへバックアップ
−/−/−
−/−/−
対応ファイル形式
色補正機能
手書き合成
PictBridge対応
○(Wi-Fi)
○(Wi-Fi)
赤外線通信
各種デザイン用紙印刷
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳)
組み込みパターンペーパー
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳)

 PIXUS TS6230とPIXUS TS6130は共にメモリカードからのダイレクト印刷機能を搭載していない点で同じだ。唯一PictBridgeに対応しているがUSBポートが無いので、Wi-Fi接続に限られる。定型フォーム印刷機能も同等だが、PIXUS TS6230では新たに「組み込みパターンペーパー」に対応した。カラフルなパターン模様を全面に印刷できる。スクラップブックの台紙やブックカバーなどに利用できるという。。

スマホ/クラウド対応
新機種
旧機種
型番
PIXUS TS6230
PIXUS TS6130
製品画像
スマートフォン連携
対応端末
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 10.0以降)
Android 4.5以降
(Bluetooth対応)
スマートスピーカー対応
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 9.0以降)
Android 4.1以降
(Bluetooth対応)
スマートスピーカー対応
NFC対応
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
スマートフォン経由/本体
○/○
○/○
オンラインストレージからの印刷
SNSからの印刷
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
写真共有サイトからの印刷
メールしてプリント
○(PIXUSトークプリント/LINE使用)
○(PIXUSトークプリント/LINE使用)
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント

 続いて、PIXUS TS6230とPIXUS TS6130のスマホ、クラウド対応を比較しよう。まず、対応端末に関してはAndroidのバージョンが4.1ら4.4、iOSのバージョンが9.0から10.0になっているが、これは本体の発売時のアプリの対応バージョンなので、現在のアプリの対応バージョンは両機種ともAndroid 4.4/iOS 10.0以上となる。また、新たにスマートスピーカーに対応、音声操作でナンプレや塗り絵、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などを印刷できる。ただし、これはPIXUS TS6130も対応したため、PIXUS TS6230の進化点ではない。同じく、「PIXUSトークプリント」というアプリも追加されたが、こちらもPIXUS TS6130でも利用できる。LINEを利用した写真印刷方法だ。プリンター本体に表示されるQRコードから、PIXUS TS6230をLINEの友達に追加する。あとは写真をトーク画面から送信するとプリントされる仕組みだ。

コピー機能
新機種
旧機種
型番
PIXUS TS6230
PIXUS TS6130
製品画像
等倍コピー
拡大縮小
倍率指定
○(25〜400%)
○(25〜400%)
自動変倍
オートフィット
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
○(色あせ補正対応)
○(色あせ補正対応)
割り付け(2面/4面)
○/○
○/○
バラエティコピー
枠消しコピー
IDコピー
枠消しコピー
IDコピー

 PIXUS TS6230とPIXUS TS6130のコピー機能は同等だ。機能の追加・削除はない。

操作パネル/インタフェース/本体サイズ
新機種
旧機種
型番
PIXUS TS6230
PIXUS TS6130
製品画像
液晶ディスプレイ
3.0型
(90度角度調整可)
3.0型
(90度角度調整可)
操作パネル
タッチパネル液晶+物理ボタン
(90度角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(90度角度調整可)
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
有線LAN
対応OS
Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用)
Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用)
外形寸法(横×奥×高)
372×315×139mm
372×315×139mm
重量
6.2kg
6.2kg
本体カラー
ブラック/ホワイト
ブラック/ホワイト

 最後にPIXUS TS6230とPIXUS TS6130の操作パネルやインタフェース、本体サイズなどを見てみよう。本体が同じなので、液晶サイズは同等だ。タッチパネル液晶だが、スタートやストップは物理ボタンが用意されるのも変わらない。接続インタフェースはUSB2.0に加えて、無線LANに対応するのも同等だ。対応OSも変更はない。本体サイズは全く同じだ。ただ、本体カラーに関しても、同じくブラック、ホワイト2色展開となっている。



 PIXUS TS6230はの新機能としては大容量インクの対応、89×89mm用紙とマグネットシートプリント対応とスマートスピーカー対応、LINEを利用したPIXUSトークプリント、組み込みパターンペーパーの印刷といえるが、そのうち、マグネットシートプリント対応とスマートスピーカー対応、PIXUSトークプリントはPIXUS TS6130も対応している。そのため、PIXUS TS6230の純粋な新機能は、89×89mm用紙対応と、組み込みパターンペーパー印刷となる。それに加えて、L判縁なし写真の印刷速度が大幅に高速化したのは大きい。画質面では上位機種に劣るとはいえ十分に写真画質で印刷が可能で、SDカードからのダイレクト印刷は不可能だが、パソコンやスマホからの印刷は十分に実用的だ。その中において、文書印刷は上位機種と同等なのに写真印刷だけが遅いのは残念な点だったが、これが改善された。画質は最高レベルまでこだわらず、パソコンやスマホからしか写真印刷はしないという人にとって、魅力が大きく高まった製品といえるだろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
キャノンhttp://canon.jp/


PIXUS TS6230BK
PIXUS TS6230WH