新旧プリンター比較 2019年春発売のプリンターを旧機種と比較する (2019年8月16日公開)
G5030
G5030はG1310の上位機種という位置づけのため、価格は発売当初の時点で5,000円高い29,880円、現時点ではG1310は19,880円まで下がっているので、1万円高い事になる。 同じインクタンク方式ながら、今回はギガタンク(GIGA TANK)という名称が付けられ、G1310の特大容量タンクより、ブランド感が増している。なおG1310もギガタンクに名称変更されている。G1310では大きめの注入口にインクボトルの先端を挿し込み、ボトルを握って注入し、タンクを目視で確認して上限まで入れるという方式だった。G5030では、インクボトルを注入口に挿し込むと注入が始まり、満タンになると自動で注入がストップする方式となり、インク補充がより簡単になっている。エプソンの「挿すだけ満タン」方式のエコタンクに近くなった。ただしエコタンクでは、色によって挿し込み口の形状が変えられており、間違った色のタンクに補充することが無いようになっているが、G5030ではそういったことは無い。この点では注入時に注意が必要だ。G5030のタンクはブラックが左、カラー3色が右に割り振られ、本体から横に飛び出すことが無く、前面からインク残量が確認できる点はG1310と同じだ。 インク構成は顔料ブラックと染料のカラー3色というのは同じだが、G5030では「新顔料ブラック」となり、用紙上でより定着しやすくなったことから、黒がよりくっきりした印刷が可能になった。補充方式とインク自体も変化したことにより、インクはG1310の390番から、G5030では30番へと変更となった。なお390番インクは、ブラックが1,720円、カラーが各1,120円だが、30番インクはブラックが2,100円、カラーが各1,400円と少し高くなっている。そのため、印刷コストも、A4カラー文書0.8円、A4モノクロ文書0.3円から、それぞれ0.9円、0.4円へと高くなっている。とはいえ、非常に低価格であることは変わりが無い。ノズル数はブラックがG1310の320ノズルからG5030では640ノズルへと倍増、カラーは変化が無い。しかし、カラーインクしか使わない写真印刷速度も向上しており、G1310の51秒から、G5030では37秒へ高速化している。ノズル数の増加以外に改良が施されたようだ。文書印刷速度も向上しており、カラーは5.0から6.8ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数。数字が大きいほど高速)、モノクロはノズル数増加もあって8.8ipmから13.0ipmと大幅に高速化している。
G5030では用紙種類とサイズの登録機能を新たに搭載した。前面給紙カセットを挿し込む、または背面給紙は手前の用紙カバーを閉じた際に、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。そして、この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みで、用紙のセットミスによる無駄を減らせるようになっている。用紙の設定は、液晶ディスプレイでメニューから手動で登録も可能である。
続いて、G5030とG1310のその他のプリント機能を比較してみよう。G5030では自動両面印刷機能が新たに搭載された。普通紙のみでハガキには非対応だが、両面印刷して冊子にしたり、用紙を節約できるようになった。自動写真補正に関してもG5030では搭載されている事が公表されているが、G1310では不明なので変更点かどうかは分からない。
G5030もG1310と同じくSDカードスロットなどは無くダイレクト印刷機能は搭載していない。ただし、G5030ではPictBridgeのWi-Fi方式に対応した点が異なる。とはいえ。PictBridgeはUSB方式とWi-Fi方式があるが、Wi-Fi方式は対応機種も少ないため、それほど意味のある機能追加とは言えない。
続いて、G5030とG1310のスマホ、クラウド対応を比較しよう。G1310はネットワーク接続に非対応であったため、スマホやタブレットからの印刷機能は搭載していなかった。G5030では他機種同様、高性能な物を搭載している。G5030ではiOSとAndroidに対応しており、写真やドキュメント、Webページからの印刷に対応する。またスマートスピーカーからのプリントにも対応し、AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のものの印刷と、プリンターの状態の確認が行える。クラウドにも対応し、オンラインストレージ上のファイルの印刷が行えるほか、SNSの写真をコメント付きで印刷したり、写真共有サイトの写真の印刷も可能だ。G5030とスマホとの接続は、ルーターを経由して接続するだけで無く、G5030と直接接続するダイレクト接続機能にも対応し、ルーターの無い環境でもスマホからプリントが可能だ。G5030は非常に便利になったと言えるだろう。
インタフェースはG1310ではUSB2.0接続のみだったが、G5030ではとネットワーク接続に対応した。スマホやタブレットからの印刷だけで無く、パソコンと離れた位置にG5030を設置したり、複数台のパソコンからもプリントが行えるため非常に便利だ。しかも、無線LANと有線LANの両対応である。無線LANはワイヤレスで接続ができて、離れた場所でもケーブルの心配が無いが、無線LANでは接続が不安定な場合や、ルーターとの距離が近い場合、壁の中にLAN配線のある自宅など、有線LANの方が便利な場面も多い。そのため両対応のG5030は、環境によって選択できるようになっている。 対応OSはWindowsは変化が無くWindows 10/8.1/7 SP1のみ対応だ。Windows 8にも対応しない点には注意が必要だ。一方G1310ではMacOSには完全非対応だったが、G5030ではMac OS 10.10.5以上に対応した。専用ドライバは用意されずAirPrintを利用しての印刷だが、Macユーザーには朗報だろう。 本体サイズは403×369×166mmで、G1310の445×330×135mmより横幅は小さく、奥行きと高さは大きくなった。G5030では前面給紙カセットが採用されたこともあり、奥行きが伸びるのは仕方が無いだろう。高さに関しては、ギガタンクがG1310より縦長になったためと言えるが、これは前面に液晶と操作パネルを配置したためある程度の高さが必要になり、それならばタンクを縦長にして、その分横幅を小さくしたと考えられる。 G5030はG1310の上位モデルというだけあり、様々な点で改良がなされている。エプソンのエコタンクに対して使いづらかったインクの補充方式は改善された。またG1310で問題だった印刷速度の遅さや、USB接続のみでネットワーク接続ができない点、それに伴ってスマホからのプリントに非対応である点などが、それぞれ実用的なレベルまで改善された。両面印刷にも対応するなど、、細かな点も改良している。印刷コストが安いという事で印刷枚数も多いことが予想されるため、大型の前面給紙カセットも搭載することで給紙枚数も増やした。G1310の不満点をことごとく改善してきた感のあるG5030は、とりあえず他社対抗で出したG1310とは完成度が異なる。価格差は現時点で1万円あるが、価格差以上に魅力的な製品になったといえるだろう。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 キャノンhttp://canon.jp/ |
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